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喫茶チャイティーヨ 雨と君と。

〇〇「降ってきちゃったか〜」

この間の微妙な雲行きの際、鞄に突っ込んだままだった折りたたみ傘のおかげで事なきを得たものの、お店につくまで保っててほしかったお天気に裏切られ、歩みを早める。

4月頭。
世間は入学式や始業式、新生活を迎える時期。
僕自身もこの春、大学生になると共に一人暮らしを始めた。未だ軽い髪と耳に違和感を感じつつも、新たな生活に少しずつ気分が軽くなる思いだった。
この雨さえなければ。
入学式や午前授業や、オリエンテーションのみ。
そんな学校も多いこの時期は、早目の時間からお客さんが来る時期でもあるのだけれど、この雨では足早に帰宅する人のほうが多いかもしれない。
折角咲き誇っている桜も、散るのが早まってしまうだろう。しょうがないので、お店の可愛い“さくら”を眺めて癒やされよう。

店先に到着すると、軒先に人が立っている。
見慣れない女の子。間違いない。
こんな子、ひと目見たら絶対覚えてる自信がある。
それぐらい、整った容姿をしてる。


〇〇「…こんにちは」
???「こんにちは…。あっ、すいません!」

濡れた髪をハンカチで拭うその子に声を掛けると、素直に挨拶を返した後、何かを察して立ち去ろうとする。

〇〇「あっ、待って待って」

彼女を手で静止して、折りたたみ傘を畳んで店のドアを開く。

〇〇「飛鳥さん!」

入口すぐ右手。
カウンターの端っこ。
いつものスペースで本を読む女性。
小柄で華奢。
10代と言われても違和感のない容姿。
けど間違いなく僕の雇い主で、この店のオーナー。



本から視線を外してこちらを見る飛鳥さん。

〇〇「外で雨宿りしてる子がいて、オープンまでまだ時間あるんですけど、入れてあげていいですか?」

手にした本を閉じると同時に立ち上がる飛鳥さん。

飛鳥「いいよ。入れたげな」

そのまま空調を操作して暖房を入れてくれる。
態度や口調で誤解されやすいけど、すごく優しくて面倒見の良い、素敵な人。

〇〇「ありがとうございます!」

ドアを大きく開き、軒先の女の子に声をかける。

〇〇「どうぞ!入って!」
???「あ…えっと……」

戸惑いと遠慮が表情から伺える。

〇〇「いいからいいから、そのままだと風邪ひいちゃう。女の人もいるから、安心して」

ドアと僕の隙間から、飛鳥さんが顔を出す。

飛鳥「どーぞ」
???「…ありがとうございます」

先に店内に戻る飛鳥さんに続くように、店に入る女の子。ドアを閉じる前に折り畳み傘をしまって、傘立てを出す。

???「すごい…」

お店の中を見渡すように視線を巡らせると、女の子が呟く。僕はバックヤードから新品のタオルを2枚ひっぱり出してホールに戻る。

〇〇「これ、使って」
???「あ…でも」
〇〇「いいからいいから」
???「…ありがとうございます」

にこやかに笑ってタオルを渡すと、彼女もすこしばかり緊張が解けたのか、控えめに笑った。
髪を拭いながら、改めて店内を見渡して、

???「…喫茶店、ですか?」
〇〇「そうだよ。いいお店でしょ笑」
???「はい、素敵です笑」
〇〇「まぁ、そこにいるオーナーの趣味だから、僕が自慢するのも変な話なんだけど」
???「えっ…」

指差した先で、いつもの場所に座る飛鳥さんが小さく挙手する。

???「…高校生のバイトの子だと思ってました」
〇〇「ブフッ」

思わず吹き出してまう。

飛鳥「〇〇…」
〇〇「いやほら、飛鳥さん可愛いから。そういう風に見えるってこともありますよ!」
飛鳥「そういうフォロー求めてないから」
〇〇「…すんませ。…怖く見えるかもしれないけど、別に怒ってないから、気にしないでね。ホント凄くいい人だから笑」
飛鳥「ちょっと…!」
???「笑」

