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プロローグ:京都の、ある札所巡りをするにあたって(文末写真以外無料)

【文末の写真部分のみ有料、そこまでは無料で読めます。】

1.今、札所巡りをする理由

2020年6月吉日、私はある札所巡りのためご朱印帳を求めに行きました。コロナの外出自粛要請も解除されてようやく少しずつ動けるようになり、今がちょうど始めるのに良い時期、と行動開始しました。

私、若い頃からずっと札所巡りしたかったんです。でも10、20代のころは、札所巡りていうたら年配になってからやるもんというイメージで、そんなこと言うと「どうしたんや?何かあったんか?」とか言われるような雰囲気がありました。そやけど、ここ10年くらいは年齢関係なく行かはるようになってきて、もう早く行きたいとばかり思うようになってきてました。。

しかしこの新型コロナウイルスでの自粛生活。外出できんようになって、巡礼どころではなくなりました。そやけど、籠りながら思ったのは、お参りするのやったらむしろ今かもしれんと。コロナで亡くならはった方を弔い、第2波第3波が少しでも小さくなりますようにとお願いして回るのは、巡礼の本分に合うに違いないと。お参りするのは今や、と。

2.可愛いご朱印帳が後押し♪

5月半ば緊急事態宣言が解除され、私は満を持してご朱印帳を買いに行きました。

だん王2
だん王法林寺

ご朱印をいただいたのはここ。
三条京阪東にある「だん王法林寺」さん。京都の方は「だん王(だんのう)さん」とおっしゃいます。交通の便がよく、行動を起こすには適した場所にあります。

ご朱印帳

かわいいでしょ♪ こちらは黒猫の招き猫で有名なところです。黒猫以外にもあるのですが、開山の袋中上人を船の旅で守ったといういわれがあるので、黒猫が大変大事にされています。

3.回る札所巡りはこれ!

で、札所巡りって、どこを回るの?ってことですが、江戸時代初期に回られるようになったと言われる「洛陽四十八願所」という巡礼をしようと思います。

「洛陽」は「京都」の意味。昔の「京都洛中」にあった阿弥陀さまを48カ所参拝してご朱印をいただきます。西国三十三か所とか四国八十八か所などはすごい有名ですが、この札所巡りは検索しても1つか2つぐらいしか出てきません。それはこれがもう廃れてしまった巡礼やから、ということなんです。そもそも1613年(慶長18年)に善峯寺のお坊さま、源光さんが阿弥陀さまのお告げを受けて回らはったのが始まりやそうで、今から400年ほど前のことなんですね。

4.私がこの札所巡りを選んだ理由

そしたらなんで、こんなだあれも知らんような札所巡りをやろうとしたのか?これには理由があります。実は、私のご先祖さんもこの札所を回らはった記録があるからなんです。前に書いたように、この「洛陽四十八願所」は、今は回られんようになってしもてます。それどころか、確かに回られたのかどうかもわからん、とさえ言われてるのです。そやのに、なぜかその記録がうちに残ってたんですよ。

前のお仏壇の引き出しにあった箱の中に、小さな紙片の綴じ帳がコロンと転がって入ってました。小さいころからよく見てたし、上に数字が書いてあって下のはお寺の名前やろなぁと思ってたんで、まぁこれは巡礼記録なんやろな~ということはわかってたんです。でもそのころはインターネットもなくて簡単には調べられず、そのままほったらかしにしてしもてました。

ところがある日、ツイッターでの巡礼に関するつぶやきになんとなく返事をしたところから、それが「洛陽四十八願所」の記録やということを清浄華院の史料編纂所さんから教えていただけたんです。

そこからその年に清浄華院さんでの洛陽四十八願所についての講演で、わたしとこの記録を展示させていただきました。札所になっている何カ寺かのお寺さんが来られていて、説明も少しさせてもらいました。

記録の日付は天保年間。180年ほど前のものです。そのころ生きていたご先祖さんは私の祖父の曽祖父の代。名は「里杏(りきょう)」といいました。名前からお分かりになる方もやはるかと思いますが、医者をしておりました。「杏」の字はお医者さんと深い関係があり、「杏林」はすぐれたお医者さんのことを言うので、そこから取らはったんでしょうね。

里杏さんは慶応3年に76才で亡くなってるので、まさに幕末を生きた人でした。なので、この巡礼をすることで5代前のご先祖さんのあとを辿っていけますし、医者やった里杏さんも伝染病で亡くなった方の供養をするために回るのなら喜んでくれると思います。また、この人がなんで「洛陽四十八願所」のお参りをしたのかはおいおいお話することにしますね。

ここからは当時の札所記録の写真を1記事につき1枚出します。写真に鍵をかけるつもりで、文末のみ有料にしております。いずれマガジンで記事販売しますので、写真をご覧になりたい方はそちらのほうがお得かもしれません。

また一つお断りですが、実は、大変残念ながら現在その写真の実物は今ちょっと取り出せません。あんまり奥に片付けすぎて、取り出せなくなっています。多分何日か探したら出て来るとは思うのですが…でも写真は全部しっかり撮ってますので、この記録は写真で実証していくこととします。

さて、今日は最初ですので、札所を書いた記録の裏表紙をお見せして年代の確認をしてみましょう。

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