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休職した時の僕が復職1年生の僕にインタビュー

(自己紹介記事はこちら→『着ぐるみの中の私』

復職してから約1年が経ちました。

「休職したばかりの僕が知りたかった事に対して今の自分が答えてみよう!」という形でこの1年を振り返ってみようと思います。
良かった事も悪かった事もありのままをお伝えします。



Q1:休職した時はどんな状態でしたか?

周りからは休むほど病んでいるとは見えなかったと思います。
大丈夫?と聞かれると、はい!と条件反射で答えてしまう性質だったので。

でも自分の中では限界を超えていて、
不眠と抑うつで思考力も低下し、
文字を読んでも記号のように見えて意味が分からず「あ、オレ頭がおかしくなっちゃった」
と思っていました。

毎日毎日とにかく辛くて
このまま我慢して仕事を続ければ恐ろしい事が起こりそうだという恐怖を感じたので退職も覚悟しました。
でも僕もいい歳、妻もいます。お金が必要です。

社員を辞めてアルバイトスタッフとして雇ってもらえたら業務も今より限定されるし、疲れた時には勤務を減らせばなんとかやっていけるかも知れない。
上司へ相談したところ
「とりあえず今すぐ、しばらく休んじゃえ」
と言ってくれたのでとりあえず2週間のつもりで有給休暇を使い休む事にしました。
有給休暇でまとめて休むっていう選択肢が思い浮かばない社畜脳な僕でした。

2週間休んでも何も変わりませんでしたが
「もう少し休めば回復するかも」という淡い期待と「病院行って診断書貰って休職手続きするなんてハードル高すぎ。何もする起きんわ。」という気持ちが相まって、もう2週間有給休暇を延長しました。


Q2:休職中は何をしていましたか?

1ヶ月の有給休暇と2ヶ月の休職期間という合計3ヶ月お休みしました。
初めの1ヶ月はただただゴロゴロしていました。ゴロゴロしていましたが相変わらず不眠は続いていました。

有給休暇も残り少なくなってきて、
でも仕事できるような状態ではない事は明白だったので、休職する事を上司と相談しました。
休職をする為には診断書が必要だったので、
そこで初めて重い腰を上げてメンタルクリニックを予約し受診する事になりました。

睡眠薬と抗うつ薬で不眠が解消される事でやっと心が落ち着いてきて、文章も少し読めるようになってきました。

頭が少し働くようになってくると今度は情報を欲するようになってきて「うつについて」とか「休職、復職について」とかちょっとずつ勉強するようになりました。
映画やドラマを見る集中力と楽しむ気持ちも出てきたので海外ドラマを見まくりました。

そして復職する少し前からnoteを書き始めました。


Q3:休職中大変だった事は?

気持ちが少し落ち着いてきてからも会社の人事とのやりとりはすごく苦痛でした。
めんどくささ漂う冷淡で事務的な対応に心が折れそうになる事もありました。

今思うと仕方ないと思うところもあります。
時期的にコロナ禍と合わさり社会の情勢も、社内の勤務形態も大きく変化した最初の時期でした。
人事も慌ただしかった事でしょう。
僕にばかりかまっていられないのも当然です。

でも当時の僕には辛かったです。
そして今でもまだ根に持ってますぜ。。


あとは睡眠薬との付き合い方が初めは分からず困った事もありました。
薬を飲んでから眠たくなるまでの15分ほど間にスマホを触ったり何かしていると夢遊病状態になってしまって
その後の行動や話した事を憶えていない事が何度かありました。

憶えていないうちにAmazonで本を買ってしまっていたり(翌日意識のハッキリしている時にその本を購入しようとしたら既に購入済みだった!)、クレジットカードの支払いを一括からリボ払いに変更してしまっていたり(恐らく無意識の僕は経済的な不安だけが先立ち、正常な判断力のないままスマホで切り替え手続きをしたのでしょう)、妻と1時間くらい話したらしいのに内容はおろか話したという事すら憶えていなかったり

それからは入眠用の薬を飲んだらすぐ布団に入って目を閉じて何もしない!これを自分ルールにしました。


Q4:休職中にありがたかった事は?

