きまっちゃん〜《EARTHMUM》

10年以上、日記帳に書いてきた創作の一部です。ショートストーリーや詩が中心です。ジャン…

きまっちゃん〜《EARTHMUM》

10年以上、日記帳に書いてきた創作の一部です。ショートストーリーや詩が中心です。ジャンルはSF、ファンタジー、日常系です。現在は海外で暮らしています。ご覧いただきありがとうございます☘️ 過去に行ったアートワークはこちら↓ http://earthmum.jp/

最近の記事

「 ガブリ 」

ガブリは、自信がありませんでした。自分が存在するだけで誰かを傷つけてしまう。でもいつも行動しなければと思っていて、うろうろと迷っていました。 ガブリは、自分はここにいることを証明をしたいと思っていました。でも同時に、誰も自分を必要としていないのではとも思っていました。 「分かって欲しい。でも、どこに行ったらいいの?」 ガブリはいつも孤独でした。 「僕って、なんでこんな体をしているんだろう。どうしてここに、存在しているの?誰か、僕をつかまえていて、お願い。そうじゃないと

    • 「結晶になっていく彼らたち」

      白いTシャツを着た少年少女は寝ている時に3つくらい宇宙をまたいで旅しているから、戻ってくるのに少しばかり時間がかかる。  夢の途中で目覚めようものならば、頭だけは地球で目覚めた意識は遠い惑星の中だから、身体の中にかっちりと戻ってくるまでに、早くても0.8秒は要する。 このコンマ8秒が永くてキツい。もしかしたらずっと戻って来れないんじゃない?って焦り出した瞬間、肉体に戻ってくるんだ。 今私はここにいるけど、あの見えない惑星の中にもいて、みんなが光を選ぶのかの実験中。 結

      • 「森林」

        (1)自分をいじめてきた            自分をいじめている人が      自分の外にあるもの      環境を地球を優しく扱う (2)自分をいじめてきた            自分をいじめないと決めた人が      自分の外にあるもの      環境を地球を優しく扱う 自然は沈黙しておらず 意識が森に流れているのなら * "Forest" (1) I've been bullying myself People who are bullyi

        • 「好好的日記」

          「きらいだ」と言おうとしたのに、 「きれいだ」と言いかぶせた夜の二酸化炭素が、 大楼(ダーロウ)の屋上を超えていくまで見守る。 オレンジ色のライトが生暖かく光る公園で。 それは昔、 地殻変動がおこったから、 古代の意識も台地の奥深くに閉じ込められたに違いない。 夫の負けたくないという意地や、 妻の何度も尋ね直すつよがりが、 不慣れな発音を超えて、土と繋がっていく。 新しい国に来て、どちらも歯を食いしばって笑っていた。 朱色に輝く廟の前でこの国の人々は、 頭を下げて必

          「魂のAB情熱」

          〈A〉 私のために→ 呼吸をする。 私のために→ 食べる。 私のために→ 楽しいことをする。 〈B〉 呼吸をするために→ 出掛けていく。 食べるために→ 本当に望んだものを堂々と選ぶ。 楽しいことをするために→ 私を信頼して任せる。 楽しいことをするために→ 私を信頼して愛する。 情熱が、生まれてきたのだから。 ・

          「マスター ・ ビーイング」

          南の台地に到着すると 風は呼吸に合わせて流れ始める よろめいた私の過去は 君を支えようとするだろう その手を振り払って進めばいい 宙の中では もう、君の花が咲いている ビルの向こう側 菊星がぽっかりと浮き上がる 意識を超えて 言葉を聴く 創造は 拡大している 創造は 表現している 創造は 自分と出会って喜んでいる いつの日か願って止まなかった、 「普通の一日」に *

          「マスター ・ ビーイング」

          「プラネット・ラブ」

          君はずっとヨット  辿り着きたい島とは違う ぼろぼろになって ようやく、別の惑星地球に着いた 頭は分からなかった 目的や意味や 透るルートが ようやく、澄んで 着いた 身を投げ出す砂の上 眩い太陽が祝福の唄を注ぐ 君のメロディであったもの 全て間違いなどなく正しかった しかも最短ルートで駆け抜けた 1ミリのズレもなく ゴールを解き放って別の惑星に やってきたんだ 傷のように見せかけた 風の帆 戻らなくていいよ 学び続けなくていい もう 着いたんだし ずっと輝いていた

          「プラネット・ラブ」

          「ホロロジオン」

          アゴラの15時は、いつもより混んでいた。 八角形の風の塔の前に、ソクラテスは遅れてやってきた。 彼に箸を握らせて、「これがうちのお雑煮だよ」とお椀を渡した。 器の中では黄金比の四角い餅がぷかりと浮かんでいる。 ふたりで塔の前の階段に座ると、あたたかい汁をすすった。 ソクラテスは顎ひげについてしまった餅を懸命に拭うと、 「昔は社会のことと言ったけど、囲ったのは経験だった」と言った。 僕たちは、互いに法則を探すことに夢中だったけど、 歴史が生み出した四角については少し無頓

