第3次産業革命(考え中)

これまで世界には、2度産業革命があった。

そもそも産業革命とは、社会の根幹となる産業が入れ替わる事を意味する。
主要産業が入れ替わるという事は、社会構造の最適化の対象が変更するということ。
それに伴い、社会構造の変革が起こる。

過去

 I. 採集経済の時代

採集経済では、人々は大きな共同体を作らず、移動しながら生活した。
動物や植物を求めて住居を移動した。

II. 農業経済の時代(第一次産業革命)

農業が始まったとき、人々は田畑の周りに定住を始めた。

その結果、「価値のある土地」と「価値の低い土地」の差が現れ、価値のある土地の周りに富が蓄積されるようになった。
土地の所有権という概念が生まれ、国が生まれた。
そして戦争が始まった。

人々は田畑の周りに住居を構え、国中に偏在して定住した。

III. 工業経済の時代(第二次産業革命)

ヨーロッパで蒸気機関が発明され、工業の時代が始まった。
人々は農地を捨て、ロンドンのような大都市に集住し、工場で働いた。

仕事は巨大な工場にあったため、人々はその周りに集まった。
土地の価値は、農地のような自然がもたらす肥沃さとは関係なく、人工の建設物によって上がったり下がったりした。
そして地方の肥沃な土地は過疎化して捨てられた。

現在と未来

ここまで、人間は

1. 定住しない社会。土地の価値が認識されない。
2. 定住し、偏在する社会。自然が土地の価値を決定する。
3. 定住し、集住する社会。人工物が土地の価値を決定する。

という3つの社会構造を経験してきた。
では、次の第三次産業革命はどのようなものだろうか?

日本はすでに工業は主要な産業ではない。
金融業、サービス業が主要産業となり、必ずしも集住しなければいけない産業体系ではない。

にも拘わらず、日本の金融政策は、いまだにモノづくりとそれに伴う工業製品の輸出に最適化され続けている。そのために、それ以外の産業が被害を受けている。

日本の中央にとっての「日本の主要産業」は、数十年前から変わっていないのだ。

工業製品の輸出に最適化するということは、通貨価値を低く保つという事を意味する。
だが、低い通貨価値はすなわち、国民が所有している「円」の価値を下げる=国民を貧しくする政策に他ならない。

労働者を貧しくして輸出企業を儲けさせるのが「輸出最適化という金融政策」の姿だ。
この政策は結局、大企業を豊かにしたが、内需を縮小し、国家全体の競争力を減退させた。

IV. 第三次産業革命はどのようなものか

仕事のデジタル化が十分なら、人々は土地に縛られずに仕事に携わる事が可能になるだろう。
人々は住みたい場所に住むようになる。
それを支える情報インフラ、移動インフラが整備される。

畑に最適化されるのではなく、工場に最適化されるのでもなく、人々の生産性に最適化された社会構造が検討される。

おそらくそれは、偏在と集住の中間のどこかになる。例えば中規模な都市に分散するような社会だろう。

だが、中小企業がそういう情報戦略を立案して情報インフラを整えるのは不可能だ。
おそらく、「社会インフラとしての分散オフィス基盤」が必要となる。

先端企業に働く人間のための基盤ではなく、情報リテラシーがそれほどない企業であっても使用できる基盤が必要だろう。

コロナウィルスと第三次産業革命

今回のコロナ騒ぎは、集住のリスクを明らかにした。
単にコスト(長時間の満員電車での出勤に耐えるストレス)というだけでなく、リスク(社会的距離が近すぎる問題)でもあることが明らかになった。

分散オフィス基盤

分散オフィス基盤は、一部の先端企業のものではなく、レガシーな企業が導入可能なものである必要がある思う。

例えば個人PC環境であるようなdocker imageをrepository上において、そのイメージを、特定の認証を通過したどのPCにでも展開可能にする。

企業ADとリモートオフィスPCの認証処理を連携し、企業ログインすると自動的にリモートオフィスPCから社内VPNに直結する。

そういう基盤を整えることで、まるで社内の自分のPCであるかのようにどのリモートオフィスのPCでも使えるようにする。

情報リテラシーがそれほどない企業でも使えるオフィス基盤と考えたとき、難しい問題が様々あるはずだと思う。それらをクリアしたとき、本当に「誰でもリモートワークできる時代」が来る。

最後に

大都市一極集中を脱して地方活性化するには、地方に仕事を作る必要があるが、現在の努力は、農業であったり観光であったりと、仕事の量としては僅かと言うしかない。

情報基盤が構築できないレガシーな企業でもリモートワークができる社会基盤を構築することだけが、地方分散、地方活性化のソリューションたりえる思う。

そしてそれが成功したとき、日本の「第三次産業革命」は達成されるはずだ。

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