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KYOTO GRAPHIE 2024 で写真にどっぷりつかる。

行きたいと思いつつ昨年は叶わなかった「KYOTO GRAPHIE(京都国際写真祭)」に今年初参戦。
関西方面での仕事の予定に絡めた2日間、そして日帰りでの1日間の合計3日間。
仕事に忙殺されている日常の中で、これだけどっぷりと写真につかることは出来ないだろう、と言えるほど写真を見て、考えて、感じた3日間だった。
この期間だけは京都に住みたいと本気で思う。

京都滞在時は高い確率でモーニングをいただくタカギコーヒーさん。

Viviane Sassen ヴィヴィアン・サッセン
PHOSPHOR|発行体:アート&ファッション1990-2023

京都新聞ビル

私のKYOTO GRAPHIEはヴィヴィアン・サッセンからスタート。
宿泊先から一番近かったから・・・という理由だが、結果として一番印象に残った展示となった。

烏丸通りを歩く。横断歩道の向こう側が全部絵になる京都。
京都はカフェが多いような気がする。
このセグウェイみたいな乗り物、ほんと増えてきましたね。
おしゃれな建物、人が多くてつい撮影。なかなか会場にたどり着けないね。
会場は京都新聞ビル地下1階(印刷工場跡)
5(ではGO)

タイトルの通り、ヴィヴィアン・サッセンの30年以上のキャリアの回顧展。
ファッション、社会性、セクシャリティ、生と死、欲、といった様々なテーマがスナップ、コラージュ、ペインティング、映像といった様々な手法で表現されています。
「これって同じ人の作品?」と思えるほど、多彩であり多才です。

そして京都新聞ビルの印刷工場跡という会場のインパクトも凄かった。
ヴィヴィアン・サッセン✕印刷工場跡と言っても過言ではない。
美術館の真っ白な壁の中で同じ展示がされていたとすると、また違った印象になったに違いない。

場が放つエネルギーが凄い
こういうのが作品と共に
この作品、とても好き。
サッセンが大学の卒業制作として取り組んだ作品。荒木経惟の「冬の旅」に影響を受けたとの事。

1時間では足りないほどのボリューム。
もっと見たいと思いつつ、会場を後に。
でも、結局2日目に再訪してしまった。そしたらなんとヴィヴィアン・サッセンご本人が。

1時間以上をかけて作品の解説をしてくださった贅沢な時間。また通訳の人も素晴らしかった。

会場ではヴィヴィアン・サッセンの写真集も購入できるが、回顧展の内容を網羅した400ページを超えるものがある。欲しいけれど電話帳を持って歩くようなものなので、後日、Amazonで買うことに。

しかし・・・・Amazonでは定価の2倍の価格となっていた。
重いけれど、ここで買うべし。

川内倫子 Cui Cui + as it is
潮田登久子 冷蔵庫+マイハズバンド
川田喜久治 見えない地図

京セラ美術館

川内倫子さん。2年前、東京オペラシティで開催された「M/E 球体の上 無限の連なり」での衝撃。見ていると自然に涙が出てくる。なんなんだろうね・・・これ。
今回の被写体となっているご両親と娘さん。人生を閉じていく存在と誕生してきた存在。「うたたね」と同様に生と死を感じずにはいられない。(と誰もが書く感想ですね)

潮田登久子さんの「冷蔵庫」
冷蔵庫って、その家庭や人生が象徴されるもの。幼少期の冷蔵庫が脳裏をよぎった。モノクロ表現がとても良かった。

川内倫子&潮田登久子トークショーにも参加。サインもいただきました。

Lucien Clergue ルシアン・クレルグ
ジプシー・テンポ

嶋臺(しまだい)ギャラリー

ジプシーの家族の日常場面をおさめた作品。
写真から音楽とダンスのステップ音が聞こえてきそうな臨場感があった。

赤の暖簾がとても映える

Claudia Andujar クラウディア・アンドゥハル
ヤノマミダビ・コぺナワとヤノマミ族のアーティスト

京都文化博物館 別館

アマゾン最大の先住民グループのひとるである「ヤノマミ」
金の採掘に伴う伐採で生存の危機に瀕している事実をこの写真展で初めて知る。こういった社会問題を知り、考える機会が得られるのも大きい。クラウディア・アンドゥハルさんを追ったドキュメント映像も見るべきものです。

鴨川沿いを歩きながら
夜は気さくな店主が美味しいおでんを出してくれるお店へ


Thierry Ardouin ティエリー・アルドゥアン
種子は語る

二条城 二の丸御殿 台所・御清所

2日目。
歴史的建造物の中で展示を楽しむことができることもKYOTO GRAPHIEの醍醐味の1つ。
二条城の窓から差し込む光を上手く活かした展示は、パソコンモニターや写真集で見るものとは別世界の世界観を提供してくれる。

種子という、とっても小さな小さなものを、これでもかというくらい大きくすることができるのも写真表現だから出来ることの1つ。
小さいものを大きくしたり、電球の中に入れて吊るすことで、1つ1つが星のようにも見え、宇宙を感じたことも興味深かった。

光の活かし方が印象的
まるで星のよう
1つ1つの種子が入れられています


Birdhead Birdhead(鳥頭)
Welcome to Birdhead World Again, Kyoto 2024

誉田屋源兵衛 竹院の間、黒蔵

2004年に結成されたソン・タオさんとジ・ウェイユィさんによるアートユニット。
3枚のストリートフォトを組み合わせ、木材に直接シルクスクリーン印刷し特殊なラッカー技術で定着させるというもので、会場である誉田屋源兵衛 竹院の間の雰囲気も重なってか、日本の掛け軸のようなものになっていた。

