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香害製品が都市単位の大気汚染源に?ーーアメリカ商務省海洋大気局

NOAA(アメリカ商務省・海洋大気局)から、2018年、そんな研究結果が発表されました。
リンク先はNOAAです。

ちなみに、この記事では「香り付き製品」をfragranced productsではなく
Scented products(臭気の元)と呼んでますね。

そしてアメリカは商務省もですがEPA(環境保護庁)も、環境汚染を全国的なマクロの部分のみで検討するのではなく、人が生活する環境、室内空気環境の保全にも注目しています。
これにより、室内空気環境の質を落とす汚染源として、香料を含む日用品由来の揮発性有機化合物を注視し、IFRAの規準に頼らない規制を採用しています。
すなわち、使用時の空間での濃度に注目した規制を導入しています。


では、以下、訳文です。



こんな臭気汚染の元でも、あなたは愛用しますか?NOAAの調査で、これらが大気汚染を引き起こしている可能性が判明

2018 年 2 月 15 日

米国海洋大気庁(NOAA)主導の驚くべき新しい調査によると、香水、塗料、その他の香りのする消費者用品などの揮発性化学製品からの排出量は、現在、ロサンゼルス都市部の汚染源として自動車に匹敵する規模となっている。

工業製品や消費者製品の原料として使用される石油の 15 倍の石油が燃料として消費されているにもかかわらず、香り付き製品から大気中に放出される化学性蒸気の量はほぼ同じである、と主著者のブライアン・マクドナルド氏は述べている(NOAA,CIRES所属の科学者)・

この研究結果を表した論文は、本日(Aug/15/2018)Science誌に掲載。

https://www.science.org/doi/10.1126/science.aaq0524


揮発性有機化合物または VOCとして知られる化学性蒸気は、太陽光と反応してオゾン汚染を形成し、またこの研究で判明したように、大気中の他の化学物質と反応して空気中に微粒子を形成する。

「輸送部門がクリーンになるにつれて、これらの他のVOC発生源はますます切実になってきている」とマクドナルド氏は述べた。「私たちが日常生活で使用する多くのものは、大気汚染に影響を与える可能性がある。」

汚染源の昔と今

1970年に大気浄化法が制定されて以来、大気質プログラムは、乗用車やトラックから石油やガスの精製所に至るまで、あらゆるものから排出される輸送関連の汚染の制御に焦点を当ててきました。しかし、マクドナルド氏らは、2010年にロサンゼルス上空で行われた大気の観測結果と交通機関の排出量の推定値を一致させることができなかった。そこで彼らは、化学物質の生産統計をカタログ化し、他者が行った室内空気質の測定結果を評価し、新たな要素がこのギャップを埋めるかを判断して、都市の汚染源を再評価した。

すべての排出物は均等に生成されるわけではない

新たな論文の共著者であるNOAAの大気科学者ジェシカ・ギルマン氏は、化学製品が大気質に与える不均衡な影響は、それらの製品と燃料との根本的な違いによるものだと述べた。

燃料システムは、燃焼によって生成されるエネルギーを最大化するために、蒸散によるガソリンの損失を最小限に抑えるようにされていると彼女は述べた。しかし、塗料や香水などの一般的な製品は、文字通り蒸発するように設計されている。

「香水やその他の香りの製品は、あなたやあなたの隣人に香りを感じさせるように設計されています」とギルマン氏は言います。 「ガソリンにはこんなことはしません。」

当たり前な臭いの中に汚染源が隠れている?

ギルマン氏は、この問題を研究している研究者たちは、最終的にはかつて当たり前だとされていた物事を、詳細に検討することになったと付け加えた。 「NOAAの同僚の中には、文字通り何日もかけて塗料が乾くのを眺めていた人もいました」と語った。 「私たちは多くのことを学びました。」

この研究はロサンゼルスに焦点を当てて行われたが、著者らはこの結果がすべての主要都市中心部に当てはまると考える。

「この研究が大気科学者、化学技術者、公衆衛生研究者の間の協力を促進し、最高の科学を意思決定者に届けることを願っています」とマクドナルド氏は述べた。 「過去にうまくいった戦略が、将来もうまくいくとは限りません。」

報道関係者連絡先:
テオ・スタイン 720ー391-0613




かつて当たり前だとされて疑問に思わなかったことが、とんでもないことを引き起こす。
最近すごく増えましたよね。
昔から、日本のけっこうな範囲で食べられていたスギヒラタケが、実は致死性の毒キノコだったとか。


スギヒラタケはあまりにも症状が出るのが遅いし発症するまでの期間にばらつきがあるから、キノコの毒だとわからなかったのか、それもと食べ合わせか、わからないけど。

スギヒラタケ
長く東北北陸地方などで食用として愛されてきたが、2004年にこれら地方で原因不明の脳症の罹患と死亡事例が頻発。調査したところ、発症者の共通点として一か月以内にスギヒラタケを食したということが判明した。
ずっと食用とされてきたスギヒラタケが、なぜこのような毒性を持つのかという事で、はじめは突然変異が疑われたが、その形跡はなかった。
この年急に毒性が判明したのには、脳炎の報告義務がこの年から生じたことなどがあげられる。
また、長く食用とされてきたのには、このきのこによる中毒症状が、他のきのことは全く違い、症状が起きてもスギヒラタケが原因だとわかりづらかったのではないかという点がある。
症状としては、食後数日~ひと月ほどで急性脳症を発症する。脳幹を破壊することが解ってきている。
スギヒラタケの毒性とこれら症状の関連性については、いまだに機序は判明しておらず、食べ合わせなどの関連も未だに示唆されている。


香り製品にも同じことが言えるんだと思います。昔から特に使っても問題ないとされてきたものだけれど、周囲の環境が変わった(あまりにも多量に消費されるようになったなど)。

こういった研究結果を注視し、誰もが注意することが必要だと思います。


2024年4月

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