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新宿で北欧の光を感じる「北欧の神秘 ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画」展

SOMPO美術館の「北欧の神秘 ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画」を見てきたので気になった作品ごとに感想を書いたよ。

ヘルメル・オッスルンド『カッルシューン湖周辺の夏の夜』

近景に湖、遠景に山を配した構図は、よくあるものともいえる。普通この構図なら、いわゆる逆さ富士のように湖に山が映るものや、湖に光が当たって輝く様子というのが一般的に思う。しかしこの作品では山の上の一部が朝焼けのように光るのみとなっていて、それ以外の箇所は深い色をたたえて静かな様子が描かれている。タイトルを見る限りこれは夜らしい。北欧だし白夜とか?
余計な派手さを削ぎ落とした自然の「素材の味」とでもいうべき美しさだと思う。
 この作者は日本画にも影響を受けていたと書いているが、正直私は言われてみないとわからなかった。ただ、残雪と土が模様のようになっている山肌には日本的な装飾美を感じられるように思った。

『カッルシューン湖周辺の夏の夜』ポストカード

アウグスト・マルムストゥルム 『街』

 ひと目見ただけだと、どんな絵か想像するのはちょっと難しい。真ん中よりちょっと下側横一線に広がっている、色合いが違う部分に注目してほしい。これがこの絵の主題の街だろう。この細い細い街の存在によって、それよりも上側と下側のものが何なのかわかってくる。1番下から砂浜が広がり、その上に海もしくは湖なのだろう。それで街の上空には暗い空が広がっている。空には、塗り方のタッチがはっきりと残ってるような雲が広がっている。一つ一つの違いに注目するのが面白いし、私にはどこかカメラのレンズが雨で滲んだような様子がイメージできた。お守り見たこともないタイプの)この作品も知りたいなと思うような作品だった。

『街』のポストカード

トマス・ファーンライ『旅人のいる風景』

 展覧会の最初に展示していた絵だけど、光と自然は細工しなくたって美しいぜ!と(印象派よりもだいぶ前の1830年の絵だけど)印象派に主張するような作品だった。

アウグスト・マルムストゥルム『踊る妖精たち』

霧のように見える妖精に気づかず通り過ぎている人も結構多そう。神々しさとか出すわけではなく、ごくごく自然に妖精のような存在を描くのも特徴かなとおもった。

カール・ステファン・ベンネット『ストックホルム宮殿の眺め、冬』

澄んでいて静かで美しい。降る雪ではなく積もった雪なのもまた良い。

エアシャン・ヤンソン『ティンメルマンスガータン通りの風景』

 何気ない街並みのようにも見えるけれど、そこに良さを見出して作品にしているのが素晴らしい。当時からするとどこが絵になる風景だったのか気になるところ。夜の空を暗闇として描くのではなく、雲と一緒に描くのも好みだった。間接的な光の描き方も見事。

『ティンメルマンスガータン通りの風景』ポストカード

かなり盛りだくさんの展示でじっくり楽しめた。この展示は6/9までなので機会があればぜひ。それでは。

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