Blenderで1年間 毎日3Dモデリングを続けたら、人生が彩り豊かになった
Blenderで毎日3Dモデリングを続けた結果、2024年4月で1年が経ちました。
1年前に想像していた「1年後に到達していたいレベル」よりずっと多くの制作物や、バリエーションが表現できるようになった気がします。
1年前、「UnityAssetStoreで購入した3Dモデルを、Unity上でカスタマイズする事に限界を感じる」が動機で始めた3Dモデリングですが、思い切って始めて良かったと思いました。
制作した作品をアップするYoutubeチャンネルはチャンネル登録者数が4万人を超えることができました。いろんな国の人が、高評価ボタンやチャンネル登録ボタンを押してくれて嬉しい限りです。
この1年をふりかえってみると「Blenderを続けて良かった」と思うことが多かったので、ふりかえりメモを残してみたいと思います。
Blenderが手に馴染んできた
1年間、毎日操作していた事で、手に馴染んでくる感覚がしました。頭で考えながら指が動くという点だと、ピアノなど楽器の習得をしている時に近いものを感じました。キーボードショートカットを使うようにしていたので手で覚えた感触があり、なおさら楽器に似た習得感があったかもです。
また、言語は日本語をメインにしていましたが、英語と日本語を瞬時に切り替えるプラグインを使って、機能の正しい意味は英語で常に確認するようにしていました。これはShader EditorやGeometry Nodesの習得に効果的でした。
最初は苦手だった、ShaderEditorやGeometry Nodesのノードも慣れてくると、目的意識とノードがつながってくるのが楽しいと思いました。ノードをつないで表現する感覚は、モジュラーシンセやアナログシンセなどの音源作りにも似て楽しかったです。
美術館や散歩が楽しくなった
以前は、美術館に行くと絵画鑑賞がメインだったのですが、Blenderをはじめてからは工芸品や建築物や彫刻を鑑賞するのがすごく楽しくなりました。
散歩の途中で、近所の家の構造や外壁の質感、公園の樹木の枝や葉の生え方、海や川の水の流れを眺めているだけでも学びになります。
カフェに行った時にも、カップやお皿の形状や材質に注目しているだけで楽しかったりします。
Blenderはコンピューターの中に世界を構築するツールで、ディスプレイを通じてその世界を見るのですが、Blenderを学んだことで現実世界の自然や構造物に対する観察や鑑賞のあり方が深くなりました。
Blenderをやっていて一番良かったことは、現実世界の自然や構造物や造形、絵画や彫刻などに対して「美しい」と感じる機会が大幅に増え、「なぜ美しいのか」をより深く考えるようになった点です。
これをもって「Blenderを続けたことで、人生が彩り豊かになった」と感じています。
他の制作用ソフトウェアの操作に抵抗感がなくなった
Blenderは単体で3Dモデリングから映像制作までこなせるDCCツールですが、PhotoshopやAfterEffects, Premireなどを活用する事で、より効率的に映像制作ができます。
また、UnityやUnreal Engine、Adobe Substance 3D Painter、iClone8など、商用のソフトであっても、パイプラインがしっかり用意されているので、ワークフロー連携ができたりもします。Blender単体で制作するよりも、幅広くいろんなソフトウェアを使ったほうが、効率が良いので、他のソフトウェアに対する心理的な抵抗感がなくなりました。
これは仕事で映像制作やデザイン制作をする際にもメリットとなりました。Blenderを使っているとタイムラインやグラフエディタやキーフレーム、スクリプト制御に触れるので、同じような機能をもつAfterEffectsやPremireにも応用可能なためです。
また、Blenderで細かくプロパティウィンドウを調整する癖がついたので、AfterEffectsやPremireなど映像制作ソフトでもプロパティをじっと眺める習慣がつきました。自分はそれまで、プロパティやパラメーターをあまり細かくみない派でした。
仕事するうえでも強みの1つを作れた
自分は会社員ですが、複数のスキルセットを並列しながら働くスタイルをとっています。その仕事の1つに広報とライター業務があります。
インタビュー記事を書く際に、ゲーム事業のクライアントエンジニアや、広告やAI事業のMLエンジニアやクリエイターにインタビューをするのが楽になりました。ゲームや広告、AIプロダクトにとって、3DCGや映像制作は欠かせない技術要素だからです。
例えば「ポストプロセス」「ポストエフェクト」や「コンポジット」という単語は上記のエンジニアやクリエイターにインタビューするとよく出てくる単語で、Blenderにも共通する技術要素だったりします。
話している専門用語や技術要素を理解できる事で、どのくらいの工数やコストや難易度なのか、以前よりも理解しやすくなりました。
そうする事で「話している専門用語がわからない」というストレスが大幅に減少しました。その結果、より深ぼった質問をしたり、文献調査や技術的な調べ物に時間を使う事ができるようになりました。
また、自分がBlenderで3DCG制作をしている事を知っているインタビューイの方もいるので、同じクリエイターとして会話ができるのは、仕事上における信頼関係の構築においても得るものが大きかったです。
Youtubeチャンネル登録者数がもたらした安心感
チャンネル登録者数が何人であったとしても、自分の作品に好意をもってくれる人の数が数値化・可視化される事は、自信につながりました。特に、自分のようなワンオペで制作している人にとって、自分のスキルセットやクオリティがどのレベルにあるのか、現在地がわからないからです。
4万人がフォローしてくれて、作品に対して高評価ボタンが1万回押されているなどの、可視化されたリアクションを通じて、自分のやっている事を受け入れてくれる数が実感できました。結果的に「この方向で良いんだ」という指標になりました。
プラットフォームに作品をアップすることのメリット・デメリットはありますが、自分はメリットを感じているので、今後も継続したいと思っています。
デメリット
やって良かったというメリットの反面、ジャズピアノの練習やセッションへの参加、DTMと作曲の時間は大幅に減りました。家族の不幸があって楽器を演奏するメンタリティにならないという理由のほうが強いですが、Blenderのほうが圧倒的に時間を使っているのは確かです。
楽器演奏やセッションは心のバランスをとるためにも大切なので、どこかで創作に関する時間やコストのリバランスしたいなと思ったりしています。
あと、乱視が悪化して目が悪くなったのと、ずっと机に向かって座りっぱなしの時間が増えたので、運動不足になりました。
以上が、Blenderを1年間ほぼ毎日やり続けての振り返りです。Blenderで毎日モデリングする時間をどこから捻出するかは、別の記事でまとめてみたいと思います。
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