旅する遺伝子とモノクロフィルム 139 kimura noriaki 2024年2月24日 13:46 目的地がないから「旅」なのです。「旅する遺伝子」がもたらすのは「何かを見たい」や「どこかに行きたい」といった積極的な好奇心ではありません。ただ「旅をしている状態」に身を置きたいという漠然とした感覚です。それを遺伝子のせいだと思うのは、その志向がそのまま娘にも受け継がれているからです。次女も同じように、ほとんど予定を決めずに目的地のない汽車旅にでかけて行きます。残念ながら、わたしの若い頃に比べると、いまはそんな「だらだらした旅」がしにくくなりました。夜行列車も魅力的なローカル線もほとんどなくなってしまったからです。「だらだら旅のセンス」が要求されるのは、途中のどこの駅で降りるかを決める時です。なにもない荒涼とした場所も悪くありませんが、何軒かの商店があるくらいのちいさな町が好きです。「一生来ることがなかったはずの町」を歩き、「一生出会うことがなかったはずの人」とすれ違う時、「世界ってこういうことだなあ」と感じます。偶然こそが世界の本質なのですから。駅で「このあたりにお昼を食べられるところはありますか?」と尋ねると、一軒のちいさなお店をすすめられました。素敵なご主人による素敵なトンカツ。「トンカツが美味しいお店かどうか」を見極める能力も旅のセンスのひとつでしょう。わたしはその能力には恵まれている気がします。そんな感じで、ニコンF3に50mmをつけて旅をしています。イルフォードXP2はC41現像ができるモノクロフィルムで、発売時には「そんなの本物のモノクロじゃない!」と思っていましたが、自分で現像をしなくなった今ではキタムラで1時間でネガが受け取れる「便利なモノクロフィルム」です。独特の少し柔らかい粒子の感じも悪くありません。 ダウンロード copy この記事が参加している募集 カメラのたのしみ方 54,615件 旅のフォトアルバム 37,993件 #写真 #旅 #カメラのたのしみ方 #旅のフォトアルバム #フィルムカメラ #鉄道 139 「科学」と「写真」を中心にいろんなことを考えています。 記事をサポート