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映画、監督、俳優からの学び

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映画に興味ある人に、交流のあった監督や好きな映画から学んだ事を書いています。
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記事一覧

「ジョーカー フォリ・ア・ドゥ」と寺山修司「幸福論」から学ぶ「他人を不幸にしない生き方」

「ジョーカー フォリ・ア・ドゥ」と寺山修司「幸福論」から学ぶ「他人を不幸にしない生き方」


はじめに 満員電車で疲れた自分が「極悪女王」の顔と重なる

 疲れていた。帰りの満員電車で、つり革を持ちフラッとめまいがした。後ろに立っている人の肘に当たったらしい。次の瞬間、悪意の籠った強さで、肘で強く押し返された。
 びっくりすると同時にイラっとした。衝動的な怒りとも言っていい。
私はときどき感情リテラシー(感情を客観的に言葉で表現し認識する能力)を失ってしまう。そこで一息ついて
 「あゝこ

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「輝きたいの」(84)と「極悪女王」40年後の女性たちの共闘

「輝きたいの」(84)と「極悪女王」40年後の女性たちの共闘


1.山田太一脚本「輝きたいの」(84)と「極悪女王」(2024)

  
 女子プロレスファンでもない私は「極悪女王」を人に勧められるまで、見たいとは思わなかった。
 女子プロレスのドラマと言えば1984年山田太一脚本、今井美樹のデビュー作である「輝きたいの」で充分な気がしていた。
 予告編を見る限り、40年前の「輝きたいの」とはあまりに違う世界、残虐で暴力的な内容に気が進まなかった。
 今回「

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38年前の16mm映画上映で学生と共感できた閉塞感と希望

38年前の16mm映画上映で学生と共感できた閉塞感と希望


1.38年前の自作16mm映画「モノトーンの夏」再上映

 映画「モノトーンの夏」は、19歳の友人Aの突然の死から、彼の彼女と友人Bが、死を受け入れられず呆然と時を過ごし、突発的な行動に出る小さなロードムービーだ。
 彼女はレコードを万引きし、友人Bは停めてあった軽トラックを盗み、行き場のない思いで車を走らせ、海でビールを飲み、死のうとするが...。
という50分弱の中編映画だった。

 学校の

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宮沢賢治と宮崎駿から学ぶ日本の基層文化の再生

宮沢賢治と宮崎駿から学ぶ日本の基層文化の再生


1.トトロと山猫、森の神や精霊の世界

 宮崎駿が絵本「どんぐりと山猫」を読んで、山猫が小さかったことが気に入らず、自分なりの山猫のイメージ、大きさは2メートル以上でボーッと立っていて、足下でどんぐりたちがキイキイ言っている。その強烈なイメージからトトロは生まれたという。
 トトロ美術館の看板には、トトロの原型になったヤマネコの看板が掲げられている。

 宮沢賢治の「どんぐりと山猫」の山猫は、ど

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矛盾の芸術:宮沢賢治と宮崎駿に学ぶ「今を生きる姿勢」

矛盾の芸術:宮沢賢治と宮崎駿に学ぶ「今を生きる姿勢」


1.宮沢賢治:災害と社会の矛盾の中で成長

 宮沢賢治と宮崎駿が子供の頃生きた時代と震災や津波、異常気象、パンデミック、戦争が続く今の時代とが重なるように思える。
 昔から親しんできた二人の作品が、今になってリアルに感じ、現代と照らし合わせて今一度、彼らの表現の背景を考えたみた。

 宮沢賢治の生きた時代は、冷害による凶作、日露戦争、第一次世界大戦、関東大震災の、明治から大正1933(昭和8)年

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ゆったりとした気持ちになる「カムイユカㇻ」の魅力

ゆったりとした気持ちになる「カムイユカㇻ」の魅力


映画「カムイのうた」、アイヌ文化と「カムイユカㇻ」

 映画「カムイのうた」は、文字を持たないアイヌの口承文学である叙事詩「ユカㇻ」をローマ字と日本語訳で表現した知里幸惠さんの19年の生涯を描いたもの。
 印象に残ったのは、想像以上のアイヌの人々への過酷な差別と偏見。
そのやり切れない感情を、竹の板と紐の振動で表現するムックリの不思議な音色。
 夜の森から見つめるシマフクロウの神秘的な眼差し、風

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「アバウト・タイム」日常的タイムトラベル、トライアル&エラーのすすめ

「アバウト・タイム」日常的タイムトラベル、トライアル&エラーのすすめ


①「今日が人生最後の一日だったら何をする?」の答えを探す「タイムトラベル」

 「アバウトタイム」は、父親から代々受け継いだ「タイムトラベル」の能力を、21歳のティム(ドーナル・グリーソン)が使って、自分の恋愛の失敗や友人や家族の不幸な出来事を消そうと奮闘するラブコメディ。リチャード・カーティスの監督としての最後の作品。
 リチャード・カーティスは、インタビューの中で、この映画は「今日が人生最後