おどけて言う僕につられて、彼女も笑う。
改めて見て、やっぱり思う。

〇〇「凄い可愛いよね、君」
???「えっ…、あの…その…」

一瞬驚いて、次の瞬間には真っ赤になってタオルに顔を埋める女の子。

あれ…。
想定していない反応。

飛鳥「〇〇」
〇〇「あっ、はい!」
飛鳥「さっさと着替えな」

親指でぐい。
とバックヤードの方を指差す飛鳥さん。

〇〇「はーい」

バックヤードの入口はちょうど飛鳥さんの隣。
通りがかりに飛鳥さんが小声で話しかけてくる。

飛鳥「…西高でしょ、あの制服」
〇〇「え…、あ、そうですね」

乃木西女子高等学校。
この店の最寄り駅、乃木駅から西の方にあるお嬢様高。名前の通りの女子校で。

飛鳥「人によっちゃ中学から女子校の子だっているんだからさぁ…」
〇〇「申し訳ないです…」

あまりに仕上がっているビジュアルに、このくらい言われ慣れてるだろうと思い込んでしまった。
反省である。

飛鳥「んっ!」

顎で乱暴にバックヤードへ入るよう促される。

〇〇「行ってきます〜」

チャキチャキとバックヤードにあるロッカールームで着替えを済ませ、店内へ。
ちらりとホールを伺うと、女の子はカウンターに腰掛けていて、目が合うと恥ずかしそうに逸らした。
あ〜、これはよくない。ちゃんとフォローしよう。
その前に。
飛鳥さんの後ろを通り抜け、カウンターの奥、キッチンの入口にかけられたカーテンをくぐる。

〇〇「さくらさん、おはようございます」
さくら「おはよう〜」


中ではカレーの入った寸胴をかき混ぜる女の人。
飛鳥さんもたいがいだけど、この人は身長も結構高くて、小顔でスラッとした等身。けど、童顔なこともあってか、可愛らしさが先に来る人。
今日もふわりと笑って挨拶を返してくれる。
そこらの桜で花見するより、よっぽど癒やされる。

〇〇「さくらさん。オープン前なんですけど、軒先で雨宿りしてた子が居て、入ってもらってます」
さくら「そうなんだ。予報は晴れだったもんね」

さくらさんはコンロの火を弱め、カーテンをくぐって店内に顔を出すと、カウンターに座る女の子と視線が合う。

さくら「こんにちは」
???「こ、こんにちは」

本当に可愛らしく微笑む人だから、女の子もつられてほっこりとしてしまう。

さくら「ゆっくりしていってね」
???「はい、ありがとうございます…」

キッチンに戻るさくらさんと入れ替わるように、僕も店内に戻る。女の子が視線を逸らす前に、

〇〇「さっきは急にごめんね。不快にさせるつもりはなかったんだけど」
???「あっ、いえっ、その、私こそ、過剰に反応しちゃって…。すいません」

素直ないい子だなぁ。
流石は西高生。

〇〇「それで、お詫びと言っては何なんだけど、珈琲飲める?1杯奢らせてくれない?」
???「えっ、そんな、悪いです。ここまでしてもらって、ごちそうまでしてもらったら…」
〇〇「僕の罪悪感の軽減に協力すると思ってさ。このまま帰らせたら寝覚めが悪いから」
???「…じゃあ、ありがたく頂きます」
〇〇「よかった!苦みがある方が好き?それとも酸味のある方が好き?」
???「じゃあ…苦みがある方で」
〇〇「はーい。ホットがいいかな?」 
???「はい」
〇〇「少々お待ち下さい」

カウンターを移動して、飛鳥さんの所へ。

〇〇「飛鳥さん。お代、僕が出すので珈琲入れてもらえますか?」
飛鳥「はいはい。楽しそうだな、ずいぶん」
〇〇「いやぁ、ホッとしました。目も合わせてもらえなくなったらどうしようかと」
飛鳥「まぁ、いいけど」

