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枕草子の「正しい」読み方

こんばんは!
今日も国語の授業の記録を書きます。
最近はやることが山積みでやばいです(^^;
なので、今日は20分で書きます!


枕草子=平安時代の貴族の美意識…じゃない!

・春はあけぼの
・夏は夜
・秋は夕暮れ
・冬は早朝(つとめて)

この文章を読んで、「あぁ、平安時代の人はこういうものを美しいと感じてたんだなぁ」と思いませんでしたか?
何を隠そう、私も中学生の頃そう思っていました。

でも実は、それは誤解です。

「春は明け方がいいよね」みたいな感じ方は、平安時代ではむしろ超少数派でした。

清少納言が提起している「あけぼの」など、春を代表する景物ではありませんし、まして美意識にもあてはまりません。

それにもかかわらず、みなさんはそれを平安朝貴族の美意識として受けとっている恐れがあります。それが高校で学んだ成果だとしたら、それこそ学校教育の弊害ということになりかねません。

「春はあけぼの」を読み解く(同志社女子大学)

清少納言の感性は普通じゃない。だからこそ、後世まで残った

万葉集や古今和歌集の和歌をイメージすると分かりやすいんですが、春といえば「梅・鶯・桜・霞」みたいな風物が詠まれますよね。「春」と「あけぼの」を結びつけて詠んだ和歌って、思いつきません。

「夏」についても、清少納言は「闇(=月の出ていない真っ暗な夜)もなほ」とか「雨など降るもをかし」と書いています。

でも、夜の和歌と言えば一般的には「月」が欠かせないですよね。真っ暗な夜とか、夏の夜の雨を詠んだ和歌はあんまり聞いたことがありません。

こんなふうに…私なりの言葉で清少納言を表現すると、彼女は逆張りの達人なんですよね。
授業でチームを組んでる先生は、清少納言は平安のファッションモンスターだと表現していました 笑

(みんなは月夜が美しいって言ってるけど、)真っ暗な夜も良くない?蛍が飛ぶ夜は、むしろそっちの方がエモいよね。」

「秋はやっぱり夕暮れが素敵よね(みんなは気づいてないみたいだけど)。だって、夕日が差して、沈んでいく太陽が山の端に近づくくらいの時間に、雁が連なって飛んで行くのが遠くの空に見えるのって、すごく風情を感じない?」

普通の平安貴族とは違った、時代を先取りした感性を持っていたからこそ、枕草子は後世まで残ったんですね。

清少納言(FGOより)

枕草子の美意識は「普通じゃない」という前提で読もう!

この単元では、最重要語句として「をかし」という単語が出てきます。
明朗で知的な感覚美を表す言葉で、「趣深い」「風情がある」「美しい」みたいに訳します。

そして枕草子の特徴は、「清少納言の『知的で独特な美的感覚』」みたいな表現でテストに出てくるんですが…
どうして「知的で独特」なのか、この記事を読んだ人はもう分かりましたね?

・清少納言はバリバリに尖った感性を持った平安のインフルエンサー
・普通の人は見落としてしまうような風情を、季節や時間帯で切り取って「をかし」と随筆に書いた
・当時の随筆は朝廷の中で回し読みするものなので、一種のSNS。それが平安貴族の中でバズった。
・「なるほど、さすが清少納言さんは目のつけ所が違うわ!」←知的で独特な美的感覚
・時代を先取りした感覚だったので皆が認めて、後世の美意識に影響を与えた

こんなイメージで理解すると、教科書が少し面白くなるかもしれません。

来週はナゴンカップ開催!

というわけで、来週はみんなで季節の詩を詠み合って「〇組の清少納言」を決めます!
一番うまい詩を書いた人ではなく、一番「その視点には気づかなかった…確かにそこに風情を感じる!」と思わせた人が優勝。
どんな作品が出てくるか、楽しみです!

本文の解説はこちら

塾のブログに枕草子の解説も書きました。
原文と現代語訳も載ってるので、「枕草子ってどんな文章だっけ?」という方はぜひこちらもお読みください!


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