仕事の事を何も考えなくて良かったのが嬉しかったです。上司から「休み中は携帯切っといていいからな」と言ってもらたのがすごく気が楽になりました。
実際には人事からの連絡があったので電源は切りませんでしたが、2日に1回着信を確認するくらいでした。
人事の手続きと上司への経過報告以外は返事もしませんでした。

傷病手当については休職前に馬車馬の如く働いていたお陰で節約すれば生活に困らないくらいの額はもらえました。

ちなみに
うつの人に「頑張れ」は禁句だと良く言われますが、僕はうつのどん底にいた時でも親しい人に「頑張って」と言われるのは嬉しい派でした。珍しいのかな?
「もっと頑張れよ!」は嫌ですが「頑張ってね」だと純粋に応援してくれている感じがするので嬉しかったです。



Q5:休職中にやっておいて為になった事は?

休職中にこの「note」と、「ここち日記」を始めました。

noteも日記も、頭の中にある物を
文字にする事で整理できたり、歪んだ認知に気付く事ができました。
それまでは文字にせず考えるだけでネガティブ思考の堂々巡りになっていたことを痛感しました。
noteも本音を書いていましたが、日記はもっと本音。突発的に沸いたドロッドロの汚い感情もそのまま書きとめていました。
今、日記を読み返すと感情丸出しでnoteより面白いですが、お見せできる代物ではありません。。


それと、睡眠と生活リズムは崩さないように意識して生活しました。3ヶ月目には軽い運動や作業も始めました。
僕は復職出来る状態なのか、自分自身で測る為でした。

それと、鈴木裕介先生の著書「メンタルクエスト」(夢遊病状態で2冊購入しかけたやつです)を読んだ事が僕にとって気持ちが浮上し始める大きなきっかけになったと思います。
自分の心に起きている事が分かりやすく書いてあって納得できました。

何となく自覚していた事でも分かりやすく言語化してもらえると心が軽くなりました。


Q6:復職が決まった時はどれくらい回復してましたか?

しっかり睡眠する事を第一にしていましたが復職して出勤する事を想定して少しずつ起床時間を早めました。
9時→8時→7時半→7時というように1週間単位で。
起きてからは夕方まで本を読んだりnoteを書いたり運動をしたりして集中力と体力が保てるかも試しました。

気持ちは全快!という訳には行きませんでしたが、抑うつも持続時間が短くなってきて集中力や思考力、判断力も戻って来たので
「これならなんとか仕事が出来そうだな」と思いました。
いや、そう自分に言い聞かせていたかも知れません。
傷病手当はあっても仕事をした報酬としての収入ではないので、自分と家族の将来を考えると正直なところ不安で焦っていました。

主治医は「もう少し休んだ方が安心だけどね。」と言いつつも復職可能と判断してくれました。
産業医面談はコロナ対策で電話面談だったのであまり『ゆっくり話せた感』がなかったですけど産業医からも復職可能の判断が下りました。


Q7:復職初日はどうだった?

3ヶ月振りに行く会社はめちゃくちゃ緊張しました。どんな顔をして行けばいいのやら。
どんな挨拶をすればいいのやら。

事務所のドアの前まで来る。
自分のデスクは事務所の入り口から1番遠くのスペース、そこまで行くには他部所のスペースを通り抜ける。辿り着けるだろうか。
もう帰りたい。

ドアを開けるとたまたま部長が目の前に。
「おお!おかえり!」と笑顔で迎えてくれた。
その後はずっと相談に乗ってくれていた課長にも挨拶し、課長が付き添ってくれて役員や社長にも挨拶をした。

役員や社長も「戻ってくれて良かったよ。あんまり無理しないようにな!会社から言われたからって無理に頑張らなくていいんだぞ」と声をかけてくれた。
仕事で辛くなって心が病んでしまったんだけど、僕はこの会社の人達みんなが好きだ。


Q8:復職後の勤務状況は?