飛鳥さんは立ち上がるとカウンターを端から端へ。

〇〇「深煎りのホットです」
飛鳥さん「は〜い」

ケトルや電動ミルが置かれたスペースへ移動すると、冷凍庫から豆の入ったパウチを取り出す。

飛鳥「今日の深煎りのオススメはホンジュラス」

豆を計量して、ミルに放り込みながら、豆の説明する飛鳥さん。

飛鳥「苦みは勿論あるけど、香ばしさがチョコレートっぽくて、ヌガーみたいな甘い余韻があるから飲み疲れしないと思う」

挽いた豆をペーパーフィルターにセットして、ケトルから湯を注いで蒸らす。
店内に珈琲の香りが広がっていく。

???「いい香りがします…」
飛鳥「ね」

僕はお菓子用のショーケースの裏でとある物を準備する。ナイフをトーチライターで温めてカット。生クリームをたっぷりと添える。

飛鳥「さて…」

珈琲の抽出が終わり、味を確かめた飛鳥さんは腕を組んで、カップとソーサーの棚を眺める。

飛鳥「…これかな」

棚から赤と白が美しいカップを手に取る。

???「綺麗…。いただきます」

軽く香りを確かめて、一口。

???「美味しい…。凄くいい香りです」

にこりと笑顔になる女の子。

〇〇「良かったらこれもどーぞ」 

珈琲の隣にそれを置く。

???「えっ、これは…」
〇〇「試作品なんだ。味の感想聞きたくって」


〇〇「テリーヌショコラなんだけど、特に深煎りでチョコレートっぽい香りの珈琲と合わせるのにオススメだから」
???「…ありがとうございます」

彼女は少し申し訳なさそうな表情を浮かべたけど、素直にお礼を言って、フォークを手に取った。
一口食べると、またニッコリとして、

???「美味しいです。甘くて、濃厚で」

そこへ珈琲も一口。

???「あっ、すごい。珈琲からもチョコレートの香りがより感じられる気がします!」
〇〇「マリアージュの基本に共通点があって、珈琲のチョコレート感と、ショコラテリーヌのチョコレートがそれぞれのチョコレート感を底上げしてくれるんだよね」
???「なるほど…。あ、今。今、すごいヌガーです」
飛鳥「笑」
〇〇「同じチョコレート感を味わうと、今度は違う部分も見えやすくなるよね笑 食べ比べや飲み比べすると違いを感じやすいのと一緒で」

違いを知るって、好きだな。
違うからこそいい。
違ってるから知りたくなる。
皆同じなら、知る必要すらなくなってしまう。

〇〇「テリーヌの甘さを、珈琲の苦さで補填し合えるし、添えた生クリームで別の甘さとの組み合わせも楽しめるよ。うちで使ってる生クリームはすごく美味しいし、それを珈琲に乗せたウィンナー珈琲も人気だしね」

生クリームや乳製品の多くは、夕方から入ってくれるスタッフの美波さんのお知り合いがやってる農場から取り寄せている。
変わった農場で、クオリティの高いものを生産してるけど、それだけに留まらず、ウォンバットの繁殖や育成にも定評があるそうで、それを目当てに農場の見学に来る人も多いらしい。自分で言ってて、意味がわからない。
本人も変わりもんだから。
というのが美波さんの談。
美波さんは他にも目力のある美人な人がやってるパン屋さんや、若いうちから起業してアパレルブランドを起ち上げた社長さんなんかともお知り合いだっり、人脈の広い人。たぶん他にも色々な知り合いがいるんだろうな。

〇〇「添えてるチェリーは甘苦さに疲れて来ちゃったら、食べてみて。酸味で口直ししてくれるから」
???「私、こんなにちゃんとペアリングとかマリアージュとか考えたことなかったんですけど、凄く楽しいですね」

すっかりニコニコの女の子。

〇〇「やりましたね笑」

隣の飛鳥さんに思わずピースサイン。
飛鳥さんもまんざらでもないように微笑む。
この人に笑顔を浮かべさせられたら、こんな自分でも誇らしい気持ちになれる。
頑張らなくては。
一分一秒でも多く、長く、この人を笑顔にする。

