にじ高の夏2023 本戦

葛葉は最強で椎名唯華は最高だ。りりむも偉い。

辛勝のリーグ戦

リーグ戦では緊張して試合を待ち受けたが、始まってみるとV西には二塁を踏ませる事すらない守備を見せて上々のスタートを切った。コヴァ高にはギリギリではあったものの、安定して活躍する技の舞元、「本戦見てるんで」を回収し2020年「燃えるエース」を髣髴とさせる様な夢追のパーフェクトリリーフ。意外にも最も厳しい戦いとなった虚空には、去年どうしても欲しかった「一発」を葛葉が放ち辛くも勝利。

そしてまめ工との大一番、葛葉は立ち上がりの怪しかったこれまでとは違い安定したストライク先行で、明らかに顔つきを変えてきていた。チャンスメーカーの割りに不振かと思われたプティも打ちまくり、更には4回表に左中間長打かと思われた打球をプティがジャンピングキャッチ、バッドスタートの盗塁をきっちりと刺す獅子堂の送球と立て続けの好守備。奈羅花が三塁線ギリギリの長打を放つと、自身もご満悦の1→3塁激走で舞元が決勝点のホームイン。

結局葛葉は最大でも2失点という全く大崩れしない投球を見せ、打線が繋がらなくとも一発で覆せる打線、威圧感の援護を受けフィジカルで打つ獅子堂、走攻守で魅せ続ける技の舞元、「葛葉が降りれば」の風潮を打ち砕く防御率0.00の夢追、好守備を連発するセンターライン。接戦とは言え期待の持てる4戦となった。

葛葉の本領

そして決勝、この日の葛葉はまめ工戦をも超えた全身全霊のピッチングを見せた。

1回表の三者凡退から裏の投球、1番Voxにはボール先行でやや不安かと思われたが、2番クレアに2度のナイスピッチを含むインを攻めた4球で仕留めると俄かにギアを上げ、3番「ナギ様」をナイスピッチの2球で3アウトチェンジ。投手戦の雰囲気が漂う。

2回表にはリーグ戦で不振だった「力の力一」がフェンス直撃の2塁打、獅子堂が進塁打、対左Fのりりむがしっかりと凡退、「技の」らしく舞元がセンター前のテキサスヒットを狙うもショート弦月の好守備で3アウトに。打線の好調を予感させる。裏には葛葉が3人を凡打に打ち取りエコで進行した。

そして3回表、9番アイアから内野の頭を軽く越えるヒットを連発して3点を稼ぐと「立ってるだけ、かわいいだけで偉い」(威圧感でスタミナを削れるので)りりむがストレートを捉えて3ランホームラン。しっかり作用しているかと思われた対左Fを撥ね退ける一打で、ファーストに転向して以来快調に打ち続けた栄冠の姿に重なる活躍によりリードを決定付けた。裏で葛葉はまたインローギリギリを2度攻めてからの159kmインハイストレートで三振と、投打躍動の発動を受けてか更にギリギリのコースを決める様になる。

4回表は0点、裏には葛葉が初のランナーを出すも2塁を踏ませずに終える。

5回表、りりむ・舞元が2打点を稼ぐと、裏の葛葉はいよいよ本領を発揮し強烈なフォーク、インコースギリギリのストレートを決めて1安打を受けつつも好投。

6回表は0点もエース不破のスタミナを削り切り、7回表で強力なデバフを与える投手威圧感のチャイカが登板。にじ高の打線を完全に抑え切る。

しかし7回裏以降の葛葉は完璧と言って良い仕上がりを見せ、単打でランナーを出す事はあるものの重要な場面で三振を取り、逆境も発動して打撃ステータスカンスト級のVoxに対しインロー際に落ちるフォークで見逃し三振。9回裏には社監督も「入ってんのかそこ」と漏らすインハイのストレートでナギに三振、満塁を許すもまたインロー際のフォークで弦月を見逃し三振に仕留めた。高校3年間、3度の甲子園を投げ続けて防御率1.65、大会最強投手の本気がそこにはあった。

試合中は決勝がこんな感じで大丈夫かと思わないでもなかったものの、終わってみると葛葉のリーグ戦で見られなかったトップギアが見られて満足感があった。社監督の語る悔しさにも「本気」があり、そこを思うと複雑でもあるのだが。

感想

神宮敗退の悔しがり様(大谷の引いた時の喜び様も?)で何となく感じていたが、「今年、すごい優勝したい!っていう気持ちが強くて」「なんか一個超えた気持ちがあって」と本人も語っていて応援して良かったと感じるところだ。

「チームメンバーがすごい応援してくれてて」というのも核心の一つだろうと思う。巷で言われている様な「大谷を引いたからにはのプレッシャー」が無かったとは言わないが、椎名唯華は不特定多数のオーディエンスに怯むタイプではない。恐らくは身近な個々人の方がメンタルへの影響が大きく、同期のずしりは勿論(5周年でも話題にしていたし、葛葉はVCRGTA中に一時実況していた)、推してくれている奈羅花・アイア、縁のある後輩の獅子堂・鏑木などの選手が集まった事が主因なのかもしれない。Twitterを見るとこうした面々も試合を楽しんでいて嬉しい。(出してあげられなかった選手もいるが、エキシビションに期待だ。)

大会などに大体「がんばります!」とシンプルな意気込みを述べる椎名唯華だが、実際ゲームには真摯であり「がんばってるから!」ももしかすると5%くらい冗談ではないのかもしれない。育成編に書いた様に今年のプレイングは特に仕上がっていたし考え抜いていた。

とにかく今年のにじ高は劇的だった。いや毎年劇的なのだが、今年はそれに加えて最高の結果も出した。椎名唯華は最高だ。清楚系の雰囲気をしながら「リスナーの前世はゴリラ」と言い放ったあの日から、最高のエンターテイナーであり続けている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?