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日本の国のおおもとのさだめ(その前置き)

  日本を自分の国とする人々は、国を動かすには、正しいやりかたで代わりの人を選んで国のとりきめを作る。わたしたちとその子どもたちのために、さまざまな国々と快く力をあわせてなしとげた事柄と、広々とした心がわたしたちの国の隅々にまでもたらすたくさんの恵みとを、しっかりとつかむ。国の舵取りによっては、またいくさをおこしたり、むごいわざわいをもたらすことのないようにすることを心に誓う。国をどうするかを決めるのは日本を自分の国とする人々であることを、はっきりとここに謳う。そうして、このおおもとのさだめをたしかに定め置く。
  そもそも国全体をどうするかは、その国を自分の国とする人々から任された、心をひきしめて取りくむべきことがらだ。そうして、人々がそのとりきめに自分から従おうとするのは、その国を自分の国とする人々が自分からそう決めたからだ。ひとりひとりは望まないことにさえ従わせる力も、その国を自分の国とする人々の代わりに振るわれる。そこから得られる実りや幸せは、その国を自分の国とする人々がこれを受けとる。これらは、人が人であるかぎり、いつでもどこでも正しいことわりだ。このおおもとのさだめは、こうしたことわりに基づく。
  わたしたちは、これにそむくようなら、ほかのさだめも、とりきめも、みことのりも、ことごとくしりぞける。
  日本を自分の国とする人々は、いくさのないまま、それがいつまでもつづくことを願って、人と人とがおたがいに暮らすときの、けだかく、あらまほしいありかたに、しみじみと思いをはせる。だから、いくさを拒むそれぞれの国を自分の国とする人々が、かたよらない正しさと、まごころをもって約束を守り、つとめを果たすことを信じ、頼りにして、わたしたちが、末長く、あぶなげなく、生きていけるようにしようと、心に決めた。
  わたしたちは、いくさのないまま、ひとりよがりな国の舵取りや、言いなりに従わせることや、抑えつけや、締めつけを、この世界からずっとなくしてしまおうとつとめているこの星のあらゆる国々のなかで、恥ずかしくない、誇れるような役割を果たしたいと思う。
  わたしたちは、すべての国で、それぞれの国を自分の国とする人々が、ひとしく、おびやかされることなく、なくてはならないものがないせいで困ることなく、いくさのないままに生きていけることを、望んでいいのだと、たしかに認める。
  どの国も、自分の国のことばかりを考えてほかの国のことを考えないようではいけない。国を動かし人を動かすときにみられる関わり方は、いつでもどこでも同じように成りたつ。この関わり方に従うことは、その国のことはその国で決めることをつづけ、ほかの国とのあいだに上も下もないようにしようとする、それぞれの国が果たすべき役割だ。そう、わたしたちは信じる。
  日本を自分の国とする人々は、恥じることのないよう、誇りをかけて、ありったけの力で、このけだかく、あらまほしいすがたと、そのめざすところを、なしとげることを誓う。

  日本国憲法 前文

  日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。
  そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。
  われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
  日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。
  われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。
  われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
  われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
  日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

(出典)日本国憲法|e-Gov法令検索 <https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=321CONSTITUTION>

スキひとつじゃ足りないっていう気持ちになることがもしあったら、考えてみていただけると、とてもわかりやすくてうれしいです。