飛鳥「じゃあ、ごゆっくり」

飛鳥さんはそう言って、スタスタといつものスペースへ戻る。

〇〇「僕も開店準備するから、ウロウロすると思うけど、気にせずゆっくりしていってね」
???「本当にありがとうございます。何から何まで」
〇〇「どういたしまして」

すっかり緊張もとけて、リラックスした雰囲気で笑う彼女に安心する。

このお店が好き。
ここに集まる人達が好き。
ここにいる間だけでも幸せな気持ちで居て欲しい。

〜〜〜〜〜〜

開店前の準備もあらかた終わり。
時間もいい感じ。

カウンター内に戻ると、どこか憂いを帯びた表情で窓の外を眺める女の子。
少し雨脚が弱まった、しとしと降る様子を見つめてる。彼女の場合、そんな姿すら絵になってしまう。

忌憚なき意見を申し上げるなら、このお店は素敵な人が集まってくる。飛鳥さんもそうだし、さくらさんも、美波さんも、皆可愛くて美人ばかり。
常連のお客さんもそう。特に飛鳥さん達のお知り合いの方達は飛び抜けて綺麗な人達が多い。美人の知り合いは美人でなければいけない。そんなルールでもあんのかい?

そんなお店で働く僕でも、今そこにいる女の子は美しいなと思う。そんな子が、さっきみたいな言葉一つでアレだけ照れてしまうくらい、そんな言葉をかけられ慣れていない事に驚く。
それが女子校の弊害なのか、それとも美点なのかはわからないけれど。
少なくとも共学だったらクラスメイトには同情する。こんな子が居たらその振る舞いだけで一喜一憂してしまいそうだから。

〇〇「なにかお悩み?」
???「えっ?」
〇〇「なんかアンニュイな感じだったから」
???「…大したことじゃないんです。部活、どうしようかちょっと悩んでて」
〇〇「ほう。なんの部活やるかってこと?」
???「はい…。私、将来は絵に関わる仕事したいって思ってて」

視線を手元にカップに注ぐ。

〇〇「じゃあ、卒業後は南美志望?」
???「はい、そのつもりです」

南美。
乃木南美術大学。

???「だから、普通に考えて美術部に入ればいいと思ってたんです。勿論絵を描くのは好きだし。…ただ」
〇〇「他にも興味の湧く部活があった?」
???「…そうなんです」

嬉しそうに笑う彼女。

???「うち、弓道部があって。なんか格好いいなって。何気なく見学に行ったんです。そしたら空気というか、雰囲気というか。凄く素敵で」
〇〇「やってみたくなったんだね」
???「はい。的を見つめる視線とか、矢を射る前の緊張感とか、撃った後の空気の弛緩とか。そんな空間に立ってみたいなって」

再び窓の外。雨を見つめる。

???「けど、たぶん、部活を卒業したら矢を射る機会は無いですよね。だったら好きな上で、将来に繋がる美術部のほうがいいのかなって」
〇〇「…なるほどね」

僕は知らず知らず腕を組む。

〇〇「う〜ん、たかが部活。っていうと聞こえが良くないと思うんだけど。それでも部活は部活だと思うんだよ。将来とか、通知表とかのことより、今の自分にどれだけ彩りを与えてくれるかでいいんじゃないかな」

ちらりと飛鳥さんを見る。

〇〇「飛鳥さん…うちのオーナーがね、前に言ってたことなんだけど、この世界には数え切れないくらい珈琲豆に種類があって、中にはただ挽いていれるだけじゃ美味しさがわかんないものもたくさんある。けどそんな豆もブレンドって言って、他の豆と組み合わせるといい仕事するんだよねって」
???「え〜っと…?」
〇〇「あぁ、ごめん。要はどんな物にも、どこかしらちゃんと意味や価値はあるんだよ。ただこの世に存在する、すべての物の価値を理解できる人間は居ないと思う。どんな良いものでも理解できない人は絶対いるし、逆もまた然り」

