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クレナリアと本の魔法(2)
──それはまだ、クレナリア王妃が、女学生の1人であったころの話だ。
白に近い銀色の目。ぷるんとした唇。あどけなさが残る顔立ちに、品の良い薄化粧。ほっそり、という言葉がふさわしい体は、たいていの男性どころか、女性だって抱き上げることができそう。
そんな、可愛らしい、私──クレナリアの友人。ヴェレーナが、不安そうに私を見つめている。
「大丈夫ですか、クレナリア様」
「もう、学園の中なんだから、
クレナリアと本の魔法(1)
「王妃、また、書籍に関する法律ですか」
呆れた声で、大臣の1人が問いかけた。しかしクレナリア王妃は美しく微笑み、その美声で言う。
「もちろん。これは国民にとって今ではかけがえのない書物を、より安価で、より多くの国民が、それこそ毎日でも新しいものが読めるようにするための法律です。皆さま書面をご覧になってくださいまし」
皆が目を落としたところで、クレナリア王妃は畳みかける。
「これは毎日、国の