18.マラソン

先日マラソン大会に人生で初めて出場した。完走すればティファニーのペンダントが貰える某大会である。といってもフル(42.195km)の完走はならず、中間地点でのリタイアとなった(本番前に中間地点でリタイアする事を決めていた)。今回はその時の事を書こうと思う。

元々学生時代に陸上部だった事もあり、球技全般がかなり出来ない代わりに走る事は昔から好きで、月に1〜2回ほどの軽いジョギングを趣味にしていた。

ランナーとしての経験と言えるほどの物は無かったものの、何だか楽しそうだからという理由だけでマラソン大会にエントリーしてみたのが約半年前。

目標があるとやる気も出て、月2回だったジョギングを週3回に増やした。筋肉が付き、走力が上がるのを実感出来る事が楽しく、3km、5km、8km、10kmと距離もどんどん延ばして行った。

マラソンに向けた練習をし始めてから3週間ほど経った頃、左膝に違和感を感じ始めた。
スポーツ選手が良く〇〇に違和感を感じて試合に欠場、といったニュースを見かけるが、その「違和感」の意味を初めて理解した。
痛みと言うほどではないが、体の中でなにかが掛け違っているような違和感が左膝にあった。
最初は単なる違和感だったものが、練習を重ねるにつれて段々と痛みに変わっていった。走り始めると痛くなり、走ってから数日は体重をかける度に少し痛む。騙し騙し続けていたものの、このまま無理を続けても膝を壊すだけだと思い、休養することにした。

調べてみると、痛みの原因は練習強度の上げすぎで、足の筋肉が育っていないのに走り過ぎたせいで関節に負荷がかかってしまっていたらしい。

約1カ月半休養し、走っても違和感を感じなくなった事を確認してから、膝の調子を見つつ痛みの出ない頻度と距離で少しずつ練習を再開していった。

結局大会本番前に練習で走った最高距離は12km程度で、ハーフマラソン(21km)の半分程度だった。思い返すとハーフ完走もまあまあ高い目標設定だったなと思う。

当日は晴天に恵まれ、初めてのマラソン大会ということでテンションも上がり、15km地点くらいまでは割と良いペースで走ることが出来た。ランナーのためだけに解放された車道。見える限り全て青色の信号。背中に「自分のペースで!」などのメッセージを付けてくれてるランナー。沿道からの声援。もしかしたらこのままフルマラソン完走出来てしまうんじゃないかという考えまで頭をよぎった。

調子が良かったのもそこまでで、18kmも過ぎるとそれまでのペースを維持する事が難しくなった。足は段々上がらなくなり、今まで意識した事も無い筋肉が足を上げるたびに痛くて泣きそうになりながら走った。

歩いているのと変わらないペースになり、いっそ歩いてしまおうかとも思ったが、目標はハーフ完“走”であったので、意地で何とか中間地点まで走り切り、そこでスタッフにリタイアする旨を伝えた。

私は中間地点でリタイアしたが、周りを走ったり歩いたりしていた人達はその先もゴールを目指して進み続けていた。中間地点で走れなくなっているのに、それでも20km以上先のゴールを目指して進み続ける根性に畏怖と尊敬の念を抱いた。良くもまあ好き好んでこんな事に挑戦する人がウン万人もいるものだなと、参加しておきながら思った。

私の初マラソンの公式記録はリタイアではあるが、事前に目標をハーフ完走としていたので達成感はあった。大会後3日程は階段が降りられない程の筋肉痛に襲われたが、心配していた膝の痛みも出ずに綺麗に治った。

ティファニーのペンダントは貰えなかったものの、私はハーフ完走出来る体力があるぞという自信と、当初の目標が達成出来なくても全てを諦めなくても良いじゃないというある種の開き直りを手に入れたと思う。

というわけで、興味があったら軽率にマラソン大会にエントリーする事をオススメします。最初はハーフが良いと思う。来年はフル完走出来たら嬉しいな......。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?