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きっかけは何ですか?

書く必要性にせまられ、昔を思い返していた。

先日、
「読書が好きになったきっかけは、なんの本でしたか?」という
予期しない質問で、ちょっとばかりフリーズしてしまった。

「え?」
(なんだったっけ?)

物心がついたときには、本をガシガシ読んでいて、夜、まめ電球になってからも布団の中に懐中電灯を持ち込み、読み終えるまで読んでいた。
懐中電灯を翌朝に隠したりできないところが1年生。見つかっては怒られるの繰り返し。
小学校低学年で寝不足の理由は「読書」…。今思い返して、どういう1年生だったんだ?と思ってしまう。

教科書を読み切る

母に聞くところによると
入学して、学校から貰った国語の教科書を1日で読んでしまい、つまんないというから本を渡してみた、と。
それは確かに記憶にある。
本に没頭してその世界に入ってしまうとなにも聞こえなかったらしい。
少し大きくなると教科書の単元の終わりに掲載されている参考文献(○○より抜粋)を見て、続きが読めるんだ?と嬉しくなり、授業でやるころには、抜粋ではなく全文を読んでいた。それが毎年だったなぁと。
テストも内容より文の後に書いてある「○○より抜粋」は重要…その後の模試にも当てはまる。お陰で国語の模試は、「とてもいい点だった」のは想像に固くないはず。文法には興味はないし、漢字は読めればいい!

小学校の特徴

私が在籍していた小学校は、毎日、本を借りろ借りろとうるさい学校で、誰が月に何冊借りたかカウントしていたくらい熱心?な読書教育だった。毎朝素読があり、論語やら、歴史人物の有名な文章が毎月配られ、暗記させられていた(今となってはいい事だと思う)。
学校の図書室で借りる数が毎月トップだったこともあり、借りる冊数が多い人は、表彰されていた。私としては、重きを置かない事だったが、級友から「本当は読んでないんじゃないか?」と疑われるのが面倒だった。1週間で5冊借りられる。マックス借りる。すべて読み切って返す。そのうち、「またかアイツか?」という反応に変わったのだけど。

きっかけ

そして、小2の夏。ちょっと不調が続き病院で検査をする事になり、1日がかりの大仕事。
たまたまそこにあった本が、たぶん青い鳥文庫の

【ああ、無情】

無情の本意なんて小2にわかるわけがない。タイトルの意味がわからないから、手に取った。そんな記憶まで蘇り。

その日の痛かったこと、大変だったことはほぼ覚えてない。
会計も終わり、帰ろうと言われても
「あと、この本が少しで終わるから待って!」と、人のいなくなった待合室で、母が静かに待っててくれたこと、感謝しかない。素晴らしい本に出会えた病院の景色を今でも覚えている。
この本に至っては、娘がその頃の私と同じ年に買い与えた。そして彼女が大きくなり、レミゼの舞台を観にいった日、帰宅するなり自分の解釈と舞台の感想と、昔読んだときの感想を一気に話した。私と同じように、ずっとずっと心に残っていたんだな、という事が嬉しかった。その時の本は絶対に売らない!と今も本棚にあるそうだ。母娘にとって、大切な思い出の本。

まさかの?

「本を好きになったきっかけ」という大事なことを忘れていた自分がとても残念に思ったけれど、思い返すきっかけになった。大切なものを置いてきちゃうとこだった!
その質問をしてくださった方に本当に感謝!ありがとう!
そしてその方が本を大好きになったきっかけは、お母様から勧められた「椿山係長の七日間戦争」だったと教えてくれた。

「え?浅田次郎!!!」

次郎さん談義に花を咲かせたのは言うまでもない!

そうそう、後に知ったが浅田次郎も懐中電灯を照らして押し入れでプラモデルを組み立てていたという…ニヤニヤしてしまった。

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