見出し画像

ジャニーズ問題 どうする家康どうするNHK

ジャニーズ事務所の記者会見以降、東山新社長の過去の悪事まで暴露され、ジャニタレ出演のCM取り止め企業が続出、ジャニーズ側からもCMやドラマの出演料は事務所でピンハネせず全額タレントに渡すと言うピンボケの対応策が出て来ました。この対応には事の本質がわかっていないと事務所の無能さがさらされ、事務所の改革への本気度・過去の反省への本気度に対し多くの疑問符が投げかけられています。

記者会見ではマスコミの忖度についても話題になりましたが、新経営陣は今後コミュニケーションを進めるとか、マスコミも遠慮しないで一緒に考えて行きましょうみたいな曖昧なことを言っていました。NHKのクローズアップ現代でもマスコミは何故この件を報道しなかったかと言う観点から番組が作られていました。でも事の本質はジャニーの性犯罪を報道しなかったマスコミと言うより90年代に始まったテレビ局によるSMAPなどジャニーズ・スターの奪い合いにあったのではないかと思います。フジテレビがドラマで先行し、日テレやTBSが続き、一時期干されていたテレ朝が思い切ってジャニーズべったりへと舵を切ったそんな感じでした。歌からドラマ、バラエティー、ワイドショー、スポーツ中継からニュースキャスターまでジャニタレはテレビ局を占拠して行きました。そしてジャニーズ事務所についての悪いニュースなど一切報道出来ない関係に成り下がっていたのです。90年代は視聴率全盛時代でジャニー喜多川がホモだとか若い男の子が好きだとは知っていましたが、まさか強姦まがいのことをしていたとは思ってもいませんでした。クローズアップ現代でも放送していましたが、誰もジャニー喜多川の犯罪について深刻に考えてはおらず、逆にジャニーズ事務所への忖度はすでに当たり前になっていました。

私が不思議に思っていたのは本来視聴率競争などには無縁のはずのNHKが何故ここまでジャニーズ事務所べったりになってしまったかということでした。NHK内でのジャニタレの存在感はどんどん大きくなり、今では紅白歌合戦もジャニーズ事務所に乗っ取られ、大河ドラマもジャニタレが主役です。でも今回のクローズアップ現代でその理由がよく分かりました。昨年NHK理事を辞めてジャニーズ事務所顧問となった人がいたのですね。1984年東大法学部卒で4年間の沖縄放送局を終えた1988年から昨年までずっとNHKの芸能畑にいたW氏です。2000年から始まり現在まで続いている少年倶楽部はジャニーズJrの為の番組で基本的にジャニタレ以外が出ることはありません。つまりジュニアの登竜門、いやインキュベーションですね。実際NHKの7階にあるダンス練習場はジャニタレ専用といってもいいようです。NHKの芸能部門のスタッフたちと仲良く一緒に仕事をしながら大人になって行くのですからNHKがテレ朝と同じくらいジャニーズベッタリなのもよく分かります。ジャニーズ事務所がどこまで考えていたかは分かりませんが、少年倶楽部は長期的なヴィジョンに基づく賢いビジネスモデルですね。NHKはBBCのジャニーズに関する取材をやんわり断っていたそうです。W氏とジャニーズ事務所はどんな関係だったのか、どれだけ便宜を得たのかは分かりませんが、国民の視聴料で成り立つNHKとしては絶対にW氏の問題をこのままにしていてはいけません。そして少年倶楽部や紅白歌合戦をどうするか、時間は余り残っていませんよ。どうするNHK!!

おまけですが、2004年にジャニー喜多川の性犯罪が最高裁で事実だと認定された当時は私はどう思っていたのか考えて見ました。記事が出た時は49才、裁判の時は54才の働き盛りでした。記事も読んだ記憶があり、酷いなと思ったものの芸能界なんてそんなものかもと言う気持ちもありました。そして裁判については地裁で文春が敗訴したニュースを聞いてなんとなく「これはもみ消されたな」と感じたことを覚えています。ジャニー喜多川の犯罪が最高裁で事実と認定されていたことは今回の騒ぎで始めて聞いた気がします。いずれにしても東山社長が言うような「史上最悪の鬼畜の所業」というような印象は全くなくて、同性愛のお爺さんが子供を触っていたずらしているくらいの受け止め方でした。でも今回ユーチューブなどで被害者の話を色々聞くとそんな酷いことまでやっていたのかと呆れてしまいました。やはり悪いことは悪い、臭いものに蓋をせず、長いものに巻かれない強い気持ちはいつの時代でも必要だと改めて感じさせられました。

(追記)
昨日のフォーブス・ジャパンの記事によると2000年当時もイギリスのガーディアン紙とアメリカのニューヨーク・タイムス紙がジャニー喜多川の性加害を報じていたようです。その記事で気になったのは2000年4月に国会で自民党の阪上喜秀議員が「児童に対して一定の権力を持つ人物が児童に性的行為を強要すれば児童虐待に当たるのではないか」と質問したのに対し、当時の厚生省児童家庭局長が「親または保護者ではないので児童虐待には当たらない」と否定的な回答をしたというものです。この年に児童虐待防止法が制定され、親・保護者に加え同居人も対象にされたようですが、優先的地位にあるものが対象にされるにはそれから更に23年待たなければならなかったようです。
一方、東京新聞は、2000年当時の国会で政府は「それが事実なら」と言う前提で「強制わいせつ罪や児童福祉法に違反しており罪に問える。」と回答しており、警視庁生活安全局長も「関係機関と連携し、この問題に対処する。」としましたが、その後政府機関が動きを見せたことはないと報じてします。
これらの報道から当時の厚生省や警察もジャニーズ事務所に忖度したのか、それとも単に面倒くさいと思ったのか分かりませんが、日本全体にそれほどの緊張感はなかったことが分かります。2004年の裁判で実質的な事実認定がされた時も密室での社長による児童への犯罪だったので、事件の存在を証明すること自体大変なことだったと当時の弁護士がテレビで語っていました。
「史上最悪の鬼畜の所業」と断言出来るのはやはり当事者だった人達だけなのかも知れません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?