見出し画像

パルテノン神殿にて信仰心と国家の破綻を思う

アテネの中心部にそびえるアクロポリスを見学しました。
ここには世界遺産パルテノン神殿があります。
古代ギリシャの遺跡です。

パルテノン神殿は文字どおり「神殿」です。神さまのいらしゃる神聖な場です。
古代ギリシャの神を祀った神聖な場所ということで、日本の神社やお寺にお参りするような緊張感を持って行きました。

アクロポリスに続く坂道を登ってプロピュライアという門をくぐったその先にパルテノン神殿がありました。
巨大なクレーンが目につきました。また神殿の周辺には柱や神殿の一部である大理石のパーツが転がっていました。この神殿は何度も争い等で破壊され、現在も修復中なのです。

その規模には圧倒されました。壊される前はどんなに見事な神殿だったろうと想像するのは楽しかったのですが、見学しているうちに私は緊張感がなくなっている自分に気がつきました。
日本の神社やお寺のような神々しさがパルテノン神殿では感じられないのです。

パルテノン神殿は歴史的な価値のある世界遺産ではありますが、「かつての神殿」であり、現在はただの「瓦礫の山」そう感じました。
ここはアテナイの守護神である女神アテーナーを祀る神殿でしたが、もはやここにその神さまはおられません。
神さまのおられない神殿はただの廃墟です。

パルテノン神殿は紀元前5世紀に作られたものですが、以降何度となく外敵の侵攻を受け、紀元前2世紀にはローマ帝国の勢力下に入り、紀元4世紀にローマ帝国がキリスト教を国教としたことにより、ギリシャの神々への信仰は完全に失われました。

現地のガイドさんによると、現在のギリシャは国民の大多数がキリスト教の一派であるギリシャ正教徒であり、ギリシャの神々のことは学校で教えず、多くの国民はギリシャの神々については知らないということです。

かつて栄華を誇った古代ギリシャの人々。そして彼らの叡智を受け継いだはずのギリシャの人々の現在の苦境。
私は古代ギリシャの神々への無知や信仰の欠如と無関係だとは思えないのです。

国を作った神を忘れ、神話を教えず、そして国として破綻する。
これは日本人への警鐘でもあります。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?