2021ベガルタ仙台総括

13季降りの降格が決まってしまった。

悔しい結果となったが、総括としてポジション別で振り返りたい。

◆監督

手倉森監督の評価は難しい、昨シーズンすでに沈みかけの船の状態であったベガルタを救うべく立ち上がったものの、思うような選手を獲得できない、想定した外国人助っ人は怪我で退団と不運な部分もあった。

だがそれを差し引いても、解任は妥当な結果だ。戦術面は弱くともモチベーターとして選手を奮い立たせる監督だったが、今季は重要な降格圏のチームとの直接対決でチームの最大限を引き出せず勝ち点を落とし続けた。特に相手に対策をされ劣勢になった際に修正することができないことが多く、選手の意識だけでなく戦術面の引き出しの少なさも目立った。

また致命的だったのは外国人のマネジメントだ。序盤で不調だったシマオマテを使い続けて大量失点の原因となり、唯一個で打開できたマルティノスは不仲により退団、新戦力のフォギーニョは謎の構想外、カルドーゾとオッティは最後まで居場所を見つけられなかった。個の違いを作るべき外国人を計算できる戦力にできなかったことにより自分たちを苦しくしてしまった。

結果としてベガルタをJ1に導き、J2へ降格させた唯一の監督となったが、ベガルタでの功績から今後もチームに残ることになったのは朗報である、今後はフロントからベガルタの再生を助けてほしい。

◆GK

クパが守護神として君臨、今シーズンのチーム内MVPを受賞。ただ、個人的にはクパの悪い部分が目立ったシーズンだった。シュートストップには定評があるものの、足元の技術が低くビルドアップに課題がある。今シーズンベガルタはDFラインにハイプレスを仕掛けらることが多かったが、クパに戻したボールは悉く相手に渡っていた。また、最終戦でもそうだったがセービング面でもミスもあり安定感には欠けた。手倉森監督は後半戦で福森やアピアタウィアを使うことでDFラインからの持ち上がりの精度の向上を狙ったが、個人的にはクパを外してストイシッチを使う決断が必要だったと思う。

◆DF

シーズンを通してCBを固定できなかったことで失点を減らすことができなかった。序盤の守備崩壊を一旦は平岡と吉野の2枚で落ち着かせたが、得点が取れないことで勝ち点が伸ばせなかった。上記記載したがそこで監督がCBの2枚を変更、結果的に得点は増えたものの失点が増加したことにより、福森は控えに回しアピアタウィアと吉野の組み合わせを選択、それでも最後まで失点を減らすことは出来なかった。手倉森監督の解任後、原崎監督は直ぐに平岡をスタメンに戻し、吉野をボランチに置いた。クリーンシートには至らなかったが一定の成果は出たことで、今の戦力の中ではこの組み合わせがベストだったのかもしれない。僅かな収穫はアピアタウィアの成長だろう。シーズンを通してみると重要な局面での凡ミスが多く、特に神戸戦での退場にはベガルタサポーターは愕然とした。それでも、手倉森監督が我慢して使い続けたことで序盤に比べるとミスが少なくなっている。その代償も少なくなかったと思うが、叶うなら来シーズンもベガルタに残ってほしい人材だ。

一方でSBは早々に石原と真瀬で固定、特に真瀬はルーキーイヤーにも関わらず、シーズンを通して大車輪の活躍となった。豊富な運動量と攻撃力を武器に相手の脅威となった。石原については蜂須賀の不振と新戦力の秋山が早々に構想外になったことでスタメンを確保した。良い意味で特徴のないオールラウンダー、攻守において計算できる存在であり続けた。残念だったのは希望してキャプテンになった蜂須賀の不振、守備面での安定感を欠いたことで結局最後までスタメンで出るほどの信頼を得られなかった。

◆DH

CB同様、最後までベストチョイスを決めきれなかった。シーズン途中で加入したフォギーニョが中盤の守備を引き締める存在として印象的な活躍を見せたが、原因は分からないがシーズン中盤からは監督の構想外になってしまった。ここがベガルタにとって致命的な結果を招くことになった大きな原因である。松下と上原では守備が疎かになる、富田は守備面で貢献できるが効果的なパスを出せない、結果的に監督解任後はCBの吉野がボランチに入ることで一定の安定をもたらした。たらればにはなるが、フォギーニョが加入以降出場し続けていれば今回のような結果にはならなかったかもしれない。

◆OH

シーズンを通して関口、加藤が起用されることが多かった。氣田とマルティノスは守備面で課題を抱えたことにより定着できなかった。ただ、スタメンが多かった二人に関しても攻守ともによく走る献身性はあるものの、攻撃面での怖さに欠けた、CFの得点力が低いベガルタにおいてこの2枚にもう少し攻撃面での強度が必要だった。そういう意味ではマルティノス、オッティともに定着しなかったのは痛恨だった。

◆CF

シーズン中盤までは西村と赤崎を軸に起用、終盤は富樫が活躍したことにより西村はOHにて起用されるかたちとなった。シーズン前からCFのコマ不足が指摘されていたが予想通りの結果となってしまった。ベガルタのようなチームは少ないチャンスを決めきる外国人助っ人がやはり必要になる。期待されたクエンカは早々に退団、急遽獲得したカルドーゾも期待に応えられずシーズン1得点と物足りない結果となった。ベガルタの資金不足が最も影響してしまったのがこのポジションだ。最終的に残留した湘南にはウェリントン、清水にはチアゴサンタナがいた、勝つか負けるかの試合を勝ち切れるCFがベガルタにはいなかった。結局はそこに尽きる。

今シーズンの内容から1年で昇格できるのか?と思ってしまう部分もあるが、それでもベガルタサポーターとして来季も応援を続けたい。

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