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#37キラパこぼれ話~届いてしまった私たちの短歌~

こんにちは。ゆきこです。

#37では、それぞれが推しについて短歌を詠む、キラパ流歌会を開催しています。

その中で、こちら▼を(勝手に)教科書として使わせていただきました。
『推し短歌入門』(榊原紘)
https://amzn.asia/d/6d8LsGG

好きなものに真摯に向き合い、その想いを短歌という形で表すための方法を教えてくれる、短歌入門書です。

この!配信が!
私たちの!短歌が!
なんと榊原先生のもとに届いてしまったのです。
DMで、温かなご感想とプロによる本気の手直しをいただいたので、#37-2で紹介させていただいています。

短歌は字体や空白、()など、視覚的な情報がとても大きな意味を持ちます。
音声だけではなく文字でも味わっていただくため、noteにもこちらを紹介させていただきます。

また、短歌を読んでは「こんなすげーの詠むって、頭ん中どーなってんだ???」と思っていたのですが、その道筋の一端を見せていただいており、私たちと同じ、短歌初心者の皆さんの参考にもなるのではないかと思います。

ちはるの短歌

Ado

落日の中見えぬくちびる手を伸ばす貴女は生きるアンドロイドだ

振り返るその唇は僕の幻 貴女は生きるアンドロイドだ

Adoちゃん~(泣)になりました。最近好きでよく聴いています。
三句目字余りは結構気になっちゃうかもしれません。
逆に、初句7音はセーフ説を私は唱えています。
「落日に」や「落日で」で「落日の中において」の意味になるので、

落日で見えぬくちびる(歌ってよ)貴女は生きるアンドロイドだ

とかいかがでしょうか。
「手を伸ばす」だと、主体(主人公)が手を伸ばしているのか、Adoちゃんが伸ばしているのかで景(景色)が違ってくるかと思うので、主体の願望を()でくくってみました。

時透無一郎(『鬼滅の刃』)

轍ひく舟影が逝く海にいて砂を踏み行く変わらぬ影で

舟影を見おくる海で砂を踏む思い出すこと変わりゆくのか

ラジオをお聴きして、あ~込めたくなっちゃうの分かる!と思いました。
「海」にいたら砂を踏んでいることまで含むので、省略してもいいかもしれません。
なんか具体的にならないな、という歌には時間帯を入れてみるといいかもしれません!

朝焼けに舟を見送る 思い出に影はないからもう行かなくちゃ

ちょっと決別というか決意を示す感じにしてみました。
うーん、ちはるさんのイメージとは違うかもしれません……!

西乙女(『25時のバカンス』)

君につく見栄と畏れの嘘全部歪な真珠に代えて贈ろう

渡せない歪な真珠繋いでく嘘を重ねるわたしの狡さ

「見栄」「畏れ」「狡さ」まで言っちゃうともったいないです!

色白のその首筋に似合うでしょう(わたしの嘘は)いいえ、真珠は

贈る・渡せない ではなくてもう似合う!と踏み込むのはいかがでしょう。

ゆきこの短歌

新門紅丸(『炎炎の消防隊』)

いつだって疑わなかった君の声「大丈夫」だけ噓に聞こえて

大丈夫 遠のく背中に手を伸ばす 目覚めてこぼす噓を吐くなと

存じ上げなくて申し訳ないのですが、cv.宮野真守か~い!と思ってひっくり返りました。みんな好きじゃないですか、こんな人。
たとえば二首目は「背《せな》」にするだけで
音が間延びしなくてすっと収まるかなと思いました。
「大丈夫だけ噓に聞こえる」というだけで、
「他の言葉は嘘じゃない、無条件に信じてきた」
ということが伝わるのではないかな、と思います。

冬晴に遠のく背《せな》を見つめてた「大丈夫」だけ噓に聞こえて
冬銀河 遠のく背《せな》を見つめてた 「大丈夫」だけ噓に聞こえて


結構厳しい?感じの方なのかなと思い……冬の日のイメージです。
夜バージョンで一字空け2つにすると2首目です。

ツインターボ(『ウマ娘プリティーダービー』)

吸気して爆ぜる力に草を蹴りこの手の届かぬ果てまでずっと

汗が散るきみの赤い頬にすくむ これは決して「恋」じゃいけない

「構わず逃げてくれ」のお話、とてもよいなと思いました!
「吸気して」がちょっと説明してしまっている感じがしますね。

草いきれ 走るとは生きることだから、恋からきみはきみを逃がして

「草いきれ」は晩夏あたりの、夏草のむっとする匂いのことです。
「き」の音でリズムをとってみました。

アヴちゃん(『女王蜂』)

投げられる勝手な名前を一瞥しヒールで砕く二項対立

投げられる勝手な名前を見下ろして 嗤うくちびるから一閃

アヴちゃんについてのお二人のお話、とっても共感しました!

投げられる名前もヒールで蹴散らして  

の575で、アヴちゃんの不敵な感じが出るのではないかなと思います。
「も」でそれ以外ももちろん蹴散らすよ!という感じが出るかと。
ここからいかがでしょう、下の句をつけていただくのは……!

こちらに、私は2首目の下の句を付けたいと思います…!

投げられる名前もヒールで蹴散らして嗤うくちびるから一閃

私たちは推しから離れられない

榊原先生から評をいただいて、あらためて短歌の奥深さと難しさ、そしておもしろさを感じました。
同じテーマで詠まれたプロの短歌を見て思ったのは、「私たちはこんなに離れられなかった…!」ということです。
『推し短歌入門』の中でも触れられていますが、初心者はどうしても推しを忠実に描写しようとしてしまいます。(私の「ツインターボ」推敲前なんかがそれです)
もっともっと、推しからピントをぼかして離れていくことで、逆に鮮やかに推しに近づいていける。そのことが衝撃でした。
いつかちはるのことも詠んでみたいな。

榊原先生、本当にありがとうございました!


ゆきことちはるが楽しく遊ぶ音声配信番組『キラキラごきげんパーティー』
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