メディアリテラシー教育は「情報の食育」みたいなものだよねという話
こんにちは!
今朝起きて何となくテレビを見ていたら、こんなニュースが流れてきました。
〇「返してほしい…」 高級腕時計シェアサービス“トケマッチ”突然の運営停止で客困惑
・高級腕時計のシェアリングサービス「トケマッチ」の運営会社が突然解散した
・この会社に腕時計を預けていた人たちが、時計を返却してもらえなくて困っている
・被害者の人たちは悲しんだり怒ったりしている
というニュースです。
で、私はニュースの途中で「これ以上この番組を見ない方がいいな」と思ってテレビを消したのですが…これってメディアリテラシー教育を説明するのに使えそうだなと思ったので、今日はそのことについて書いてみます!
(※この記事は教育関係者以外の方にも分かりやすいよう、メディアリテラシー教育の定義に沿わないことも書いています。本業の方から見るとツッコみどころが多いと思うのですが、ご容赦ください!)
情報を何でもかんでも摂取しちゃダメ
私はこのニュースを見ていて、途中で「これ以上見ないほうがいいな」と判断したんですね。
なぜかというと、番組の途中から、報道の仕方が感情的になってきたからです。
たとえば被害者の方がインタビューに答えていて、「この会社のことを全然信用できません」とか、「会社を解散する前に時計を返却するのが筋だと思う」みたいなことを言っていたんです。
でもよく考えると、これって当たり前のことを言っているんですよね。
時計を預けた会社が突然解散してしまったら、会社のことを信用できなくなるのは当然だし、解散する前にお客さんに時計を返却するのが筋だっていうのも当たり前のことです。
当たり前のことを、わざわざ被害者の声を使って、文字を赤くしたり、大きくしたりして字幕をつける。
そういう演出をするということは、見ている人の感情を煽りにきているんですよね。
視聴者、つまり私に怒りとか悲しみとか、そういう感情を起こさせようとしている。そういう番組の意図が伝わってきました。
だから私は、「これ以上この番組を見続けたら、メンタルを無駄に消耗しそうだな」と判断して、テレビを消したわけなんです。
昭和と令和で、情報の価値が大きく変わった
昭和の時代、情報はとても貴重なものだったんですね。なぜかというと、情報源が限られていたからです。
テレビやラジオ、新聞くらいしか情報源がなくて、情報量もとても少なかったです。
情報に接する機会がすごく少なかったので、新しい情報の大部分が自分にとっての学びになった。そういう時代がありました。
だから私たちが子どもの頃は、物知りであるということがすごく評価されましたよね。
でも時代が変わって、今は情報が多すぎる時代になりました。インターネットやSNSが普及したからですね。
昭和の時代と比べると、何千、何万倍という情報が身の回りにあふれています。
なのでその情報を片っ端から摂取し続けても、とうてい消化できないです。
さらに注意しなければならないのが、メディア(=テレビ、webメディア、SNSなど)の情報は、その多くが視聴者の感情を揺さぶる形で発信されているということです。
メディアは視聴率(webならPV)を稼いで、その広告枠を企業に売ることによって利益を上げるビジネスモデルだからですね。
なので、一番視聴者を引きつけやすい、怒りや悲しみの感情を揺さぶるような報道の仕方をよくします。
・情報の量がめちゃくちゃ多くなっている上に
・その情報の多くが私たちの怒りや悲しみを煽る形で編集・発信されている
というのが令和の時代なので、昭和の時代にあった「情報は貴重なもので、できるだけたくさん物を知らなければならない」という常識を持ち続けていると、私たちのメンタルを壊しかねないんです。
私たちだけでなく、私たちが教えている子どもたちのメンタルも。
メディアリテラシー教育は「情報の食育」である
なので私たちは「どんな情報を摂取するか」と同じくらいに、「どんな情報を遮断するか」を判断する力を身につける必要があります。
その能力を身につけるための教育を、メディアリテラシー教育といいます。
目の前に出された料理を無制限に食べていたら、お腹を壊したり生活習慣病になったりしますよね。情報も同じです。
毎日大量に入ってくる情報の中から、自分に必要なものを摂取して、必要ないものを遮断する。
バランス良く、質の良い情報をよく噛んで食べる。
その能力を身につけるための教育がメディアリテラシー教育で、日本の中でも少しずつ認知度が広まってきています。
教科でいうと、「情報」と「国語」が中心になるイメージです。
(ちなみに、メディアリテラシー教育とは何かについては、このサイトの解説が分かりやすかったので引用しておきます)
・「メディアリテラシー」とは新聞、テレビ、webなどのメディアが発信する情報を
・主体的、能動的に、かつクリティカルシンキング(批判的思考)を用いて
・どのような意図を持って発信されているかを読み取り、咀嚼し、
・自分の意見も含めて発信することができる能力
この記事を通して、子どもたちにとってのメディアリテラシー教育の重要性を少しでも伝えられたら嬉しいです。
それではまた!
(ちなみに全然関係ないですが、小論文の家庭教師をしていた生徒が都立高校の推薦入試に合格しました。一か月間小論文を書きまくっていたので、嬉しいです!)
2/17追記:「情報的健康」について
後から知ったのですが、これ「情報的健康(インフォメーション・ヘルス)」という概念なんだそうです。
知らなかった!
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