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「アストラゼネカ製COVID-19ワクチンが40歳以上で臨時接種の対象に」

2021/08/03



TONOZUKAです。


アストラゼネカ製COVID-19ワクチンが40歳以上で臨時接種の対象に

以下引用

 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会が7月30日に開催され、「原則40歳以上の人」に対して、英アストラゼネカ製の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンを予防接種法に基づく接種で使用することを了承した。また、武田薬品工業/米モデルナ製のCOVID-19ワクチンについて、接種対象者を現行の「18歳以上」から「12歳以上」に拡大することも了承。これを受けて、厚生労働省は予防接種法施行規則、予防接種法実施規則の一部を改正する省令を発出する。

 アストラゼネカ製のCOVID-19ワクチン(商品名バキスゼブリア筋注)は、2021年5月21日に薬事承認されていたが、同日開催された予防接種・ワクチン分科会で「我が国における使用のあり方について引き続き検討する」とされていた。今回の分科会では諸外国における接種状況や副反応の発生状況などを踏まえて、予防接種法上の臨時接種の枠組みで使用することを認めた。具体的な対象としては、「40歳以上」に加えて、(1)他のCOVID-19ワクチンに含まれるポリエチレングリコールなどの成分にアレルギーを有するといった医学的見地から特にアストラゼネカ製ワクチンを希望する場合、(2)他国でアストラゼネカ製ワクチンの1回目を接種してから入国した場合、(3)他のワクチンの流通停止など、緊急の必要がある場合──などの「必要がある場合」であれば、「18~39歳」でも接種を認める。

 同ワクチンは、諸外国でも年齢制限を設けて使用しているところが多い(図1)。ただ、アジア諸国は「50歳以上」としている韓国を除いて年齢制限を設けていない。



諸外国が年齢制限を設けている背景には、ワクチン接種後に血小板減少症を伴う血栓症(TTS)の報告が相次ぎ、それが若年者に多く発生している傾向にあることが挙げられる(図2)。


 一方、COVID-19は年齢とともに重症化率や死亡率が上がる。アストラゼネカ製ワクチンは第2/3相試験で70.42%の発症予防効果が得られており、変異株に対してはB.1.351変異株(ベータ株)の発症予防効果が10.4%と低いものの、B.1.1.7変異株(アルファ株)やB.1.617.2変異株(デルタ株)には65~75%程度の発症予防効果が認められている。

 これらのデータや、日本脳卒中学会、日本血栓止血学会がTTSに関して、「アストラゼネカ社COVID-19 ワクチン接種後の血小板減少症を伴う血栓症の診断と治療の手引き・第2版」を作成・公表し、副反応への対応に一定の指針が示されたことなどを踏まえて、分科会では「ワクチンのベネフィットがリスクを上回ると判断できる40歳以上で認めてはどうか」と提案、委員らが了承した。

 なお、他のCOVID-19ワクチンを2回接種した後の「3回目のワクチン」としての使い方や、mRNAワクチンの1回目でアナフィラキシーなどが発生した人に対して「2回目のワクチンの代わり」として接種するような使い方は現時点では認められていない。

接種間隔は「4~12週で、8週以上が望ましい」

 アストラゼネカ製のワクチンは、国内の添付文書において接種間隔が4~12週間とされている。また、臨床試験の結果から効果を最大限に得るには8週以上の間隔を空けて接種することが望ましいとされているが、12週間を超えて接種した場合のデータは乏しい。

 これらを踏まえ、「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き」には、

・標準的には27日から83日までの間隔をおいて2回筋肉注射

・1回目から間隔が83日を超えた場合はできるだけ速やかに2回目を実施

・最大の効果を得るためには55日以上の間隔をもって接種することが望ましいことに留意すること

と記載される予定だ。

 「接種不適当」とされる人については、既存のCOVID-19ワクチンで設けられている項目に加えて、アストラゼネカ製ワクチンに限って「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種を受けた後に血栓症(血栓塞栓症を含む)(血小板減少症を伴うものに限る)を発症したことがある者」と「毛細血管漏出症候群の既往歴のあることが明らかな者」を追加する。アストラゼネカ製ワクチンの予診票にも、既往歴の質問項目の中に「毛細血管漏出症候群」の選択肢を追加する。