主治医も産業医も勤務の制限として挙げた条件は見解が同じで『1〜3ヶ月程度は残業をしない事、夜勤も避ける事』だった。
夜勤も多い部署だったので。

noteで他の休職経験者の話を読むと短時間勤務から徐々に8時間勤務へ移行したとか、リワークプログラムを経て復職したっていう人を多く見るのだけど、僕はいきなりフルタイムでした、、

フルタイムとは言っても基本的には軽めの雑用を頼まれたり休んでいた間に溜まったメールチェックとか変更された社内の業務フローを確認したりが主で『出勤して何かしてれば良い』状態。

その状況を1ヶ月くらい作ってもらえました。


Q9:復職後は順調でしたか?

全然順調ではなかったです!

復職1週目に簡単な雑用ではないけれどそんなに責任重大でもないという程度の業務を任されました。

上司としては手始めに軽めの業務で慣らし運転をさせてくれようとしたのでしょう。
自分でも出来ると思って引き受けましたが、いざ取り掛かるとすぐにパニックになって頭が真っ白でした。

自分が思ったより回復していない事を思い知りました。
上司に助けを求めて何とか遂行しましたが、
僕は「やっぱり無理かも。続けられないかも」と自信を砕かれました。

これが復職してから1ヶ月くらいの話ですが、
そんな時に以前所属していた部署の元上司から声がかかりました。
「こっちに戻って来ないか?君が来てくれると助かるよ。」と。

そして紆余曲折あり部署を異動する事になりました(紆余曲折の詳細はこちらの記事で。)




Q10:復職後に困った事は?

頼まれ事をすると断るのが下手なのでついつい引き受けてしまって、でも結局パニクって助けてもらい周囲を引っ掻き回しました。
特に急なスケジュール変更と、初対面のお客さんとの打ち合わせなどは頭の整理と心の準備が追いつかなくて苦しかったです。

しばらくして「このパニックを急に克服する事は無理!」と悟ってからは
『出来る』を目指す努力に力を注ぐより
『出来ません、無理です、出来そうです、不安です、助けて下さいを正直に伝える』という努力に力を注ごう
と思い直しました。


Q11:復職後にしんどかった時期は?

復職してから2ヶ月目、3ヶ月目あたりが1番しんどかった気がします。(部署異動した後です)
パニック状態への対処の仕方も少し分かって来て出来る事が増えてきた時期でした。
この仕事がやりたいという意欲も芽生え始めました。

出来る事が増えたら調子に乗って頑張りすぎて気付けば電池切れ状態。。
体調が戻るとまた調子に乗ってやりすぎる。

心と体が丁度良いバランスで持続出来る頑張り具合が掴めない時期だったのがしんどい理由だったと思います。


『半年』『一年』といった節目に差し掛かる時期も苦しかったです。

常日頃難しいと感じているんですが、
「自分を大切にして無理はさせない」
という思いと
「自分を甘やかしすぎてないか?」
という思いのせめぎ合い。

このせめぎ合いが激しくなるのが半年、一年という節目なのかなと感じています。
「もう半年なんだからチャレンジしなきゃ」
「もう一年なんだから『普通』にならなきゃ。嫌な事を何もやらなくていい仕事なんてないよ」
と自分の中から声がします。


Q12:いつ頃から余裕を持って仕事が出来ますか?

余裕なんてございません!
今でもいっぱいいっぱいだし、不安になるし気分が落ち込み悲観的になります。
逃げたい衝動に駆られる時もあります。

でもいっぱいいっぱいの具合は変わってきた気がします。

復職3ヶ月目→パニック状態から戻るのが早くなってきた。
復職5ヶ月目→頭が真っ白になるほどのパニックが減ってきた
復職7ヶ月目→勤務時間外に仕事の事を考えるのが減ってきた
復職8ヶ月目→週末に仕事の事を思い出して憂鬱になる事が減ってきた
復職9ヶ月目→休憩時間に世間話を出来る余裕が出来てきた
復職10ヶ月目→仕事中の周りの雑談に笑えるようになってきた
復職11ヶ月目→仕事中の周りの雑談に参加できるようになってきた



という具合で少しずつ好転はしていますが、いっぱいいっぱい脱却には至っていません。
日によっては余裕がなさ過ぎて誰とも声を交わさず、にこりともせず終わる日もまだあります。


Q13:復職後の同僚との関係は?

