伊賀地方に残る勧請縄

画像1 久しぶりの投稿になります。今回は伊賀地方に伝わる「勧請縄(かんじょうなわ)」を取り上げます。勧請縄または、勧請吊(かんじょうつり)とも呼ばれますが、疫病などの災厄が村の域内に入るのを防いだり、追い出したりする意味で、注連縄(しめなわ)に呪物を付して、村境に張る習慣を言います。近畿地方周辺では、福井県若狭、滋賀県湖東・湖南、京都府南山城、そしてこの伊賀地域にまとまって見られます。
画像2 写真は伊賀市菖蒲池(しょうぶいけ)の勧請縄です。伊賀市内ではもう2ヶ所行なっている地域があります。注連縄には藁で作られた草鞋(わらじ)や瓢箪(ひょうたん)などが吊り下げられ、毎年1月に架け替えられます。この作り物は、神・仏・陰陽道の力で、村に災いをもたらさないようにとの願いが込められていまして、上の写真の中程に小さな木札がありますが、陰陽道の呪文とセーマン(安倍晴明)、ドーマン(芦屋道満)のマークが施されています。
画像3 ある地域に残る伝説を紐解くとこうあります。「未申(ひつじさる:南西)から丑寅(うしとら:東北)に流れる川は方角が悪く、大蛇が男に化けて女の人さらっていった。そこでしめ縄を張ってこんなことが起こらないようにした・・・・」。この勧請縄は、村の人々が様々な厄や災いから自分たちの身を守るために、神や仏、陰陽道を総動員して祈願した一つの現れであると思われます。

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