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チョッキをばかにしていてごめんなさい。

そう、絵本でねずみくんも着ているぺらぺらとしたあのチョッキです。


実は、祖母が着ていた黒いヒョウ柄のチョッキをばかにしていた時代が長らくありまして。まさか本人を前に口に出したことはないけれど「袖がない服着て何になるんだ?」とずっと思ってました。

それ着るくらいなら袖のあるものを着るよ、その方がぬくぬくじゃないか!着てて意味があるのかないのかわからんものを、わたしは着たくないっ!と人知れずけなしてました。もちろん口に出したことはありませんよ(2回目)。

そうこうしているうちに月日は流れて、結婚してみると夫が黒いぺらぺらのチョッキを着てるではあーりませんか。


ちょ、でた・・またアレだ。今度は口に出して夫のことをマイルドにばかにしてみることに。「どうしてそんな非効率なものを着てるん?」・・そしたら、無言で着させてくれまして。


百見は一着に如かず・・とはこのことよ。


なんということでしょう。じーんわりといい感じであったか~。例えていうなら、めぐりズムのアイマスクを初めて体験したときのような、あの何ともいえない安心するぬくもりのよう。

この事実は生きてきた中で、見方が劇的ビフォーアフターで賞堂々の第1位を飾り続けている。それからというもの人肌恋しい季節になると、ユニクロのバーガンディ色(洒落て言ってみたいだけ)のmyチョッキをおもむろに取り出す。そしたらいよいよこれから寒くなるんだなぁ~と感じることができる。なんでも自分で体験してみるって大事だ

おそらくチョッキは、人間のからだのぬくもりセンサーの外してはいけない箇所を決して外さないスマートな設計なんだろう。ばかにしていてごめんなさい、だ。

人に何かを伝えるときもきっとおんなじだと思う。相手に伝わるいくつかのツボを、われわれは決して外してはならないのだ。袖はなくても充分ぬくもりを提供する使命を果たし、袖がないからこそ動きやすく身軽にしてくれるチョッキ。

それと同じくわたしたちは、言葉足らずでも話が長くなりすぎることもなく、スマート設計で自分の思いを軽々と伝えることができるとたいへん良い。

あぁ、なんだかチョッキな書き手になりたくなってきた。そうだ、いまちょうど着てるから、既に立派なチョッキな書き手ではないか。なんでもカタチから入るタイプです。


祖母のチョッキをばかにして早20年、祖母は元気に生きている。きっと今頃もチョッキを着て煮物を作ったり、こたつで編み物をしたりしているはずである。もしこの先亡くなるときがきたら、それはそれで祖母のことを思い出すんだろうなぁ・・と今から考えているわたしは薄情でしょうか。

わたしはというと、色違いのチョッキを夫と着て楽しく毎日を過ごしている。記事まで書いてこんなに愛用することになろうとは・・これだから人生はおもしろい


ということでチョッキを心の中でばかにしている人は、是非一度お試しください。きっと虜になることでしょう。いまチョッキを着ている人がいたら、ニヤりとしてみてください。きっとさらにいい感じでしょう。


みなさま、ぬくぬくで冬をおすごしください。また~。

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