空想の宗教「Phototheism」では、宗教の象徴となるようなオブジェ?が展示されており、実物を見た感想としては「とっても小さい」ということ。ティエリー・アルドゥアンの「種子は語る」にも通じる、写真にすれば実物よりも何倍も大きくでき、その大きさから私たちが感じる(感じてしまう)印象はいかようにもコントロールできてしまう写真の特性や一種の怖さも感じた展示だった。

広いと走りたくなるよね
夢に出てきそう。想像よりも小さい。


James Mollison ジェームス・モリソン
子どもたちの眠る場所

京都芸術センター

世界中の子どもたちの部屋が、実物大とまでは言わないが、かなり大きくプリントされている。
貧困や富、暴力や教育といった子どもたちが置かれている境遇が「子どもたちが
眠る場所」からとてもリアルに見えてくる。
KYOTO GRAPHIEで3本の指に入る印象に残った展示だった。


街の様々なところにKYOTO GRAPHIEの宣伝が

Yoriyas (Yassine Alaoui Ismaili) ヨリヤス(ヤシン・アラウイ・イスマイリ)
カサブランカは映画じゃない

ASPHODEL

カサブランカと言えば映画のカサブランカ。
現地に暮らす人々からすればそこに違和感を感じるとのこと。
ダンサーでもあるヨリヤスさんが描く、リアルなカサブランカの切り取りがまるで迷路のような展示方法で楽しめます。うっかりすると見逃す作品もあるので注意。

最上階にはダンスをしながら写真を撮っていくヨリヤスさんの映像も見ることができます。こういうことが出来る人、ほんと憧れる。


移動はバスも利用しつつ徒歩メインで


Iranian citizen and photographersイランの市民と写真家たち
あなたは死なない──もうひとつのイラン蜂起の物語──

Sfera

2022年9月 ジーナと呼ばれるイラン人女性が「非イスラム的な外見」という理由で警察に逮捕され、拘留中に受けた暴行が原因で死亡。その後の大規模な抗議の様子を主にSNSによる発信をもとに構成されていた。
私たちが美味しかったランチをあげているのもSNS、こういった社会の現実をあげているのもSNS。しばらく言葉にならない思考が駆け巡った。

Jaisingh Nageswaran ジャイシング・ナゲシュワラン
I Feel Like a Fish

TIME'S

安藤忠雄建築であるTIME'S。
こんな場所に作品が展示できると幸せだろうなぁ・・・と思わずにはいられない。

キャプションの入れ方がとても印象的

Tetsuo Kashiwada 柏田テツヲ
空(くう)をたぐる

両足院

地球の温暖化により、1、2度の気温の変化でぶどうの糖度が変わり、シャンパーニュ作りに大きな影響を与えてしまう。蜘蛛の巣と温暖化に通じるものを作品として制作されたとのこと。
展示の方法も含め、写真家だからこその表現を体感できた。

Yoriyas (Yassine Alaoui Ismaili) ヨリヤス(ヤシン・アラウイ・イスマイリ) 
KIF KIF KYOTO

出町桝形商店街

またまたヨリヤスさんの登場。
シャッター通りだらけの現代において、アートを使った活性化でこの出町桝形商店街はとても活気がある。
写真もたくさん撮りたくなるね。街をあげて盛り上げていこうという一体感がとても心地良い。

この果物屋さんは撮らずにはいられない

石井正則Masanori Ishii
Hello/Goodbye -京都の喫茶店-

小川珈琲 堺町錦店

Youtubeもチャンネル登録させていただいている石井正則さんの展示。
ご自身でプリントもされているとの事で、喫茶店愛が溢れた作品だった。

渡部さとる with 2B or not 2B (臼井奈津雄、加藤十兵衛、露野公丈、上田容子、あをぢい、小嶺尚志、Eri Kato、上野 眞裕、沼田 千園)
Inception −はじまり− 

ギャラリーメイン

KG+PHOTOBOOK FAIR 2024に立ち寄り、渡部さとるさんの「Inception」を購入。
その足で展示会場へ向かった。

天気も良く、凧も気持ちよさそうだ
質問の1つ1つが刺さる

鷹巣由佳Yuka Takasu
YELLOW PAGES パラレルワールド

京都駅ビル7階 東広場北ピロティ

京都駅も展示会場となっていた。長い渡り廊下?で何を見ようか?の計画にも役立ちそう。


AIでも起きる予期せぬことの表現が興味深い。

ピアノの音色が演出効果を高める

ヴァンサン・フルニエVincent Fournier
Post Natural History - Archeology of the future

THE THOUSAND KYOTO 1F Art gallery

京都駅となりのキレイなホテルの1階に展示。
メタリックなプリント方法がこの作品を引き立てている。


締めは、新幹線まで時間があったので東寺へ。
無宗教な私ですが、思わず手を合わせてしまう。

鴨の親子に癒やされて


という事でKYOTO GRAPHIE3日間の記録でした。
私の知識と経験では、まだまだ理解が及ばない展示もありますが、生の作品に触れることで心の栄養素になったことは間違いありません。
来年も行けるよう、仕事がんばります。

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