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にがて

苦手なもの。
「その1 ドアチャイム」

我が家はよく言えばレトロ、悪く言えばオンボロアパートに住んでいるので、モニター付きインターホンなどない。ドアチャイムのみ。

今どきそんな家があるのかと驚かれると思うが、そんなパンチの効いたアパートも細々と生き残っているのですよ。

そしてそのドアチャイム、本当に「ピンポン」と鳴るのである。
これをピンポンと言わずになんと言うのか。

押せば「ピン」、離せば「ポン」。

ドアピンポンである。
しかも大音量。音量調節機能無し。電源オフできない。
鳴るたびにびっくりするので、試行錯誤の結果、本体をテープでぐるぐると巻く、というインテリア好きから悲鳴が聞こえそうな方法で問題を解決している。

それでも鳴ればビクッとするので、できれば誰にも訪問されたくない。

苦手なもの。
「その2 野菜」

健康に気をつけている人、体型を気にしている人、美しくいたい人など、喜んでサラダバーに課金していることと思う。
私はというと、野菜中心の生活を送った方がよいお年頃だが、野菜は苦手なのでほとんど食べない。

ランチメニューには大抵サラダとドリンクが付いてしまうので、「サラダはいりませんよ。」とお願いするも、「セットになっていますので。」と言われる。
話が通じず運ばれてきたサラダは食事中に乾いて瑞々しさを失う。
色々と申し訳ない気持ちになるので、次回から単品で注文することにする。

子供の頃から野菜嫌い。
素材の味が消えていれば食べられる。
ハンバーグの中の玉ねぎ、お好み焼きのキャベツなど。

もともとの野菜嫌いに加え、昭和の教育方針で食べ切らなければペナルティという時代に育つ。
幼稚園、小学校でもサラダや添え物のブロッコリーなどを前にいつもひとり教室に残されていた。

みんなは昼休み。
校庭で遊ぶ声が聞こえてくる。
目の前にはどうしても食べられないレタス。

涙を流してしゃくり上げても「残さず食べなさい。」と言う先生。
「あなたのせいで先生も休み時間がなくなったのですよ。」
「残すなんて農家の人や給食の先生に失礼ですよ。」
「世界には満足に食べられない人もいるのですよ。」

言われなくてもわかっている。小学校低学年を舐めてもらっては困る。
先生に言いたいことは山ほどあるが、うまく言語化できないだけなのだ。

野菜を食べられない。
それだけで私は悪者なのか。

幼少期の辛い記憶である。
私は野菜をあまり食べないが、中年までは健康に生きることができている。
あの時の先生、私は野菜を食べないけれど元気ですよ。

そんな食事の体験があるため、我が子には楽しく、おいしく食事をしてもらいたいという気持ちが人一倍あるように思う。
「おいしい!おかわり!」と言われたら、こちらも嬉しくなってどんどん食べさせてしまう。

そんなこんなで令和の小学生の我が子は、学校からこんなお手紙をもらってきた。

検診の結果異常があります (肥満)
医療機関の受診をしてください

私が隙あらば撫でていたあのポッコリお腹は肥満。
ぽっちゃりとしてかわいいなあ、と思っていた我が子は肥満。
しかも病院に行けと。

「保健だより」には、平均値から外れていても気にすることはありません。成長はひとそれぞれです、と書かれていたが、肥満には容赦ない。

肥満からくる病気の心配なども学校としてはあるだろう。
食生活も心配されているかもしれない。
子どもに申し訳ないことをしていたのか、私は。

令和はジャイアンやブタゴリラにも受診をすすめてくる時代なのか。
多様性に肥満は含まれないのか。
「遺伝です」って言ってもダメなのか。見ればわかるだろうに。
様々な思いが交錯する。

おいしく食べてくれる我が子に、もう食べちゃダメだよ、とは言えない。無理だ。
もう、運動するしかないのか。
私の嫌いな運動を。

我が家は全員運動音痴。
走ればビリだし、ドッチボールは瞬殺。
仕方がないので、好きな音楽でオリジナルダンスを踊る、という方法を我が子が提案してきた。
いいだろう。踊ろうではないか。

我が家で流行っているゴーストバスターズのテーマ曲に合わせて踊り狂う親子。

盛り上がってきたところでふと気づいたが、カーテンも窓も開けっぱなしであった。
ご近所の目に怯んでいては、我が子の肥満は解消されない。
ぽっちゃりボーイは汗だくになって頑張っている。
決して笑ってはいけない。

知っていますか。
笑いを我慢すると腹筋に効くことを。
このままでは私の方が先に腹筋が割れる可能性が高い。

「明日も踊ろうね‼︎」と汗だくのぽっちゃりボーイに誘われたので、明日も笑いを我慢するはめになるだろう。

私はここに誓う。
明日は必ず窓とカーテンを閉めることを。

今日の寝不足の原因
ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」









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