僕がメンタル不調で休職していた事を上司はもちろん知っています。
同僚は知っているのか知らないのか聞いた事はありませんが、僕への接し方で分かります。
扱いや距離感に戸惑っているのも感じました。
『ハッキリとは聞いていないけど、何となくは聞いている』状態でしょう。
僕への業務の流入量を調節してくれているし、「何か手伝える事があれば言って下さいね」と声をかけてくれる。

そんな優しい同僚ばかりなんだけど
僕は仕事をこなすだけで毎日が精一杯で
仕事以外の話をする事はほぼなかった。

2,3ヶ月前からやっと仕事以外の雑談が出来る日が出てきました。
すると変化が。

「手伝いましょうか?」という同僚からの問いかけに「お願いしていいですか?」と言えるようになってきました。
本当に余裕がない時には「ありがとう。大丈夫です。」と助けを断ってしまっていました。
「大丈夫です」と言っていた時の方が本当は大丈夫じゃなかったのに。不思議です。


Q14:1年経った僕は幸せですか?

1年前の自分の日記を客観的に読むと、今の僕はずいぶん良い方向へ向かっているように見えます。でも幸せだという実感はまだ感じられていないのが正直なところです。



Q15:減薬、断薬できましたか?

断薬は出来ていません。
7ヶ月目あたりから段階的に減薬しました。
その後安定していましたが10ヶ月目に仕事が忙しくて睡眠時間が乱れたのをきっかけに、
寝付きが悪くなったり充分睡眠時間が取れても疲れが残る日が出てきたので主治医と相談して量を戻したり薬の種類を変えたりしています。



Q16:再休職の心配はないですか?

うつ抜け出来た感覚はまだないです。
再休職はしたくないけど心配です。

メンタル不調で休職して復職した人のうち約半数が5年以内に再休職しているというデータもあるので日々ビビってます!

僕の心力・体力が回復すると共に任される業務量も責任も増えてきています。
減薬も出来ていません。
まずは5年休職せずに生き残るのが目標です。

今思うのは、求められるままに自分が壊れるまで奉仕するのはやめようと。
出来る事は誠実にやる、けれども限界を超える事は諦める!また壊れるくらいなら。




Q17:次の1年をどう過ごしますか?

やっと不安と後悔に縛られて身動きの取れない状態から抜けてきたのかなと感じています。
自分のための時間を取れるようになってきました。

「物作り」をいっぱいやりたい!
仕事以外の世界で友達を作りたい!
家を買いたい!
猫を飼いたい!
旅行に行きたい!
球場で野球観戦したい!


Q18:休職して良かったですか?

間違いなく休職して良かったです。
休職していなかったら今頃はどうなっていたか・・恐ろしいです。

うちの会社は半年まで休職が認められます。
復職してからも当初はすぐパニクってしまう状態だったのでもう少し休養して回復を待ってからの復職でも良かったのかなとも思いますし、

ちょっと業務が落ち着く時期に復職したので
ゆっくり慣らし運転が許されたし
異動を検討する時間的余裕があったので
いい時期に復職出来たのかも、とも思います。




Q19:最後に何か言いたい事はありますか?

僕が休職した時、不安だったので経験者の声が聞きたくて色々検索しました。
医師やカウンセラーやうつ抜けしたご本人など、前向きにポジティブな発信をしてくれている人はたくさんいてありがたかったし、その方法を試してみて心が軽くなる事がたくさんありました。

でも今まさに、もがいて苦しんで戦っているご本人の声も聞きたかったんだけども、そういう方のブログやうつコミュニティ掲示板の投稿はだいたい途中で更新がパタリと止まっている。
続きが読みたいのに。

メンタル不調が原因で休職復職した人のうち半数が5年以内に再休職と言うからには今も戦っている人がたくさんいるはず。

なので、僕は書き始めたからには出来るだけ続けたいと思います。
ハッピーエンドとなるかバッドエンドとなるかは分からないけど。

よろしければ皆さんのお話も聞きたいです。
お気軽にコメント頂けると嬉しいです。
「私の場合はこうだった」とか
僕への質問でも結構ですし。
感想でも結構ですし。
挨拶だけでも結構ですし。お寿司。

思った以上に長くなりましたが最後までお読み頂きありがとうございます!

優しい世界になりますように。

サポートして頂けたら画材を買いたいです!