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詩集 葦船

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あしふね、と読みます。全8作からなります。 写真素材:ぱくたそ 写真撮影:にっしーな
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記事一覧

【詩】心細し

うらぐわし、と口ずさむ 手櫛ですかれる御髪の画が現れる やはり長く 黒く 細い 柔い髪だ…

木勢佐雪
5年前
14

【詩】疎外と疎外感

疎外されている状態と 疎外されているという感覚 勝ったか負けたか相場もわからぬ子供の遊び…

木勢佐雪
5年前
11

【詩】追懷

黄揚羽が肩口から躍り出て 襟周りを滞空する まるで胸ぐらを掴まれるようで  黄揚羽を払い…

木勢佐雪
5年前
10

【詩】粧う

アザミの花が吹いた粉(こ)を頬紅に 差して 眦(まなじり)に影を つけて  蝶々の鱗粉を白粉…

木勢佐雪
5年前
14

【詩】蛭子

蛭子は父と母が編んでいるものを揺り籠だと思っていました 父と母が自分を入れて川にそっと下…

木勢佐雪
4年前
7

【詩】非(あら)ぬ人たち

来る人は来る 残った人が残る だから無視している訳ではない、と すでに招待状を開けた あ…

木勢佐雪
5年前
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【詩】大童

行きたいところに行きたいと 毛先に砂がつくまで喚いたら 今いたところも取り上げられた 仕方なく 行きたいところに近いところに行けば 図々しくてやましい、と疑われた あなたは私を招き入れたくせに 取り巻きと笑っているばかり あなたは私を一度疑ったくせに 私の目を見もしない 自分は話し合いが出来ないんだってお認めください ご機嫌取りたちが太鼓を叩いて踊ってる それが自分のためだって 本当は知っているくせに 鏡を見て御覧なさい 行きたいところに行きたいと あな

【詩】葦船(あしふね)

公立劇場の稽古場に 腐肉のついた白馬の尾を投げ込んで 俳優たちが不快げに喚いたら 大手を…

木勢佐雪
5年前
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(再掲)非らぬ人たち 『詩集 葦船』より

来る人は来る 残った人が残る だから無視している訳ではない、と すでに招待状を開いた あ…

木勢佐雪
4年前
7