わたしとおじさん
わたしを取り巻くいろいろを
お話しさせてください。
叔父さんはパンチが効いてる
父には兄弟がいて長男(父)、長女、次女、次男の
4人兄弟です。
父と次男である叔父は少し年が離れていたので
結婚して新居を構えるまでは我が家の一員でした。
幼かったわたしは面白いことばっかり言って笑かしてくる叔父に懐いていて、母がヒヤヒヤしながら見てるほどビュンビュン振り回してもらってキャッキャ言いながら遊んでもらっていたのを覚えています。
叔父は父と違いお酒もタバコもしませんでした。
帰ってくるとビールではなく、デカいきゅうりを一本バリボリボリ!と平らげていました。
「すごいやろ。」とわたしに自慢そうな顔で言い
「たくさん食べて大きいなれよ。」という野生的な件を毎日の様に繰り広げていました。
父も強面の顔立ちなのですが、叔父もなかなかのものでスキンヘッドに鼻の下にヒゲを蓄え、筋肉隆々としているものだからちょっとした『シティーハンター』にでてくる『海坊主』みたいな感じでした。
叔父さんはバリバリ音が鳴るミニバイクみたいなのに乗ってたり、部屋には鹿の角みたいなのや木刀も飾ってあったし、なんじゃこりぁと好奇心がくすぐられる感覚を日々提供されていました。
おばあちゃんは「末っ子やでヤンチャやでなぁ。」と言ってました。
そんな叔父が可愛らしいお姉さんを
連れて来た日がありました。
今となっては叔母にあたります。
結婚の挨拶だったのです。
幼いわたしは叔父が新居を構え家を出ていく事
をよく理解できていませんでした。
新居が建ち、叔父は引っ越していきました。
おっきなきゅうりを食べるたかいたかいしてくれる面白い叔父がいなくなった日々は
なんだかとてもぽっかりと穴があいたような
思いでしたが、新居もわりと近いところにあり
いつでも行けるので会おうと思えば会えたのに
それはなんだか用事もないのに行きにくくて、
そうしている間に普通の叔父と姪の距離になっていったように思いました。
ところで叔父はたくさん荷物を残しており、
整理をしていくと、勉強していたであろうノートや本、とにかく紙がたくさん!ちょっと意外でした。そしてノートには小さい几帳面な字が所狭しとならんでいたのです。
バイクとか鹿の角とかとにかくパンチが効いてた叔父さん、幼かったわたしが知っていたのは
ちょい悪で豪快なチャラおもしろおじさん。
実は勤勉な一面がある人だった事にわたしは
随分な時間差で意外性パンチをくらったのでした。
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