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今週のkinologue【4/11-17】

ソメイヨシノは葉桜となり、八重桜が見頃を迎えた今週、唯一見ていたバラエティ『月曜から夜ふかし』が深夜帯からいなくなってしまったことと、主人公が「美味しいもの、食べたーい!」しか言わない単調な『ちむどんどん』に最後まで精緻な脚本だった『カムカムエブリバディ』ロスが深まる。ますますテレビを見る理由がなくなるなぁ。。。
『〈主婦〉の学校』の劇場上映が14日にて全て終了。10/16の上映開始からちょうど半年、ゆっくりとミニシアターを巡った。劇場でご覧いただいた皆さま、ありがとうございました❣️ 最近は配信が始まるタイミングがどんどん早くなって、ローカルでの劇場上映と被ることも多々あるが、この映画は気持ちよく入れ替わりとなり、昨日から配信の告知開始。4/22(金)から5/22(日)まで、シネマ映画.com にて先行独占配信となる。劇場で見逃して、配信待ってたー!という方はこの機会にぜひ。

先週のnoteに復元師の話を書いたが、ムリにその流れとも言えなくない『金の糸』を岩波ホールにて。過去をつなぎ合わせていく物語は、金継ぎに着想を得たという。本編上映前に流れる閉館告知を見ても、まだこの場が7月でなくなるなんて信じられない。久しぶりにロビー壁面の上映作品群をじっくり眺める。あれも、これも、観たことのない国の映画との出会いは、いつも岩波ホールでだった。今回のジョージア(グルジア)映画もそう。舞台となっているトビリシ旧市街の集合住宅が素敵だ。中庭を囲んでご近所みんなが日常を共有し、自然と会話が生まれるつくり。こういう街なら、コロナ禍でも孤独を感じずに生きていける気がする。認知症になった元役人の義母と女性作家の母を同居させるというアイディアが斬新。でも女が生き残る方が圧倒的に多いのだから、実に効率的でアリな方法なのかも。キッチンの壁にくっつけた小さなテーブルで2人でお茶をしている姿を見ると、そんな風に思う。全く相容れない2人はプライドが高く、ある意味よく似ている。昔の恋人が絡んでくると、さらにお互いの意地がぶつかり合う。そんな2人の間を軽やかに行き来する孫娘が可憐で美しい。ジョージアの女の子ってこんなにかわいいのか。91歳の監督によるゆったりと老練な作品。シニア女性こそ楽しめるはず。コロナ禍より前にはたくさんここに来ていただろう。それが惜しまれる。岩波ホールが果たしてきた役割は、場と共になくなってしまうのか。閉館後の損失の大きさが、じわじわと沁み出してくるのが今から恐ろしくてならない。


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