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【山田孝之×オリエンタルラジオ】のインタビューを見て

まだ知り合って間もない人たちと話す話題に「好きな俳優は?」という質問があります。そこで昔から私は「山田孝之」と答えていました。理由は小さいころから夢中で見ていた作品のほどんどに山田孝之が出演していたからです。「手紙」「世界の中心で、愛を叫ぶ」「白夜行」「タイヨウのうた」…ほどんどが若き山田孝之が出演する作品ですが、どれも何度も何度も見た思い入れのある作品です。若いころは少し陰のある正統派ヒーローを演じることが多かったように思いましたが、「闇金ウシジマくん」「dele」「全裸監督」しかり近年目にする山田孝之はとにかく幅広い役を演じ、役への憑依度もさらに増して同年代の俳優の中でもずば抜けた実力で日本の映画・ドラマ業界をけん引する存在になっていると思います。さらに、俳優業だけではなく、プロデューサー・脚本業をやったり、若手クリエイター育成のためのショートフィルムフェスティバルを開催したり、農業のコミュニティを作ったり、視座高く様々なチャレンジをしていてビジネスマンとしても注目を浴びています。そんな山田孝之の役者人生・仕事観について貴重なインタビューがYouTube上のオリラジとの対談で公開されており、食い入るように見入ってしまいました。

インタビューで印象的だったのは山田孝之にとっての「役者の意義」でした。役者で一番大事なのはセリフを覚えることではなく「人(役)の理解」なのだそうです。脚本は役に命を与えるけれど、その命に顔や目や耳を与え、人格を成長させるのが役者の役割。「役を生きる」というのは、その役の人生のすべての出来事を追体験し思考のプロセスや生活習慣すべてを自分の内面にインプットするということだというのです。「脚本・作品はあくまでその人の人生の断片だから、それ以外の時間、生まれてから死ぬまでを想像して理解しなければいけない」という言葉から、血のにじむような努力が想像できました。以前読んだ本で、西川美和監督などは、脚本を書くだけではなく、脚本に書かれてない役の生まれてから死ぬまでの人格形成につながった出来事をすべてまとめていると言っていましたが、それは通常は役者の仕事だと思うと言っていました。

一方でその努力を経て役と一体化した時の喜びが役者を続けている理由になっているといいます。その役がその時代そのタイミングで振ってきたことは意味があり、その役が世の中に伝えたいことを表現し、伝えることができることの喜びが役者の醍醐味だと。まさに、表現者だなと思いました。


一流の役者は人間の本質にとことん向き合う仕事なんだと思い知らされたインタビューでした。自分自身でさえも何が自分の人格を形成しているなんて理解できていないのにましてやほかの人生なんて…と思いながら、まずは自分の理解、周囲の人の理解をするために想像力を養いたいと思いました。

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