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占いの背景の神話と信仰について

ルーン占いの相談から


とても大事な相談をいただいてずっと考えていました。

マシュマロからの質問

ルーン占いは好きだけれど、ルーンの背景にある「北欧神話」の神々には馴染まない……モヤモヤする、というご相談です。

わたし自身はルーンも、北欧神話の神々も好きです。人間味あふれる神々に親近感を感じています。
ルーンは、主神オーディンが9日9晩、世界樹ユグドラシルに吊り下げられて得た、と北欧神話では伝えられています。軍神テュールを表すルーン、豊穣神を表すルーンもあります。伝説の巨人や、馬車に引かれて天空を巡る太陽……ルーンの背景には色濃く北欧神話の世界観があります。
北欧神話の世界観を知ることが、ルーンを理解し、使うのに役立つでしょう。

占いの背景にある神話


ルーンだけでなく、他の多くの占いにも、その背景となる世界観があります。
たとえば神道の神主さんや巫女さんが、神道の占いをすることがあります。易占いにも易経という経典があります。西洋占星術の星々の名は、ギリシャ神話の神々の名前と性質を受け継いでいます。
アラビア生まれのジオマンシー占いと、同じルーツを持つイファという占いはヨルバ族の神話に結びついています。
特にこのような古い歴史を持つ占いは、その始まりは、神からの「ご神託」でした。
神話が背景にある、というよりも、占いが、神話の世界とのコミュニケーションだったのです。

現代でも、北欧神話の神々を信仰するオーディン教という宗教が存在しています。
本来は、信仰する者が占うべきなのかもしれません。

現代の宗教観……

それでも。クリスマスを祝い、お正月に神社に初詣に行き、法事はお寺でという宗教観が許されるのであれば、
北欧神話の神々にご神託を求めつつ、西洋占星術でギリシャ神話の神々に吉凶をたずね、願い事があれば神社のおみくじを引く……ことも許してもらえないかなぁと、個人的には思っているのですが……。

そして、ルーンほど古くない、タロットやルノルマンやオラクルカードは、ご神託とはまた少し違っていて、ツールとしての占い、あるいは潜在意識や心理学のような側面もあると思います。

厳しく怖い北欧神話の神々


もうひとつ。
今回いただいたご相談では、「北欧神話の神々に馴染まない」という言い方をされていました。違和感がある、ということですね。厳しい神様、というイメージがあるからかも、とご自身で分析されています。
確かに、北欧神話の神々は、主神のオーディンからして、戦の神であり、死の神でもあります。血みどろの逸話もあります。最終戦争ラグナロクは、絶滅エンドです。ギリシャ神話の陽気な神々とはかなり、イメージが違います。(この鬱々した暗く厳しいところが、わたしが好きなポイントなのですが)

何かしらひっかかりがある、というのは、意識しているからではないでしょうか。
「好き」の反対は「嫌い」ではなく、「無関心」です。
なんの関心もないのではなく、北欧の厳しい神々に対して「怖い」「恐ろしい」という意識を持っているから苦手と感じるのでしょう。
だとしたらそれこそ、神々に対する正しい畏敬の念であり、むしろ、北欧神話を面白がっている人よりもずっと、神々に対するのに、ふさわしい感情と言えるのかもしれません。

北欧神話の神々を、好きになる必要はないと思います。
何かしらの違和感は、占いをするのに大切な感情かもしれません。

最後に、わたし自身の個人的な話


子どもの頃から、いろいろな宗教に関心がありました。創世神話、世界の仕組み、さまざまな神々の逸話にも心引かれました。けれど結局、どの宗教の信者にもなることができませんでした。
何かひとつのものに、自分をゆだねることができなかったのです。
今のところ、一番信頼できそうなのは科学ですが、100%信じているわけではありません。占いも同じく。科学も占いも、役立つツールと思っています。それに自分をゆだねることはありません。常に疑いの心があります。
何かを無条件に信じられる人をうらやましいと思わないわけではありませんが……。
多分、わたしは一生、何かの信者になることはないだろうと、思います。

今回、信仰というとてもセンシティブなことに関わる内容でしたので、回答が遅くなってしまいました。
考えるきっかけをくださった質問者に感謝いたします。

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