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記憶冷凍【毎週ショートショートnote】

葬儀業界は負のイメージにより避けられた業界であったが、高齢者の多い日本では葬儀件数が増加傾向にあり、葬儀費用を抑えた新規参入が増えている。

安く抑えただけでは価格競争に陥ってしまうため、付加価値を上げるためにAIを活用した死者との対話サービスを始めた。

生前の画像や動画、プロフィールを読み込ませてAIとして復活させるのだ。

『お父さん、お母さん、僕は天国で元気に暮らしてるよ』
「ああ、ナオキにそっくりだ」
「ナオキ、ナオキなの」

『そうだよ。ナオキだよ』
「声もそっくりだ」
「ねえ、ナオキ。なにかして欲しいことある?」

『友達ともお話したいな』
「いいとも」
「早速、お友達も呼んでくるわ」

『おお、ナオキじゃないか』
『シンタロウか。話したかったよ』

Al対話サービスでは死者同士の対話が無限に増えてしまい通信障害が頻発するようになった。そこで政府は「記憶冷凍法」を成立させて死者同士の対話ができないように葬儀事業者に義務付けることにした。

(410文字)



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