 分科会では、今後の自治体における予防接種のオペレーションについて懸念する意見が委員から相次いだ。川崎市健康福祉局医務監の坂元昇氏は、「自治体によってはファイザー製やモデルナ製のCOVID-19ワクチンが現時点で十分な数、配分されていないところがある。アストラゼネカ製ワクチンは39歳以下の人にも必要があれば接種可能だというが、『早く打ちたい』くらいの必要性で接種していいものかどうか、自治体として迷いが生じるのではないか」と指摘。これに対して、厚労省の担当者は、「『必要がある場合』というのは、基本的に医学的見地から必要な場合を指している。こうした迷いが生じないように、実施要領や手引きなどに明確な記載を心掛ける」とした。

 また、政府は接種を希望する国民全員分のワクチン(2億2000万回分)を、9月末までにファイザー製とモデルナ製だけで確保できると明言している。アストラゼネカ製ワクチンは接種間隔を8週間空けることが望ましいとされており、他のファイザー製やモデルナ製のワクチンより2回目の接種が終わるまでの期間が長いことから、場合によっては「早くワクチンを打ち終わりたい」というニーズにも応えられない可能性がある。厚労省の担当者はアストラゼネカ製ワクチンについて、「まずは接種後の健康状況調査(コホート調査)に使用するほか、地方自治体のニーズを聞きながら配分を決めたい」と発言。坂元氏は、「他の自治体からは『アストラゼネカ製ワクチンの確保に手を挙げると、その分、ファイザー製やモデルナ製ワクチンの数を差し引かれるのではないか』という疑念も聞かれる。接種対象の考え方やワクチンの配分については、自治体ときちんと話し合いながら進めてほしい」と注文した。

モデルナ製ワクチンは12歳以上に拡大

 同日の分科会では、武田薬品工業/米モデルナ製のCOVID-19ワクチンに関して、予防接種法上の対象者を「18歳以上」から「12歳以上」に拡大することも了承された。これに先立ち、武田薬品工業は7月26日、「COVID-19ワクチンモデルナ筋注」について、日本で添付文書を改訂し、これまで「18歳以上」だった接種対象年齢を12歳以上に変更している。

 接種方法や用量は18歳以上と同じ。第2/3相試験では12~17歳で、2回目接種後14日前までにおける発症予防効果は100.0%(95%信頼区間:28.9-NE)で、免疫原性についても18~25歳の集団に対する非劣性が示されている。

 接種対象を拡大する理由について、分科会資料では、「接種を希望する方の接種機会を確保することや、健康被害が生じた場合に予防接種法に基づく救済制度の対象とすることを考慮して、対象者は広く設定すべきではないか」と記載。また、「10代において、10万人当たりの陽性者数は60代、70代よりも多く、医療提供体制に一定の影響を与えていると考えられる」と、ワクチン接種が進んでいない世代がCOVID-19に感染し、医療体制をひっ迫させていると説明した。

 mRNAワクチンにおいて発生状況が注視されている心筋炎関連事象(心筋炎・心膜炎)については、「ワクチンの接種体制に直ちに影響を与える程度の重大な懸念は認められていない」とした。ただし、モデルナ製ワクチンに関しては12歳以上に接種している国が限られるため、データが少ない。厚労省担当者は、「国内の発生状況や海外における報告状況を注視していく」としている。

 モデルナ製ワクチンに関しては現在、大規模接種と職域接種で主に使用されている。厚労省としては、対象年齢の拡大に伴ってこれらの接種会場に割り当てるワクチンの数量は変えない考え。厚労省の担当者は、「一定の割り当ての中で、職域接種では余った分を従業員の子どもに接種したり、大規模接種会場で12~17歳の希望者も接種できるよう自治体の判断で変更したりするなどの扱いが考えられる」と説明した。






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