          「宇宙のお雑煮」

          今日のメニューは、立春に食べたい宇宙のお雑煮です。 材料をご紹介していきます。 土星の輪 ひとかけ 金星   50t(いちょう切り) 火星の水 600t 雲    サッカーコート2面分 もち米  3合 月   (お好みで) 土星の輪を出汁にします。 雲に炊いたもち米を混ぜて、餅つき機でつきます。 手ごねでもいいのですが、 銀河系の星団の中に立派な機械があるのでお借りしました。 太陽の直火で金星と一瞬煮込んだ後、月をさっと絞って出来上がり。 皆さんもぜひ、ご家庭で楽しんで

          「ルーズソックスで月を走る」

          むかーしの月面探査のとき、 「宇宙に最も連れていってはいけない人物は、詩人だ」って とある宇宙飛行士が言ったんだって。 月から地球を眺めた詩人は恍惚としちゃって、 その後の任務をぜんぶ忘れちゃったから、だってさ。 ねえー、 生まれてくる前のことって覚えてる? 月面から地球を 何度も見おろしたあの感じ。 灰色の砂ばっかで 見えるのは漆黒の淵だし。 青く輝く水の惑星なんて、 ただぼうっと見つめるだけの星だった。 でも 来ちゃったよね。 人間の体でこの地球に。 降り立っち

          「ルーズソックスで月を走る」

          「サーフズ ・ アップ !(波乗り期は今) 」

          《遅すぎたり早すぎることはありません。そこはちゃんと、あなたを待っていますよ》 と優しい手紙をくれたのは、未来の自分でした。 《なぜ2度も経験した悲しみを、また味わおうとするのですか?》 人生のらせん階段は、440Hzの波を何度も生みました。 《あなたは経験を、知恵と光に変えてきたんです》 身体が痛かったから、太陽さえも見つけることが出来ませんでした。 《みずからへ心からの拍手を贈れた時、優美な波がやってきますよ》 感謝を含んだ心地よい風が、喜びへと進路を向かわせま

          「サーフズ ・ アップ !(波乗り期は今) 」

          「叶える彼女の3夢」

          彼女はいつも夢を見て寝ぼけてばかりだし新年の決意なんてしないけど、 今は次の3つの夢を叶えるんだと、密かに情熱を抱いている。 深呼吸をする。 重力を解放する。 私に立つ。 この絵は彼女が2020年頃、家に閉じこもって何をしたらいいのか分からなかった時に描いたものだった。ひたすら眠りの中で悪夢と戦って、いらない感情を手放して、蛹が小さな部屋で羽化する時を待っていたような頃。 何かを手放し離れたと思っても、結局は再び対峙することになる、と彼女は思った。もう一度頭を下げな

          「叶える彼女の3夢」

          「堂々ピアノ」

          ピアノは安全で、いつも守られた空間に存在している ピアノは開かれた表現で、自由だ ピアノは美しい ピアノは集合意識とも繋がっていないしDNAを背負わない ピアノは喜び ピアノはリラックスしている ピアノは調和がとれていて ピアノは死を超えている ピアノは秘密の花園を持ち ピアノは堂々とピアノだ

          「A+B→→Cになるまで」

          またやってしまった。 起き上がると時刻は午後1時50分だった。慌てて時間割を確認すると、今は体育の授業中だ。私は再び、授業をさぼってしまった。 起き出したばかりの布団が散らばる教室で、たったひとり取り残されている。 今ごろみんなは校庭だろう。これから走って行ったとして、授業は残り30分しかない。行くか、行かないかと逡巡した。しかも次の5限目は苦手な数学だ。今から少しだけ、数学の方の予習をしておこうかな、と考える。でもそうしたとこで、もう理解できるような授業内容ではないのが事

          「A+B→→Cになるまで」

          「夢のゴミ出しは深夜4時マデ」

          何度も何度もあの人の肌の温もりに戻っていく 二人は同じ掛け物の中でくっついたり離れたり 抱きしめたり追いかけたりしている 家族が覗きにやってきてバスタオルで姿を隠す いないふりを貫いて堂々とできないことばかり 人生の中で実際に過ごした時少なし つるりとした肩まわりの筋肉が愛しいのか何か 延々と側で寄り添っては別れを告げようと思う たった、10代の恋なのに いちいち口を出す先祖もすまんが、やかましい どんなスカートを履いていたって自由じゃない 細部に怒ったって身体に怒った

          「夢のゴミ出しは深夜4時マデ」

          「太陽の面談」

          太陽は面談室に入ってくると、この半年を静かに振り返った。 「自らの光から隠れていました。あまりにも悲しかったので。でも、それもひとつの経験でした。照らしている月がいないと、自分の存在を認められなかった寂しさを思い出します」 書類には、太陽がこの半年で成し得た成果が数字で示されていた。 私はデータだけでは見えない、太陽の内側を知りたいと思っていた。 「この半年は特に、電荷を持たずに小さな粒たちで纏まっていたみたいですが、どうしてですか?」と私は尋ねた。 太陽はしばらく考えこん