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買うつもりはなかったのだけれど(2)

空き家バンクにも定住前提で地元住民代表みたいな人と面接してからでないと物件を見せないなんていうのもあるが、そういうのは今回の目的には向いてないからパスして、別に定住しなくても別宅として使ってもいいですよ、というあまりうるさくない自治体の物件を探した。
はじめから二桁万円で出ているようなものは、まず不便な場所にある家、傷んだ家、そのままでは使えない家といったところだが、たどり着くのが面倒なところは最初は面白くて行くだろうがじきにイヤになるのは目に見えている。不便な場所にある物件はだめだ。改修にお金をかけるのもジャンク遊びのポリシーに反する。と言うか、そもそもそんなお金は持っていない。とするとぱっと見の印象は良くないけれど、あまりひどい傷み方をしていないもの、というのをさがすことになる。
はじめて見たのは立派な杉林のなかにある小屋みたいな家。杉林というより杉山で、その杉山の裾のほうの斜面をちょっと削って家を建てる分だけ平地をつくったような物件で、まわりは見上げるような巨木の生えた斜面に囲まれている。家というより木こりの休憩所かなという物件。二桁万円前半という破格の値段がつけられていて、安いし面白いとは思うが買うという感じではない。などと思っていたらしばらくして売約済みとなり、あれを買う人がいるのかと感心すると同時になんかお得な買い物を逃したような気持がしてきた。いらないのに…。

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