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写真と民俗【奇祭・奈良沢大天狗】

※この記事は約6分30秒で読めます(1分30秒の動画含む)

どうもメダカです
初めましての方は初めまして
今回は長野県飯山市の奈良沢神社例大祭・大天狗の舞こと奈良沢大天狗を撮影してきました。

奈良沢大天狗

奈良沢大天狗とはどんな祭りか?
細かい事はいいのでとりあえずこの映像をご覧ください。

奈良沢神社・例大祭

奈良沢神社・例大祭は地域の氏子達が二つのグループにわかれ二日間にわたって行われます。
天狗(猿田彦)を先頭に集落を練り歩き各所にあるしめ縄を切りながら(しめ切)最終的に奈良沢神社へ到着します。
300年以上の歴史があり、メインは大天狗が長さ2.5m以上ある巨大な松明でしめ縄に下がる紙垂を焼くところです。

氏子たちの平和と五穀豊穣を祈る神事で、紙垂を焼く松明の火の粉を浴びると縁起がいいとされいます。
最前列で撮影した僕もさんざん火の粉を浴びてたくさんのご利益に授かりました。(やけどが沢山できました)

※例大祭(れいたいさい) 神社にて一年に一度行われる特別な祭り
※氏子(うじこ) 地域ごとの神様が守る地元住民
※天狗(てんぐ) 日本の伝承に登場する神や妖怪ともいわれる伝説上の生き物。猿田彦と同一視されることが多い。
※猿田彦(さるたひこ) ニニギノミコトが天孫降臨される際、その先導役を務めた国津神で道開きの神様
※紙垂(しで) しめ縄に垂らし神域を象徴する紙

火の粉を浴びるどころか松明の炎に直接炙られました

猿田彦と天狗

祭りの話題から外れますが、猿田彦と天狗について少しだけ知っておきましょう。興味の無い方は写真でめぐる奈良沢神社・例大祭までスキップしてください。(読み飛ばしても大丈夫です)

猿田彦

猿田彦とは『古事記』と『日本書紀』に登場し、
天孫降臨の際に、邇邇芸命(ににぎのみこと)の道案内した国津神。
この事から道を切り開いたり、里(道)の外から来る災いを防ぐ神様(道祖神)ともいわれます。
お祭りや神事で天狗が先頭に立っている場合は、道を切り開く神様の猿田彦が先頭に立ち災いを祓っている事を意味する場合が多いです。
猿田彦の見た目は鼻の長さは七咫(約120cm)、背の高さは七尺(約210cm)あったとされ、天狗と同一視されていきます。

(七咫、七尺の七とは沢山を表す表現で具体的な数字というより、すごく鼻が長くて背が高かったという比喩的な表現で使われています)

※天孫降臨(てんそんこうりん) 日本を治めるために、天照大神の孫であるニニギノミコトが天から高千穂へ降り立った事。
※邇邇芸命(ニニギノミコト) 日本神話の主神天照大神の孫で現代まで続く天皇家の祖先とされる
※国津神(くにつかみ) ニニギノミコトの天孫降臨以前に日本を治めていた神々
※道祖神(どうそしん) 村の守り神として、道の辻や三叉路に建てられている男女の神様で、この男女は猿田彦とその妻である天鈿女命の二人とされる

猿田彦と天鈿女命

天狗

天狗とは元々、古代中国で流星を意味し、流星が天を駆ける狗(イヌ)のように見える事から天狗と名付けられました。
古代中国では流星は不吉な事の前触れとして見られており、次第に天狗=不吉な存在=妖怪。
最終的に天狗=妖怪として扱われ行きます。

日本では山に住む妖怪として扱われ、次第に山で修行する山伏と同一視されるようになり、妖怪ですが非常に強い力を持つ事から信仰の対象になっていきます。
(日本では良くも悪くも強力な力を持つ存在は信仰の対象にするというの文化があります)

※山伏(やまぶし) 山を信仰し山で修行する修験道という、日本独自の民俗宗教の修験者(修行者)

高尾山の天狗が有名ですね

なぜ猿田彦と天狗は同一視されるのか?

日本神話に出て来る猿田彦と中国由来の天狗という全然関係のない二人のイメージが結びつけられたのは、猿田彦は道開きの神だけでなく山の神としても信仰されていた事から来ていると言われています。
(その他多数の神様でもある)

山に住み超常的な力を持つ天狗=山の神である猿田彦として同一視されていき、天狗の鼻が伸びたのは猿田彦にイメージを寄せたのが原因だと言われいます。(山伏との結びつけと同じですね)
※所説ありであくまで一つの説です

鼻が長いのは猿田彦でその影響で
天狗の鼻が長くなったって事ですね

写真でめぐる奈良沢神社・例大祭

それでは実際に写真と共に奈良沢神社・例大祭を見て行きましょう

少女たちによる薙刀の舞が猿田彦に奉納されます
続いて小天狗による天狗の舞が奉納
最後に獅子舞よって邪気が払われ
天狗の行進が始まります
天狗(猿田彦)を先頭に奈良沢神社へ向かい練り歩きます
天狗の後に続く氏子たち
各所にしめ縄が張られています

※しめ縄は本来神聖な領域とそれ以外を別ける役割がありますが、この神事では氏子たちの平和な未来を阻む障害物として扱われ、道開きの神・猿田彦によって祓われます。これをしめ縄を切る、【しめ切】と呼びます

障害物を焼き祓う為に
巨大な松明に火をつけ舞を舞います
カッコいいでしょ?この炎で厄を祓い
氏子達の平和と五穀豊穣を祈ります
炎の舞の後しめ縄に下がる紙垂を二つ焼き
新たな松明に火をつけ計三回・炎の舞を踊ります
各所のしめ縄を焼き祓い
最終地点である奈良沢神社へ到着し
最後の祓いに入ります
すごく小さな神社なので
本当に目のまえで巨大な松明に火が付き
目を開ける事も出来ないくらいの
熱気が押し寄せます
火の粉を浴びるどころか
松明で直接炙られる僕が寸前に撮った猿田彦
周りを見たらみんな後ろに逃げていました・・・
全ての紙垂を焼き
最後にしめ縄を切ります
全てのしめ切りが終わり
氏子達に平和と五穀豊穣が約束された後
氏子達から猿田彦へ感謝の舞が奉納され
例大祭は終わります

まとめ

いかがだったでしょうか?
すごい神事でしょ?
夕方ごろに始まる神事が終わるのは深夜0時ごろ、
炎の舞を踊る天狗は奈良沢神社の拝殿に上がる頃には疲労の限界を超えており、それこそ神がかりとも言うべき人間離れした異様な雰囲気を放っていました。
地方には他にもいろいろな民間信仰や奇祭がまだまだ沢山あります。
あなたの地元の変わった祭りや神事などがあればぜひ教えてください、取材に行きます。

炎は結構明るいので
シャッタースピードを速くするといい絵が撮れます
ss1/800

参考資料


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