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【イベントレポート】「違いを全力で楽しむことがとっても好き」 2泊3日の学びの旅|さとのば大学✖️キキ

合同会社キキと地域を旅する大学「さとのば大学」は、高校生・大学生向けの地域留学体験プログラム「Learning Journey(ラーニングジャーニー)」を長野市にて実施しています。
3月28日から30日にかけて開催された「Learning Journey  in 2024 春休み」には県外の高校生・大学生計7名が参加し、善光寺門前をフィールドにスタディーツアーを行いました。
今回はプログラムに参加したさとのば大学の学生が、この旅路についてレポートしてくれました。

初めまして!

春のラーニングジャーニーのお手伝い兼、参加者として参加しました、さとのば大学1年の松井沙音です。私の出身は愛知県豊橋市というところです。私がラーニングジャーニーに参加するのは京都、岐阜、今回の長野で3回目。教科書の世界だけでは分からないリアルを感じられる地域に魅力を感じています。

ここでさとのば大学のラーニングジャーニーとは何なのか?というところを紹介したいと思います。
ラーニングジャーニーでは、さとのば大学が提携している地域に2泊3日〜4泊5日ほどの日程で「観光ではない旅」を目的として行われている、宿泊型のプログラムです。

事前学習と事後学習が必ずあり、インプットとアウトプットや、旅に行く目的をしっかり意識できるところもLJの良いところだと思っています。
また、どんなことを学べるかは地域によって違います。
その地域に詳しく、地域に携わっているコーディネーターの方を中心に、「まち」を案内してもらいながら、自分と向き合う時間がゆっくり取れる、そんなイベントになっています。(以降ラーニングジャーニーはLJと表記します)


長野で始まる2泊3日の学びの旅

長野のLJでは「善光寺門前町で『まちの編集者』になろう!」というテーマで旅がスタートしました。
長野市は人口が約36万人と県内最大級の都市であり、今回の春のLJの中でも人口が多い地域になります。
1300年続く善光寺を中心とした昔ながらの街並みとエリアリノベーションにより、「過去」と「現在」が共存する街並みが特徴です。

今回のLJではR-DEPOTと宿泊先1166を主な拠点として活動を始めました。
とても温かく落ち着いた雰囲気で、何度も訪ねたくなる、そんな場所です。

R-DEPOTには古道具ショップやカフェなどがあり、地域の方や移住・創業者など、様々な人が立ち寄れる場を提供しています。(R-DEPOTのHPから引用)

1166は長野県長野市国宝善光寺さんから徒歩5分、築90余年の元クリーニング店を改装したゲストハウスです。(1166TのHPから引用)


長野のまちを案内してくれたのは、合同会社キキの創業者の川向思季(かわむかい・しき)さんと、合同会社キキのスタッフであり、現役大学生である矢野叶羽(やの・かなう)さんです。
私を含む参加者のみんなを明るい笑顔で迎えてくださいました。

長野のLJは、今回の旅で大事にしてほしいことのお話から始まりました。

「違う、分からないを楽しむこと」
「いろんな問いを楽しむこと」
「主語を『わたし』にすること」
という3つです。

自分が心地いい距離感でLJを楽しむこと。
たとえそれがLJに関係ないお店であったり、人であっても
わたしの心が向く方に素直に向かってみてほしいと、思季さんは笑顔で話してくれました。

長野でのLJには徳島や福岡など全国各地から5人の高校生・大学生が集まりました。
最初はぎこちないかな…?と思っていましたが、事前学習で仲良くなっていたのか、もう打ち解けていて少し驚きました。

まちの編集者になるワークショップ

「まちの編集者」になるワークショップの最終目標は、活動拠点であるR-DEPOTの窓ガラス一面でまちを再編集すること。
そんなこと自分に出来るのかな?という不安も抱えつつワークショップがスタート。
ワークショップは主に6段階に分けて構成されていて

①ちっちゃく作る
②まちをゆっくり見つめる
③編集者の声をきく
④まちを表現する
⑤キャプションをつける
⑥インタビューをしよう

というもの。
「わたし」が見る
「ながの」のまちを魅せる。
それぞれの段階を踏みながら、
まちを再編集していく、というのが今回のワークショップの内容です。

①ちっちゃく作る

まずはR-DEPOTの中での作業。
紙媒体のチラシや冊子から自分が気になるものを3つ選ぶというもの。
20分という時間があっという間に感じるほど選ぶのに夢中になっていました。
その後、自分が選んだものをみんなに紹介しながら、なぜ選んだのかという理由も併せて共有する時間。
みんな理由もそれぞれで、

・キャッチコピーに惹かれた
・写真が素敵だった
・手触りが好き
・カレーが好きだから惹かれた

など選んだ紙媒体、選ぶ理由、それを話す表情まで
こんなにも違うのかととても面白かったです。
この自分が選んだものを紹介することで、
「違い」を楽しめた時間となりました。

②まちをゆっくり見つめる

次は思季さんから配られた長野のお店などが載っている冊子、
「古き良き未来地図」を持ってそれぞれまち歩きへ。
私は古い街並みに注目しながら善光寺門前町を歩きました。
看板などから、以前あった建物の名残が感じられるのが
とても風情があり、良いまちだなと思いました。
再びみんながR-DEPOTに集合した際、
「わらび餅屋さんとお話してたら時間があっという間だった!」
という参加者の声を聞いて人の温かさも感じられました。

