ChatGPT Advanced Data Analysisとのコミュニケーションのコツ
ChatGPT Advanced Data Analysisとは
ChatGPT Advanced Data Analysisとは、少し前までcode interpreterと呼ばれていたもので、ChatGPTの有償サービス(月額20ドル)で使える機能です。
通常の会話(チャット)機能との大きな違いに「ファイルのやり取りができる」「プログラムの実行が可能」というものがあります。
詳しくはCode Interpreter時代にたくさんの解説記事が出ているので、ここでは割愛します。
こんな用途で使ってみた
実業務でChatGPTを活かそうと、まずは大きく2つの用途を考えました。
アイデア出し
業務効率化
1は「選択肢を増やす」2は「定型化していく」ことが主眼になります。
ChatGPTは同じ質問を入れてもアウトプットが必ずしも毎回同じとは限りません。そのため選択肢を増やすのは元々得意です。一方で他社のプラットフォームなので今後も仕様が変わるかもしれません。そう考えると「業務の定型化」に組み込むのは長い目で見たら厳しいかなと考えました。
一方で定型化の最たるものは「プログラム」です。プログラムはインプットとアウトプットの関係が論理的で(バグがなければ)破綻しません。
であれば「ChatGPTにプログラムを作らせればいいじゃん」ということで、Advanced Data Analysisを使ってみることにしました。
これはまるで・・・
実際にやったこと
画像ファイル群を3次元上にランダムに配置して、アニメーション処理をさせるHTMLを作る
CSVデータをアップロードして画面上で様々な処理をするHTMLを作る
私は若い頃エンジニアだったこともあり、プログラムが動作する原理は理解していますが、HTMLやJavascriptの知識はほぼ皆無です。ちなみにHTMLやJavascriptの採用もChatGPT側からの提案です(こちらは「こんなことをしたいのだけどどうすればできる?」と最初に聞いただけ)。
詳細は省きますが、結果的にはたった何往復かの日本語とファイルのやり取りで、ほぼイメージ通りのものができました(それぞれ30分もかかってません)。もし仮に自分の知っているプログラミング言語で作ったとしても、実現方法の検討から始まり、バグ修正なども含めて間違いなく今回の100倍以上の時間がかかったでしょう。
やり取りの中で気づいたこと
ChatGPTとのやり取りを繰り返す中で、いくつか特徴がわかってきました。
得意分野は自己解決してくれる
自ら実行している最中に起きたエラーはリトライも含めて自己解決してくれます
いつも自信満々
出力ファイルが文字化けしていても、アウトプットが指示と違っていても処理が終わると「できました」と返してきます
知識はとても豊富
出力結果がうまくいっていない場合、状況を伝えた上で「原因はどんなことが考えられる?」と聞くと、想定される原因をいくつか考えてくれたり、そのまま解決を試みてくれたりします
基本的に言われたことしかやらない
最初の自己解決以外、基本的には指示されていないことはやりません
たまに過去の指示を忘れる
一度指摘した誤りでも、やり取りを繰り返す中で同じ誤りをしてしまうことがあります
部分修正はちょっと苦手
プログラムの一部を直す指示を出すと、全体を考えずに直してしまうことがあり、結果として全体の整合がとれない場合があります
あれ?このやりとりって昔どこかで経験した気が・・・
そうそう、これはまるで新しく職場に配属されてきた優秀(で自信満々)な新人とのコミュニケーションと同じじゃないですか
基本的には「できる」人材ですが、職場の暗黙のルールや仕事の全体像などはもちろん知らないので、まず仕事を指示する側が背景も含めて明確に、かつ論理的に伝えないと、なかなか最初は期待したアウトプットが出てきません。でも、正しく意図が伝わると驚くべき速さでしっかりしたアウトプットが出てきます。
一方で「自信がない部分がわからない」ので、ミスしがちな部分(今回のケースでは出力文字コード(UTF-8/Shift-JIS)など)はあらかじめ指示者側が注意を払っておく必要があります。
まとめ
指示は明確かつ論理的に
いかに人間っぽい回答をしてきても相手はコンピューターです。指示は明確かつ論理的にしたほうが正確に伝わります。でもこれって人間相手でも同じですよね。長い間同じ職場にいると自然と阿吽の呼吸が生まれてくるものですが、毎回新人に接するように丁寧に伝えましょう。残念ながら人間と違って独り立ちしてくれる日はやってきません。
要素が増えてきたら最初からやり直す
色々試しているうちにやりたいことが増えてきたりする場合があります。そんな時は途中まで作ったものを捨て、要件を再整理して最初から作り直してもらいましょう。部分的に直すより最初からやり直したほうが全体の整合性がとれたものを作ってもらえます。大丈夫、人間と違って何度やり直しの指示をしてもうんざりされることはありません。
責任は常に指示者側にある
相手は永遠の新人なのですから、結果責任は常に指示者側にあります。アウトプットの正しさの確認も含めて、指示者が責任の取れる範囲で使いましょう。
対人スキルの向上にもつながる
伝え方のコツさえ掴めば、特定の業務範囲ではとても優秀なパートナーになることでしょう。そしてもしあなたが職場でメンバーに何かを伝える立場であれば、このコツはそのまま対人間にもきっと生かせると思います。私も今回の取り組みを通じて「(人間もChatGPTも)うまく動かないのは伝え方が悪かったせいだ」と自然と気付かされました。
それにしても自然言語による指示だけでプログラムが組める時代が来るとは・・・また新たな武器が増えたようで、どんな場面で活用できるかを考えるだけでもこれから楽しみです。
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