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ヒトは誰と出逢うかで運命は変わる 〜勉強はどこまで必要か〜

10年越しでクラスメイトに会った。
御茶ノ水で治療院をしている彼は、今は都内に2店舗を構えて10人ほどのスタッフを抱えている。

私よりひと回り以上も年下の彼は、専門学校に在籍している時は高校を出て間もなく、いわゆる遊びたい盛りだった。
もちろん、学校に来ても授業はろくに聞かず、テストもギリギリかまたは再試験を受けて何とか進級していた。

その頃、私はサラリーマンを辞めて専門学校に入ったクチで一応の社会経験もあった。あえて比較すれば、当時は私が先を走っており、彼は最後尾にいる。そんな景色で学校を卒業した。

あれから10年。
月日とともにヒトは変わるというのは本当で、今は彼が先を走っているなぁ、と感慨深く感じている。

彼はいわゆる治療家の二世で、親が治療院を経営している。
しかしそれを鼻にかける空気は微塵もない。これまでに幾つもの苦労を重ねて来たことが伺える。出張治療は1人1万円。
それも、有名どころのスポーツ選手や芸能関係からも依頼があるという。

BRM療法・施術写真

ヒトは自分よりちょっと目上のライバルには剥き出しの競争心を持つことがあるが、かたやこちらは市井の治療家としては駆け出し。
彼を尊敬こそすれ、むしろ学ばせてほしいという気持ちのほうが強い。それは決して自らを卑下するでもなく、相手に敬意を払ってのことだ。

伸びる治療家の方向性

さて振り返るに、何がここまでの開きを生み出したのだろうか。
当然、過去に歩んだ道の違いによるのだが、これから治療家を目指す方のために私見を書いておきたい。

およそ次の3つに集約されると思う。

・スポーツ選手も施術しているか
・若いうちに自分の城を持てるか
・誰と出逢うか

スポーツ選手を施術するということは、真剣勝負の世界で仕事することを意味している。
選手は結果が出なければ、名誉もお金もついてこない。ひたすら成功を目指してパフォーマンスを上げることが求められる。江戸時代の武士のように命のやり取りこそないにせよ、スポーツ選手を施術する者は生半可な気持ちでは通用しない。

若いうちに自分の城を持つことも肝心だ。
他人に使われているうちは、自分の脳みそは怠けていることを独立してから知った。

患者が良くなるのも、改善しないのも。
キャッシュが回ってちゃんと家族を養えるのも、すべて自分次第。
このヒリヒリする感覚はサラリーマンでは味わえない。それをリスキーと多くの方は言うと思うが、独立するということは一人の社会人として働き、税金を納めていることを肌身で感じられる。
自己責任という言葉を噛みしめるようになり、アンテナを尖らせて仕事に本気で向き合うしかない。自ずと迫力も湧いてくる。

3つ目の誰と出逢うか。ここは本当に大きい。
いやむしろ、出逢った人とどのように関係性を結ぶかに掛かっている。
師と仰いで学びを得る過程はもちろん、一緒に働く仲間に恵まれることも成功を分ける大きな要素である。

必要に迫られて勉強する

学生時代に勉強をしなかった御茶ノ水の彼も、きっとどこかで道を左右するキーパーソンに出会ったに違いない。

そして、気づいた時から勉強が始まる。
それは自分の内側から湧き出す焦りや必要性に迫られてのことと思う。

翻って、コロナ自粛。
小中学校の生徒でさえ、学校から出された課題を家庭で取り組むことになった。果たしてどれだけの成果があっただろうか。
受験のため、進学のためにする勉強は作業であって、自らの血肉となり社会生活で役立つものからはかけ離れている。
身近で息子たちの様子を見る限り、そのような気がしてならない。

むしろ学校の本質は、友だちと接することでコミュニケーションを含めた人間性を養うことにあるのではないか。5月も半ば頃、息子たちは「学校に行って友達と会いたい」としきりに話していた。

ヒトは少しずつ、まわりにいる人の言動に影響されながら生きている。
そしてそれは、オンラインで「はじめまして」の関係性では、決して培えない空気を含んでいる。リアルで会ってこそ、伝わる情報量は断然に違う。

人の想いや感性、熱量など。
二次元だけでは伝わらない何かを感じてヒトは気づき、自ら歩み出す。
血肉となり運命を左右するような勉強は、そこから始まると思う。

physical, mental, spiritual and social well-beingに生きるお手伝いをしています。2020.3に独立開業しました。家族を大切にし、一人ひとりが生き生きと人生を楽しめる社会が訪れるといいなと思いながら綴っています。