解放されなかった。むしろ、囚われた。
えいこさんは手術への一縷の望みをかけて検査と入院を繰り返していた。
目に見えて痩せてきた、とかは、なかったものの、病院食が摂れなくなってきていた。差し入れを持ってくるように言われたため、私は毎日、毎日、父親と入院しているえいこさんにお弁当を作った。
父は毎日病院を訪れ、一緒にお昼を過ごしていた。
父の弁当を覗き込み
『彩りが悪い』
だの
『お魚が小さい』
だの、何かしら文句をつけていたようで、帰ってきた父は、えいこさんからのメッセージとともに空になったお弁当を出してきた。
え