小林正観さんに学ぶビジネスヒント~人に喜ばれる発想を仕事に生かすと・・・
小林正観さんの本業は旅行作家、トラベルライターです。
そして、全国各地を回り、宿泊先で、繁盛する宿とそうではない宿との違いについて話をしたり、同じ宿に泊まった人との交流(お茶会)で、いろいろと面白い話をされていたことがきっかけで、「講演会」の頼まれるようになり、ピーク時には年間300回も講演するようになったそうです。
そして、逆にそこに集まった人からの「面白い話」を聞き、事実を検証することで、「不思議な話」の科学的な意味も探り、それが海外の大学にも認められ、「心理学博士」「教育学博士」「社会学博士」になりました。
2011年に亡くなられましたが、そこから、本が売れ続けていくという、本当に不思議な方です。
さて、そんな小林正観さんですが、様々な経験を経て、「人にどう喜ばれるか・喜ばすか」という「喜ばれる生き方」を追究されていたようです。そして、もし、旅行作家の仕事をしなければ、「こんなことをしてみたい」という憧れの仕事について語っていたことがあります。
そのいくつかを紹介します。よかったらお付き合いください。
1 通い続けたくなる喫茶店
日本には環境庁が定めた「名水100選」があります。
この名水は、国道から40~50km入って、さらに車を降りて、徒歩で1時間以上歩かなくては到達できない場所もあります。つまり、名水をすべて飲もうと思うと、かなりの時間と労力がかかります。
そこで、喫茶店を開く際、名水の場所を巡り歩き、そこから一番近い農家の方にお話をしておいて、電話1本で名水をポリタンクで送ってもらえるようにしておきます。これで仕込みはOK。
そして、喫茶店を開きます。
宣伝
「白山の名水でコーヒーを淹れます」
「来週は羊蹄山のふもとの名水でコーヒーを淹れます」
その次は、
「青森県のブナ林の湧き水で淹れます」・・・
と続けると、100週間~約2年で日本中の名水を飲むことができます。
同じ喫茶店でも、やはり何らかの付加価値があるとそちらに行きたくなるのが人情。こんな喫茶店があったら、通い続けちゃいそうです。
2 「死んだ服」が復活するクリーニング店
下準備はボタン集め。浅草橋あたりにいって、1万種類、10万種類のボタンを買っておきます。そして、ボタンの部屋を作っておきます。
クリーニング屋なので、ワイシャツやブラウスなどが持ち込まれますが、けっこう、「ボタン」がとれていることがあります。
そこで、「ボタンの部屋」で全く同じ種類のボタンを探してきて、付け直しておきます。そんなことが5,6回も続けば、お客さんも気づくはず。そして不思議な顔をするはずです。そこで、ふっ、ふっと笑って、お客さんを「ボタンの部屋」に連れて行きます。その人がわ~と言って驚く顔を見てみる事がしたいです。
実際、私の事を考えても、ボタンが取れてつけるのがめんどうくさくて、なかなか着られずにいる服があります。ある意味、それは、ずっと使われない「死んだ服」になります。
クリーニングに出すと、ボタンまでついてくるクリーニング屋があったら、どんどんと出しちゃいそうです(笑)。
3 10室だけの小さなホテル
私が経営したいのは、何百室もある大型ホテルではなく、10室くらいの小さなホテルです。
1つ目の部屋を「長安」と名づけます。
2つ目の部屋を「蘭州」。
3つ目は「敦煌」。
4つ目は「トルファン」。
そして、「バーミャン」「ガンダーラ」と続き、最後の10室目は「天竺」です。
1回目に来た人は長安にしか泊まれません。
2回目に来た人は、蘭州に泊まれます。
3回目で、やっと敦煌に入れます・・・・。とやっていったら、悔しいけれども10回通うのではないでしょうか。
例えば、敦煌の部屋では、ごつごつとした壁に穴が開いていて、覗くと仏像が彫刻されているとか、敦煌の隣には「タクラマカ砂漠」の部屋があって、そこは床一面が砂になっているとかすると、さらにおもしろくなると思います。
そういうホテルがあったならば、ものすごく旅心が刺激されて、もっと行きたいと思うに違いありません。部屋それぞれがどういうふうに変わっているのか、とても興味がわきます。
良い旅になるかどうかの要素に、宿があります。
宿でいい思い出ができたり、楽しい一時が過ごせたりすると、「もう一度泊まりたい」という思いにもなります。
正観さんのこの発想なら、たしかに、次の部屋は・・・と想像をかき立てられ、宿泊が目的に、また、訪れたくなります。
・・・私自身は、ビジネスマンではないので、経営や商売の事はよくわかりません。ただ、
人が利用したり、こうしたいという「ニーズ」が、ビジネスチャンスになるのは、何となくわかります。
実際、漫画などを全巻揃えて、販売する(届ける)サービスも、「1巻ずつそろえるのが面倒くさい」「いろいろと本屋をさがしても、なかなか見つからない」「古いマンガは、絶版になっていて、売られていない。」などの声を受けて、始まったものだそうです。
古本屋でも「大人買い」できるようにせセットになっていることもあります。
あるいは、本好きにはたまらない、「ブックホテル・旅館」ななるものもできているそうです。
旅のお供に本を持って行くことは多いですが、逆に「本を求めて」旅をする何ともおもしろい発想です。
それぞれの違いはありますが、本をゆったりと読めるスペースや部屋があったり、一つ一つの部屋にさまざまなジャンルで活躍する人が厳選した本が詰まった「あの人の本箱」が置かれている宿もあります。誰の本箱があるかは、来てからのお楽しみだとか・・・聞いているだけでワクワクします。
商売なので利益も大事だとは思いますが、どうやったら売り上げが増えるかとか、お客さんが来るかと言う発想ではなく、
もし自分が利用者だったら、どう面白がりたいか。
どうしたら喜んでもらえるか
だけを考えていると、人が増え、数字もついてくるようです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
皆様の心にのこる一言・学びがあれば幸いです
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