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「PERFECT DAYS」人を幸せにする持続可能なモノ作りの3つのヒント

「PERFECT DAYS」人を幸せにする持続可能なモノ作りの3つのヒント

「PERFECT DAYS」は、シンプルに楽しい至福の映画体験だった。
 長年ヴィム・ヴェンダースの映画を観てきたが、これほどわかりやすく心に響いた映画はなかった。
 私はこの映画からストレス社会から抜け出し、人を幸せにする持続可能なモノ作りの姿勢や楽しさを改めて教えられた。

①日常の観察から生まれる心の安定と優しいまなざしを持つ事

 「PERFECT DAYS」はトイレ清掃作業員の日常が繰り

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岡本喜八監督『ネガからポジへ』痛烈な喜劇「肉弾」

岡本喜八監督『ネガからポジへ』痛烈な喜劇「肉弾」

1.ネガからポジへ

 「ゴジラー1.0」を見て、昔の戦争映画が見たくなった。それで岡本喜八監督の「肉弾」を見た。
 岡本監督の映画が好きだ。「大誘拐」「ジャズ大名」「近頃なぜかチャールストン」「ブルークリスマス」「沖縄決戦」「肉弾」「独立愚連隊」
 リズムとテンポとユーモアがあって、楽しみながら見てしまう。観た後に痛烈なメッセージが届き、それについて考えこんでしまう。
 岡本喜八監督のエッセイ集

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「82年生まれ、キム・ジヨン」顔のない小説と顔を持った行動の映画

「82年生まれ、キム・ジヨン」顔のない小説と顔を持った行動の映画


1.顔のない小説、誰もが感じる危機感と喪失感

 私は、好きな小説の場合、映画化は観たくない。映画化された作品を観てしまうと、読んで想像したイメージが、映画化されたイメージに上書きされて消えてしまう。これが困る。
 本を読み返す度に、映画の演者たちの顔が浮かぶ。困る。「困る」なら観なければ良いのだが…。ときどき原作では良くわからなかった事が、ぱっと目の前に広がる事がある。
 で、原作「82年生ま

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「フィルムなつかしい」と言う学生達と繋がり表現の豊かさを持つ事

「フィルムなつかしい」と言う学生達と繋がり表現の豊かさを持つ事


1.16ミリフィルム映画を「なつかしい」と言う学生たち

 学生映画のある場面の撮影に使うために、16ミリフィルムの映写機を久しぶりに回した。映写機にかけたのは、20年以上昔の、10分ほどの学校を舞台にした短編映画だった。
 デジタルネイティブで、4Kのクリアな映像にこだわるZ世代の彼らが、なぜか映像を見て「なつかしい」と言い始めた。
 教室の別の場所では、別の班が別の映画製作の話し合いをしてい

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22年後に気づく「アメリ」の事件、動機、謎の鍵となる3人の人物

22年後に気づく「アメリ」の事件、動機、謎の鍵となる3人の人物

「アメリ」リマスター版が22年ぶりに劇場公開されるらしい。
 それとは知らずにNetflxで「アメリ」を再見した。久しぶりに見ると、「アメリ」の鍵を握る3人の人物、語り手、ダイアナ妃、ルノワール「舟遊びをする人々の昼食」の「水を飲む娘」が浮かんできた。

1.語り手:「アメリ王国」のニュースを語るのは誰?

 映画「アメリ」は、アメリの頭の中と現実がミックスされたパリ・モンマルトル、アメリの仕事先

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侯孝賢監督が教えてくれた3つの事、それでも、人と世界を美しいと感じる事

侯孝賢監督が教えてくれた3つの事、それでも、人と世界を美しいと感じる事


侯孝賢監督が教えてくれた3つの事

 侯孝賢監督の「冬冬の夏休み」「童年往時/時の流れ」「恋恋風塵」は私にとって大切な幼い頃の記憶と原風景につながる映画だ。

 Yahoo!ニュースの記事を読み、侯孝賢監督が、アルツハイマー認知症で監督を引退した事を知った。

 侯孝賢監督の「童年往時」を見て「こんな映画が撮りたい」と夢中になり、侯孝賢監督の作品を観てインタビューを読み、多くの事を学びたいと思っ

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「パリ、テキサス」と「東京物語」、心の空白と風景(世界)の光の物語

「パリ、テキサス」と「東京物語」、心の空白と風景(世界)の光の物語

 10月23日(月)から始まる東京国際映画祭「小津安二郎の生誕120年、没後60年記念」で、小津監督の35本の映画がアーカイブで上映されるという。
 コンペティション部門の審査委員長は、ヴィム・ヴェンダース。
 映画「ベルリン 天使の詩」は「全てのかつての天使、特に安二郎、フランソワ、アンドレイに捧ぐ」と、映画監督:小津安二郎、フランソワ・トリュフォー、アンドレイ・タルコフスキーに捧げられている。

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