カルマ【詩】
胸の奥に手を突っ込んで
内臓の端っこを掴んで
そのまま引っ張り出す
汚物のまとわりに、薔薇の花を一輪見つける
「内蔵に薔薇はそぐわない」
それゆえに確かに感じるのは
まったく不健全。
棘があることも、日がな、花が開くことも
そしていつか散るであろうことも
まったくもって真実のようであるのに
そこにあることだけをどうして疑うのだろうか。
汚物に塗れ、血が滴る。
その血を決してこの薔薇は吸わないであろう
それゆえに疑わしい。
それゆえに愛おしい。
もしも私に来世があるのなら
どうか、この一輪だけを
持ち出させてくれぬだろうか
そのようにきっと、今世でも
私の胸に薔薇は埋め込まれたのであろう
そして、棘の痛みに、胸を開いて
はじめて、こんなものがあったことに気づくのである
これだけは持ち帰らせておくれとまた頼み
神はまた呆れた顔で
懲りないねえと言うのである
懲りたならきっと、
全てに出逢うことを
諦めたに違いない。
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