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羽田衝突事故 不都合な真実(2)

ユーチューバーの「元気なおじい」さんの動画で新たな事実がわかりました。動画で見る限りC5の停止線には始めから停止線灯が設置されていませんでした。ただその15メートル手前にフォグ時の停止線があり、そこにはしっかりと停止線灯が設置されています。つまり停止線灯は1998年以降ずっとフォグ専用の停止線灯であり、そもそも夜間用に設置されたものではなかったのです。そう言えばパイロットライセンスを持つユーチューバー「コモさん」もこのストップバーライト(停止線灯)はフォグ用のもので今回の事故原因とは無関係だと言い切っていました。航空関係者にとってはきっとそれが長い時間を経て「常識」になっていたのですね。その為国土交通省担当者もなんのためらいも無く「例えメインテナンスが終わっていても今回は使われていない」と平気な顔で説明していたのですね。でも今回の事故報道で、この停止線灯が不使用であったことが海外メディアで報道され注目を浴びることになりました。日本が締結している国際条約では夜間及び視野の悪い昼間(視程550メートル以下)に使うことが推奨され、管制官との交信聞き取り誤りなど誤進入防止策としても有効であるときちんと書かれていることが分かりました。簡単に言えば離陸許可と同時に停止線灯を消すルールなので滑走路入口の「赤信号」の役割を果たすと言うことです。日本はこの国際ルールに違反して過去35年間フォグ専用と言うルールを採用し、誰もそれを疑うことなく運用して来たと言うことになります。フォグ専用と考えていたからこそ停止線灯を軽んじ、メインテナンスに9ヶ月以上かけても何とも思っていないと言う訳です。では何故1998年の停止線灯導入時に「赤信号」としての機能を放棄したのでしょうか?赤信号と考えると点灯していない時は侵入可と誤認する可能性がある、夜間の定義をどうするのか、信号なら昼も夜も関係なく使用すべきでは、など色々議論はしたと思います。離陸指示の度に手動で「赤信号」を消すのが面倒くさい、プロなら無線の指示だけで充分と言う意見が出たかも知れません。詳しいことは分かりませんが、日本の空港には現時点で滑走路の入口に「赤信号」が存在しないことだけは確かです。ちなみに国によっては昼夜関係なく停止線灯を使用しヒューマンエラーを防止しているところもあるそうです。

ヒューマンエラーを防ぐと言う観点では2007年から管制塔のレーダーには滑走路に飛行機が誤進入すると滑走路が黄色点滅し、飛行機が赤く表示される注意喚起機能が導入されていました。しかし今回の事故ではそのレーダー画面を見逃すと言うヒューマンエラーが発生したのではないかと言う報道がなされています。ヒューマンエラーを防ぐ為に導入したのにそれをヒューマンエラーが原因で見逃すなんてことがあっていいのでしょうか?そもそも警報アラームが鳴らないなんてありえないほど不完全なシステムです。しかし国土交通省は「この誤進入注意喚起システム画面を常時監視する規定はない」ととんでもない説明をして、管制官を守っています。当然ですが管制官には航空安全管理義務はあるはずでこの説明はなんの助けにもなっていないことは間違いありません。

と、ここまで書いていると「元気なおじい」さんの新たな動画が投稿され目からウロコのコメントが紹介されていました。報道を良く読むと国土交通省はこの時注意喚起システムが導入されていたこととそれが「作動していた」ことは説明しているものの、事故当時この誤進入注意喚起システムが滑走路を黄色く点滅させ誤進入航空機を赤く示していたかについては明確には答えておらず、運輸安全委員会の今後の調査で明らかになるとしています。報道では「管制官が注意喚起を見逃しか?」として管制官に責任があるかのような印象を与えていますが、冷静に考えて見れば、管制官が画面の点滅を見逃していたのか、それとも画面に注意喚起の点滅がなかったのかは分かっていないのです。いや事故発生時に画面が点滅していたのなら事故のあとも当然ながら画面は点滅を続けていたはずです。管制官が慌てて画面の点滅を消したのか、そもそもシステムの不具合か海保機が感知されなかったことで点滅自体がなかったのか、運輸安全委員会ではこの辺りもしっかりと調査した上で政府や国土交通省に遠慮することなく「不都合な真実」を公表してもらいたいものです。

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