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じもとのそら

久しぶりの投稿になります^ ^

地元に15年ぶりくらいに帰ってきて2ヶ月が経ちました。実家でのリモートワークも板について日常が構築されつつあります。

そして時間的にも余裕ができて、最近では生まれ育った故郷を散歩するのがマイブーム。

通学路や公園、通った塾など可能な限り足を伸ばしてみたのです。そして目の当たりにしたのです。「現実」を。

過去に存在していた家が、人が、モノがありません。そして過去に存在していなかったモノが建っていました。

かつて「ニュータウン」と称され、市街化が進んだ地域がすっかり年老いて「オールドタウン」です。コケがこびりつく家屋に、主人を待ち続けるパンクした車。強力な根を持つ植物に侵食され、枝が伸びるコンクリート壁。いたる箇所で「劣化」の文字が頭をよぎりました。

たっぷりと水を含んだ分厚い灰色の雲が空を覆っています。まるで街を包み込んで湿気で痛めつけているようでした。

友だちの家が無くなっていました。溜まり場だったスーパーが更地になっていました。通学途中の公園が毒々しい植物たちに侵され、哀しそうに過去の記憶と重なり鎮座します。高齢者用のベンチが大量に増えました。都市へ行くためのマイクロバスのステーションが設置されていました。人口が減り続け、街の整備が計画されているとか。母校の中学の閉校が決まったそうです。かつての同級生は…どこにいるんだろう。

もう例を挙げればキリがありません。いくら僕の知っている景色に手を伸ばしても、掴むのは味気ない空気だけ。

ここは本当に僕の知っている故郷なのか。「故郷」だった全く別の代物なのか。実感したんです。ここは時が経った「未来」なんだって。

しかし救いもありました。それは「香り」。草木の匂いは20年前のそれと同じでした。雨の降る下、ラケットを振っていたクラブ活動で味わったものでした。その帰り道、こっそりポケモンをした空気でした。好きな人を偶然を装って、待ち伏せしたときの空気でした。東京の無機質なビル群で駆けずり回っていたときのものとは明らかな別種。

やっぱりここは僕の「故郷」でした。
人もモノも変わってしまったけれど過去の片鱗は確かに存在しました。友だちの家も本人もいなくなってしまったけれど、この世のどこかで幸せに暮らしてくれているなら大丈夫。いつか会える、と思うようにします。僕がここで待っていればいいだけだから。

宅地造成が進み、真新しいグラウンドができていました。1人の少年がサッカーボールを蹴って走っていました。自転車に乗った3人の少年たちがブイブイ走り去っていきました。彼らからしたら今、現在のこの場所が故郷になるのです。勝手に寂れたなどど悲観するのは失礼かもしれないですね。

それでも僕はかつての「故郷」を取り戻したい。少なくとも人を増やし学校を復活させ、街全体の血の流れを改善したい。

そのために僕ができること…。残念ながら大したことはできません。いつものように物語を紡ぐことしかできません。故郷を舞台にした英雄譚を、壮大な大河ドラマを、僕の手で必ず書いてみせる、と改めて心に決めたのです。

まだ僕の夢は続きます。やはり地元はサイコーです。どんなに寂れたって。地元に帰ってきて良かった😊✨

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