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JW583 神になった真鶴

【垂仁経綸編】エピソード5 神になった真鶴


第十一代天皇、垂仁すいにん天皇てんのう御世みよ

紀元前3年、皇紀こうき658年(垂仁天皇27)9月。

ここは、伊勢国いせ・のくに五十鈴宮いすずのみや

二千年後の三重県みえけん伊勢市いせし鎮座ちんざする、伊勢いせ神宮じんぐう内宮ないくうである。

地図(伊勢神宮:内宮)
伊勢神宮:内宮

稲をささげようとする真鶴まなづるのため、天照大神あまてらすおおみかみ(以下、アマ)の御杖代みつえしろ倭姫やまとひめ(以下、ワッコ)は、アマ様の御前おんまえに稲をけて、これをささたてまつったのであった。

ワッコ「これで、あの鳥も、喜んでおろう。」 

そこに従者じゅうしゃたちが、やって来た。 

人物一覧表(倭姫と従者たち)

カット「皇女ひめみこ様・・・。こめといえば、御饌みけだけでなく、神酒みきも有りまするぞ。」 

ワッコ「おお! そうであったな。酒としても、アマ様にささたてまつろう。」 

ワクワク「そういうことなら、僕の娘の出番だね!」 

アララ「娘が、いたの?」 

乙若おとわかわれめいっ子にござる。」 

ワクワク「その名も、乙姫おとひめだよ! 『オトオト』と呼んでね!」 

ねな「ネーミングセンスが、最悪なんだけど・・・。」 

市主いちぬし「そう、もうすな・・・。」 

そこに「オトオト」がやって来た。

オトオト「私が『ワクワクさん』の娘、『オトオト』にござりまする。」 

おしん「娘にまで『ワクワクさん』と呼ばせてるのか?」 

ワクワク「そうだよ!」 

ワッコ「と・・・とにかく『オトオト』よ・・・。神酒みきつくり、アマ様にささげるのじゃ。」 

オトオト「かしこまりました。」 

こうして、神酒みきとしても、ささげられたのであった。

インカ「ちなみに、これが、千税ちから起源きげんとされておりまする。」 

アララ「租税そぜいおさめるってことだよ!」 

ねな「アララ? なにを言ってるの? ちからなら、ずっと前から、おさめられてるのよ?」 

アララ「そうなんだけど『倭姫命世記やまとひめのみこと・せいき』に、そう書かれてるんだよ。」 

ねな「そういうことなら、仕方しかたないわね。」 

おしん「そんでよぉ、稲が発見された、嶋国しま・のくに伊雑いさわには『アマ』様をまつやしろが、建てられたんだべ。」 

インカ「伊雑宮いさわのみやにござる。」 

伊雑宮(鳥居と拝殿)

カット「二千年後は『いざわのみや』だとか『いぞうのみや』と呼ばれておりまする。」 

アララ「鎮座地ちんざちは、三重県みえけん志摩市しまし磯部町いそべちょう上之郷・かみのごうだよ!」 

地図(伊雑宮)

乙若おとわか「ちなみに、此度こたびの稲がえていたところは、千田ちだ名付なづけられ、あらためて、稲を植えましたぞ。」 

市主いちぬし「なにゆえ、そのようなことをしたのじゃ?」 

乙若おとわか「来年の豊作ほうさくうらなうためだったとのこと・・・。」 

市主いちぬし「して、どうであったのじゃ?」 

乙若おとわか「それは、来年にならねば・・・。」 

ワクワク「豊作だったみたいだね。そして、稲が植えられた地は、千田ちだ御池みいけと呼ばれて、史跡しせきとして、管理されてるよ!」 

地図(千田の御池)
千田の御池

乙若おとわか「言ってしまわれるのですな・・・(;^_^A」 

ワクワク「それから、前回登場した、伊佐波登美神いさわとみのかみこと『おとみ』様が、伊弉諾神いざなぎのかみ伊弉冉神いざなみのかみと共にまつられてるよ!」

地図(伊佐波登美命鎮座地)
伊佐波登美命鎮座地(鳥居と拝殿)

ワッコ「そうか・・・。では、真鶴まなづるも、神としてまつろうぞ。」 

キーマ「そうなりまするか?」 

ワッコ「うむ。豊穣ほうじょうの神である、大歳神おおとしのかみとして、まつろうと思う。」 

おしん「ちなみに、大歳神おおとしのかみ合一ごういつされた真鶴まなづるは、朝熊川あさくまがわの上流の、草がしげる中、石として、鎮座してるとも言われてるべ。」 

地図(朝熊川の上流)

市主いちぬし「では、そこに、やしろが建ったのか?」 

おしん「それがよぉ、やしろは、小朝熊山こあさくまやまいただきに建てられたんだ。」 

アララ「あらら・・・そういうことに、なっちゃった・・・。」 

ワッコ「それが、佐美長さみなが神社じんじゃなのじゃ。」 

佐美長神社(鳥居と拝殿)

キーマ「大歳社おおとしのやしろとも、穂落社ほおとしのやしろとも呼ばれておりまするぞ。」 

カット「鎮座地は、志摩市しまし磯部町いそべちょう恵利原・えりはらにござりまする。」 

地図(佐美長神社)

ワクワク「あれ? 朝熊川あさくまがわとは、全く関係ないところに、建ってるんだね?」 

地図(佐美長神社と朝熊川上流との位置関係)

おしん「ワクワクさん? これが、ロマンだべ。」 

ワクワク「そういうことか!」 

するとそのとき、猿田彦大神さるたひこ・のおおかみが出現した。 

猿田彦さるたひこ「おい! ワッコよ!」 

ワッコ「えっ? 猿田彦さるたひこ様にござりまするか?」 

猿田彦さるたひこ「うむ。今年、神託しんたくくだしたぜ。ついでに、紹介しろ!」 

ワッコ「えっ?」 

ついでの伝承とは? 

次回につづく

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