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襟裳岬に見た!人事を尽くして天命を待つの事実

襟裳岬といえば「何もない春です〜♪」の歌でも有名な北海道の岬です。

ここはかつて豊かな原生林が広がっていましたが、伐採が進んで砂漠と化してしまいました。
海に流れ込んだ赤土が海を真っ赤に染め、魚や昆布の水揚げは激減。住人の生活は困窮し、また日本でも有数の強風地域のため砂が家まで入り込む過酷な環境。
種を蒔いても風で飛ばされ、苗を植えても枯れてしまう。それを海草を敷いて土を作り、土中の排水のために溝を掘り、1本1本クロマツを植えるという半世紀にわたる人々の闘い。

そして最後の仕上げは、この地には流れてくることはないと言われていた伝説の流氷が海底の赤土を削り取ってくれ、豊かな海に戻ったという物語です。
まさに「人事を尽くして天命を待つ」です。

これを映像化した NHK のプロジェクト X「えりも岬に春を呼べ」 の DVDがあると聞き、取り寄せて観てさらに感動と衝撃を受け、どうしても現場を見てみたくなり、出かけてきました。

新千歳空港でレンタカーを借りて、約4時間で襟裳岬に到着。

植林地帯は 200 ヘクタール、東京ドーム 42 個分です。
実際に車で走ってみると、 道路の両側に植林地帯が数キロメートルも続きます。その広大な面積に驚きました。

強風が吹き荒れる北海道の地で、諦めることなく、気が遠くなるような時間をかけて困難な作業に取り組まれた人々。その思いがどれほど強かったのか、それを 実際にその場所に立つことによって、はっきりと体感できた思いがしました。

植林は今も続いているようです。
先頭に立って取り組まれた飯田さんはすでにお亡くなりになられたようですが、思いは世代を超えて受け継がれている証拠を見た思いがしました。
平成 22 年に植林されたエリアがありました。木々の背丈はまだ低いのですが、確実にこの地に根を張って大きく成長して、森となることでしょう。

かつての砂漠が今は広大な緑に変わっていました。そして緑の前に広がる海は豊穣の恵みを与えてくださる海に変わっています。
思いが現実となり、そしてその思いが受け継がれて続いていく。襟裳岬は何もないところではなく、かけがえのない気づき、勇気を与えてくれる素晴らしい場所でした。

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