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「出雲大社造営記」前編

noteの世界のみなさま、こんにちは。きんぐじょーです。前回書かせていただいた「ミレニアム・ファルコン制作記」への「スキ」やメッセージありがとうございました。今回も、プラモデルの制作に関わるお話ですが、前回とは全く違うジャンルとなる日本古来の建築物「出雲大社」制作について書いてみることにしました。タイトルはちょっと仰々しいかもしれませんが、しばしお付き合いを…

〝オヤジモデラー〟向け?

プラモデル制作を再開させてしばらくたってからのこと。いくつかのキットを手がけたあとの、確か2019年~20年の年末年始のことではなかったかと思います。妻のひと言が発端でした。「お城のプラモデルとか、作ってみたらいいんじゃないの」。なるほど。確かにオヤジモデラーにはなかなか相応しいテーマです。

私のプラモ制作を再開させたきっかけの一つに、テレビ番組「大人のプラモ道」(MONDーTV)を見ていたことがあります。自動車や戦車、戦艦などさまざまなジャンルの模型をテーマに、プロのモデラーさんの制作技術や作業のコツを紹介する番組でした。
この番組で、ジャンルの一つとして取り上げられていたのが「姫路城」。電動リューターを使って城の石垣にスジを彫り込んだり、ドライブラシ(塗料を着けた筆を紙などにこすりつけて塗料を適度に落としパサパサの状態にして、なでるように着色する方法)によって屋根瓦などに風合いを出したり。さまざまなテクニックに関心するばかりでした。

手始めに「安土城」を築城!

こうした番組を見ていたこともあり、妻のアドバイスに「確かに面白いかもしれない」。このときは、実際のキットを物色したほうが良かろう-とAmazonではなく近くの模型店へ足を運びました。テレビでコツを学んだ(見ただけですが)とはいえ、お城を作るのは全く初めてです。いろいろ悩んだ結果、童友社さんの「日本の名城シリーズ」から「安土城」(360分の1サイズ)を〝築城〟することに決めました。

パーツの数はそれほど多くなく、現存するお城ではないので、わりと好き勝手に作ってみました。石垣の彫り込み作業のために100均で電池式のリューターを購入(100均の店で確か550円。)。テレビの制作場面を思い出しながら、「ウィーン、ガリガリ」の繰り返しです。屋根瓦は濃いグレーで着色後に薄いグレーでドライブラシ。テレビ番組のテクに倣ってみました。中庭の樹木の葉っぱは、キットにセットされていた緑のスポンジを細かく刻んで、幹にぺたぺた重ね貼り…。

緑のスポンジが樹木の葉に化けるとは…

おぉ、意外にそれらしく見えます。こんな作業をちまちまと重ねて、およそ1、2カ月くらいで完成したと思います。実物は片手の手のひらに乗るくらいのサイズ。キット自体に若干のゆがみなどがありましたが、思ったよりうまく組み上げることができました。赤く塗った天守閣の屋根に極小の「しゃちほこ」も上手くくっつき、石垣や屋根部分もまずまず納得のいく仕上がり。植木の立つ前庭には、鉄道模型などのジオラマに使うバラスト(砂利)を買ってきて、敷きつめてみました。
「うむ、うむ」。初めての〝築城〟にしては我ながらなかなかの出来。家族グループラインに写真をアップしてしまいました。

初の〝築城〟まずまずの出来

味をしめて、さて次は何を…

「建物を作るのも面白いな」。安土城を作り終えた率直な感想です。キットそのものは小さいですが、キットのゆがみを修正しながらの組み立てはもちろん、壁や屋根の色をちょこまかと塗り分ける作業や、ドライブラシでの雰囲気付けも面白く、かなり楽しめました。
で、またお城を作るときに楽に石垣の溝を彫りたいのと、他のプラモ制作時にも「一気のやすりがけ」などができそう-と思い、使いやすくてパワーのある充電式の電動リューターを購入しちゃいました(100均で購入したものは、リューターのアタッチメントを挿す部分が緩んでしまい使えなくなったことも理由です)。

新たなツール。充電式でなかなか使いやすく重宝してます

新たなツールを手に入れたこともあって、「よし、もういっちょ、建物系を作ってみるか」-。そして、今度はAmazonさんを物色。お城や建築物のキットをあれこれ探すうちに、「出雲大社」(フジミ社)を発見しました。「これを作ったら、何らかの御利益があるかもしれない」という訳の分からない期待も胸に、購入を決めました。Amazonの注文履歴によると2020年4月末のことでした。

茶色いパーツをリューターでガリガリ

キットが届き、ハコを開けると地味な色合いのパーツがずらり。「茶色いお弁当」状態です。それはそうですよね。なんと言っても「木造建築」です。茶色の屋根部分、少し薄い茶色の壁や柱といった茶色のパーツ群で埋め尽くされていました(ちなみに、当時は後にnoteに手を出すことなど想像もしていなかったので、パーツ類の写真は撮っていません…)。ただ、屋根パーツを見ると、完成したときにはそれなりの大きさになりそうで、ワクワクしたことを覚えています。

この制作で活躍したのが、新たに購入した「電動リューター」。リューター付属の「粗目のやすり」が威力を発揮しました。壁や柱のパーツには、しっかりと木目のモールドが入っていたのですが、回転する粗目のやすりでガリガリと撫でることで、パーツに絶妙な「ささくれ感」を加えることができました。風雪に耐えてきた木造建築の雰囲気をうまく表現できたかなと。しかもリューターでの作業ですから加工も速い。「リューター、買って良かったな」としみじみ思いました。とはいえ、日曜の暇な時間を見つけての作業ですから、それほどは進みません。それでもパーツに「経年劣化加工」を施しては組み上げ、組み上げては色を塗り-の作業を楽しみました。

「色ムラ」転じて枯れた見た目に

で、その塗装のお話。当初、一度はエアブラシで茶系塗料を吹きつけ塗装し、その後に違う色合いの茶系塗料を筆で重ね塗りしてみたのですが、もともとのパーツ色が茶色で、塗ったんだか塗っていないんだかよく分かりません。加えてだんだん面倒になり「色ムラがあってもいいのでは」と、途中から全面筆塗りに変更。薄めの茶系色を塗ったあと、びしゃびしゃと焦げ茶色を重ねると、うまいぐあいに木目のモールドに墨入れをしたときのように色がゆきわたってくれました。で、ところどころにさらに黒っぽい茶色を薄めてささっと重ね塗り。木目が強調され、思っていた以上に「枯れた」仕上がりになりました。まったく…偶然の産物ってやつです。

社の壁の木目のモールドも予想以上の雰囲気に

そんなこんなで、パーツの表面仕上げや着色はまずまず上手くいきましたが、今回のキットでは、古建築ならではの雰囲気を出すために、もう少し手を加えてみました。それが「茅葺き屋根」や、社が建つ土台部分の表現です。ここで威力を発揮してくれたのが、ジオラマ用の「粉」とか「粒」とか。そのあたりは「後編」で書こうと思います。 (続く)


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