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ショート・ショート『ピンク色の雪』

ある日、空から薄ピンク色の雪が降ってきた。
雪に当たった人々は「綺麗だねぇ」「寒くなったなぁ」といいながら通り過ぎる。

その翌日。

雪に当たった人々は、何かを生み出す、という行動ができなくなった。
生きてはいるけれど、そこにあるだけ。音楽や絵、小説、漫画、ダンスといった創作活動はもちろんのこと、料理など命をはぐくむ行為も妨げられる。

しかたなく、あるいは悲しみ、怒り、幸せのため、のこされた人々は彼らの世話をした。
世界は何とか、軋みを立てながらも回っていく。

だがある日、ひとり、何とかして自分の意思を伝えた人間がいた。

みんなの迷惑になって申し訳ない。
だけど、死を選べない。なぜなら、それは願いが叶うという行為を産むから。
永劫に生きていながら、何も作れない。
それはまさに、地獄だった。

人々はやっと、真剣に考えた。

何もしなくてもよい。
それで、どうにか世界の役に立てるようにできないか。

人々は考えた。
必死になった。
働けなくなった人々のためというより、自らのために必死に。

次に雪を浴びるのは、自分かもしれない。


おわり

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