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【よもやま話 7/23 いらないプライド いるプライド】

 今月に入り、ある仕事から降りた。かなり身入りのいい仕事だったが、自ら申し出た。

 それは、ある特殊な業界の小売店の内部に入り、立て直すというものだったのだけれど、その店主がとにかく頑固だった。

 口では「変わりたい、このままじゃいけない」といいつつ、私や他からの改善案や提案をことごとくのらりくらりと流す。つまり、却下する。意見を採用するとしても、自分のやり方を曲げない。プライドが高いのだ。

 自分のやり方優先でやってきて、現状の経営状態になっているのだから、そこからまず変えなければいけない。と、思うのだが、とにかく、人の話を素直に聞かない。意見を受け入れない。

「人間が嫌いだ」というのが口癖だった。
 
 決して悪い人間ではない。むしろ、仕事以外では優しく面倒見がいい方ではあると思う。でも、「人間が嫌いだ。信じられるのは動物だけだ」などと言う。
 動物が好きなのは大いに結構。嫌いなものは仕方ない。好きになれとは言わない。せめて、「なんとも思わない」くらいにはなってほしい。なぜなら、人間相手に商売をしているからだ。


 動物はもちろん、人間にも第六感がある。

 あなたにも、普段の生活で、「笑顔でさわやか。でも、何だかこの人、胡散臭い」と感じる出会いは多々あるのではないだろうか。どんなに笑顔を浮かべていても、「人間が嫌いだ」をベースに接してこられると、相手は少なからず違和感を感じるだろう。だって、相手からしたら、こちらは何もしていないのだ。ただ、人間であるってだけで、「めんどくさい、嫌い」などと思われながら、接客されているのだから。

 商売をするうえで、別に嫌いである人間を好きになる必要はない。それならば、「取り扱っている商品」を好きになるのが一番だと思う。
そうすれば、その商品への熱意だけで、逆に顧客からの好感度は上がるだろう。

「取り扱っている商品は好きか」と聞くと、「特に好きと言うほどでもない。仕方がなく取り扱ってやっている」という。「こんな商売本当はやりたくないのだ」とも。じゃあ辞めたらいいのだ。好きなことすりゃいい。

 どんなに導線を整えて、SNSを運用して、新規に人を集めても、そこから繋がらない。なぜなら店主がそんな態度だからだ。

 お金を払って他人からアドバイスをもらっても、高いプライドが邪魔して、素直に受け入れられない。改善する気があったとしても、受け入れる気がないなら、当然状況も変わらない。お金も時間も無駄にしている。
また、気になるのは、他責思考であることだった。

「商品が売れないのは不景気のせい」
「売れないのはいいものがないせい」
「~ちゃんがきちんと売ってくれない」
「毎日神社でお祈りしているのに」 

 景気が悪くても、業績を上げている会社はいくらでもある。自分にとってはいいものじゃなくても、お客さんにとってはいいものかもしれない。神頼みは否定しない。でもそれは自分の行動があってこそ。

 お客さんは「あなただから」といって買う。お金は人から運ばれる。


 店員がどんなに素晴らしくても、店主がその態度じゃ、顧客は定着しない。「~ちゃんが売ってくれない」というのはお門違いだ。まずは店主自らが売らなきゃいけない。小さな店舗なら尚更だ。
 
 頭ではわかっているという。「頭では」分かっているというのは、分かっていないということだ。言い訳に過ぎない。
 
 変わる意思と素直な心。そしてそれは相手に対する信頼がないと、心をオープンにできない。委ねることができない。私の力不足もあったのだろう。とても勉強になった。そして、今では心から感謝している。

 生きていく上で、必要なプライドと、不必要なプライドがある。他人の意見を素直に受け入れられないというプライドは、不必要なプライドであると思う。

 いわゆる成功者という人ほど、相手の話を素直に聞く。だから、人が人を呼び、成功するのだと思う。

 残念ながら、縁が切れてしまったが、先方の幸せを祈る。

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