てつがく対話

ここでワークショップは一旦お休みして、てつがく対話の時間に。

哲学対話とは日常に潜む哲学的なテーマを、一定のルールを元に、みんなで輪になって話す営みです。テーマにゆるやかに関連する問い(疑問文)を一つ決め、その問いについてじっくりゆっくり話し合います。今回はまとめの代わりに、対話を通して浮かんだ更なる問いを出してもらいました。

てつがく対話は「人の意見を否定しない」「話したい人は置いてあるぬいぐるみを取ってから話し始める」などのルールが設けられていて、みんなでテーマに沿った問いを出し合ってその中で対話を行うというものです。

今回のテーマは「まち」
みんなからは様々な問いが出てきました。
その中の「まちはどこからどこまでか?」という問いについてみんなで考えることに。
ぬいぐるみが取り合いになるほど話し合いが進み、いろいろ考えを巡らせる時間となりました。
最後に話し合ってみて浮かんできた新たな問いをお土産の問いとして、てつがく対話は終了。
私の中でも、話し合いが進んでいく中で
「まちを紹介してと言われたらお店を紹介する?人を紹介する?」
という新たな問いが生まれました。

③編集者の声をきく

2日目は③編集者の声を聞くというワークショップをするため、
「ギャラリーT」という場所に集まりました。
今回お話してくれたのはギャラリーTの支配人である理大(りお)さんです。
りおさんがギャラリーTの支配人に至るまでの経験や経歴をお話いただきました。

愛知県出身のりおさんは高校生の頃、東日本大震災のボランティアに行ってみて、この景色を残さなくてはと思い、今も続けている「写真」に興味を持ったと言います。
一度は東京で就職したものの、解雇されて地元の愛知へ。
そこで写真という自分の得意を活かして大手企業の広報に就職するも、大手だから安泰だという周りに、疑問や違和感を抱き始めるように。
その時、東京で知り合った友達が長野に移住していて、「りおも長野に来ないか?」という誘いを受けて、2023年の4月に長野に移住したそうです。
ギャラリーTの支配人になるまで、色んな経験をしてきたりおさん。
そんなりおさんに参加者のみんなも興味津々。
色んな質問が飛び交っていました。

「好きなことを貫くのって怖くないの?」
「ここから3年、どう過ごしたい?」
「一番苦しかった時期と一番楽しかった時期はいつ?」

自由という言葉がとっても似合うりおさんの話をたくさん聞けて、みんなも満足そうな顔をしていました。
私が一番印象に残っているのは、「安定の反対ってなんだと思う?」という問いに対して、「遊牧民かな」と答えていたのが印象に残っています。
今は外から長野に人を呼んだり、イベントの企画を行っているりおさん。
「出会いの化学反応が起きてると思う」と話すりおさんはとても素敵だなと思いました。

④まちを表現しよう

編集者の声を聞いて、いよいよ自分が編集する側に。
それぞれ自分が編集したいものを紙媒体の中から選んだり、自分の心が揺れた場所の写真を撮ったり、集中して作業を進めていきます。
写真を窓に貼ったり、ペンで文字を書いたり。
それぞれこの旅で感じたことを編集していきます。

⑤キャプションをつける

窓に貼る作業を終えたらキャプション作り。
過去のLJ参加者のキャプションを見せてもらい、
みんな自分らしさあふれるキャプションを作っていました。

てつがく対話

2日目の締めくくりはてつがく対話。
今回はテーマからみんなで考えてみました。
決まったテーマは「青春とは」
「文化祭や体育祭で青春を感じる。」
「友達と帰る帰り道も青春だと思う!」
「小学生の時って青春感じた?」
「制服っていいポイントかも」
など話す中でみんなの青春に対する考え方だったり、
感じ方が知れてとてもいい場になりました。
てつがく対話が終わった後、悩み相談会が始まって
そこでまたそれぞれの想いも聞けて、
2日目の夜は天の足夜だったなと思いました。

⑥インタビューをしよう

最終日。
みんなそれぞれこの旅で感じたことを窓に表現していました。
窓の前にみんなで集まって、それぞれの想いを聞いていきます。
「長野に来るまで考えていたこと、知りたかったことと
実際にまちを歩いて自分が心惹かれたのは違うことだった。」
という声を聞いて自分の心の声に耳を傾けるというのは、
日常生活を送っていると難しいんだなと改めて旅の良さを感じました。
窓の表現はキャプションも含めて、みんなそれぞれ良さがあって
時間が許す限り想いが聞けて、とてもいい時間になりました。

最後に、長野LJでの学び

今回の旅で、自分と向き合い、素直な声を聞いて、私は人との違いを全力で楽しむことがとっても好きなんだなと、感じました。
何かを表現しようとすると違いが滲むように出てきて、
それぞれの想いを聞くのが楽しいLJでした。
普段話すのが大好きで、誰よりも早く口を開くことが多い私が
てつがく対話やインタビューで口も開かず聞き役に徹している自分に
私が一番驚きました。
2泊3日を通して、参加者のみんなも色んな「自分」に気付いたと思います。
自分の声に素直になると「日常生活に隠されていた自分」が見つかるのかもしれません。



文:松井沙音(さとのば大学1年生)

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