しとしと降っていた雨が、
いつの間にか止んでいる。

〇〇「だから手の届く範囲で、価値があるなと思うものに出会えたなら、きっとラッキーなんだよ。
こんなに色んな物が溢れてる世界で、自分にとって価値あるものに出会えるって。だから、せっかくなら手にとって見ても良いんじゃないかな。
人生に必須なものじゃなくたって、今が、楽しくなったり、嬉しくなったりするものなら、十分、価値も意味もあるよ、きっと。珈琲は必須アミノ酸じゃないし、喫茶店は行かなくても死なないけど、有ったら嬉しいし、楽しいじゃない? 
君にとって弓道は、そういうものになるかもしれない。もしそうなら、人生がさらに少し楽しくなるかもしれないよ」

僕は笑う。
人生は楽しんだもの勝ち。
楽しもうとするもの勝ち。

〇〇「無責任かもしれないけど僕はそう思うかな」
???「…そうですね。そうかもしれませんね」

窓から差す陽の光に目を細めて、彼女は笑った。


〜〜〜〜〜〜


???「ご馳走様です、ありがとうございました」
飛鳥「どういたしまして」

まだ少し濡れた制服のジャケットを手に、彼女はお店の出入り口へ。カウンターの端に座る飛鳥さんに挨拶をして、ドアに手をかけた。僕はA看板を手にその後に続く。

???「あの、本当にありがとうございました」
〇〇「どういたしまして笑」
???「それで、えっと…」

彼女の視線は僕が手に持つ、A看板に注がれている。

〇〇「あぁ」

僕はそれを彼女に見せるように。

〇〇「喫茶チャイティーヨです。で、アルバイトの△△〇〇です。よろしくお願いします」

軽く頭を下げる。

???「あ、えっと、井上和です。和菓子の和で、なぎです」

丁寧に挨拶を返してくれる。
本当に素直ないい子だなと思う。

和「次は必ず、お客さんとして来ます!」
〇〇「定休日の水曜日以外、いつでもお待ちしてます」
和「…じゃあ、失礼します」
〇〇「はい、足元お気をつけて」

看板を定位置に置いて、
小さく手を振って見送りする。



彼女もにっこり笑って、手を振って歩き出す。

出来るものなら、悲しみや苦しみ、そういうものと無縁で居てほしい。屈託なく、いつも楽しく、元気に過ごして欲しい。
その無邪気さや素直さを損なうことなく。
そういう人が一人でも多く居てくれたなら、その手伝いができるなら、救われる気がするから。

店のドアが開いて、飛鳥さんが出てくる。
珍しいな。と思っていたら、僕の服の裾を掴んで店へと引っ張っていく。

飛鳥「たそがれてる暇ないから」

こちらの顔も見ないで、
引っ張るその様子に思い当たる。

〇〇「すいません、心配かけて」
飛鳥「は?別にしてないし」
〇〇「…そうですか。じゃあありがとうございます」
飛鳥「…なにが」
〇〇「全部です。なにもかも」
飛鳥「あっそ」

いつものそっけない返事をして、店内まで僕を引っ張り込むと、手を離していつものスペースへ。

〇〇「今日は何にしますか?」

僕はその背を追ってレコード棚へ。

飛鳥「…ソニー。スティットの方」
〇〇「いいですね」

棚からソニー・スティットのペン・オブ・クインシーを取り出してセット。

その音が聞こえたんだろう。
さくらさんが笑顔でキッチンから顔を出す。

〇〇「オープンします! 今日も1日よろしくお願いします!」
飛鳥「よろしく〜」
さくら「お願いしま〜す」

扉の外側に掛けられた札をCloseからOpenへ。


乃木駅から徒歩6分ほど。
カウンター5席、2名がけテーブル席2つ、
4名がけテーブル席1つ。

毎週水曜定休日。

喫茶チャイティーヨ。

今日も皆さんのご来店をお待ちしております。




雨と君と。  END…



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ライナーノーツ
引き続きました、チャイティーヨ。 

プロローグというか、読み切りというか、に当てはまる喫茶チャイティーヨが自分作史上最大のスキ数が付きまして、驚き。
皆大好き日常ものだからなのか、単純に読み切りだから読みやすいよね、なのか。

基本的に需要にお答えするスタイルじゃない人間なので、書きたいものしか書いてないのですが、スキと言われればやはり人間嬉しいもんですね。
ではでは、今後もよろしくお願いします。

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