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初めての海外旅行〜帰国編。


私はロンドンのアルドゲイト駅から
およそ5マイルほどのところにある
大学の学生寮の門の前にいた。

たった今、娘と別れたばかりである。

これから、私はひとりで、タクシーに乗り
ヒースロー空港に向かい、
日本に帰国しなければならない。

なにしろ、私にとって初めての海外。

たとえ、帰国するだけとは言え、
ハードルが高すぎない?

なぜにこういう事態になったかと言うと、
これから、大学に通う娘のために
付き添ってロンドンに来て
生活に必要な物を揃えてやるためである。

そして、
当たり前だが、娘を残して、
私はひとりで帰国する。


古いレンガのでこぼこ道を
重いスーツケースを引きずって
多分、50mほどであろうか、、、、
歩くと大通りに出る、、と思う。
そこでタクシーが拾える筈だ、、、、
拾えないかもしれない、、、分からない。
だって初めて来た土地。
知る訳ないじゃん。

娘は、空港まで送るよ、、と言ってくれたが
私が来なくていいと断った。
アルドゲイトからヒースローまでは
かなりの距離。小1時間かかる筈だ。
私を送って、また引き返すのは可哀想だ。
空港での別れも辛い。

そんな会話を思い出しながら
泣きそうな顔して待つこと、およそ10分。

黄色いタクシーが遠くに見えた。

はぁ〜〜安心、、、、、ではなかった。

Could you take me to Heathrow airport ,
please?

「okay」

「チキ、チキ」

えっ?えっ!えっ?
チキって何よ。いやん、分からない。

えーっと  money?

「No 、チキ、チキ」

あっ、これか!航空券ね。ticketね。
チキって言われても、、、(笑)

Here you are.

親切な運転手さんは、
空港のターミナル番号を知りたかったのだ。

車が走り出した安心感からか
淋しさで涙が出てきた。泣いた。
が、ふと窓の外を見ると、
確か、これは、、

Is that Buckingham Palace?

「Yes」

泣きながらも、聞くことだけは
しっかり聞いた。

きっと、運転手さんは
変わった東洋人だと思ったに違いない。

そして、
ターミナルNo.3にきちんと車を着けてくれた。

Keep the change.  Thank you.
と言ってタクシーを降りた。

はあ〜〜安心、、、、するのは、まだ早かった。

エレベーターで迷ってしまった。 

はぁ?えーっと、、、G、、って、、

イギリスでは、
1階→ ground floor→G
2階→first floor→ ①
3階→second floor→②
という表示であることを知らなかった。

とりあえず、
私の前にいたアタッシュケースを持った男性の
後をつけることにしよう、、、
という怪しい行動をすることに決めた。
きっと搭乗口に行くはずだ(笑)

ふらふらしながらも、
しっかりした足取りで、(どっちやねん)
JALマークを見つけた時は、
思わず、万歳三唱するところだった。

やっと搭乗。
はあ〜〜安心、、、、じゃねぇわ。(品がない)

分かってはいたが
4人席の内側で、
あとの3人は外国人男性2人と日本人男性。
チケット購入時、ほぼ満席で
こんな席しかなかったから仕方ない。
真ん前は大型スクリーン。
頭の中がクラクラした。

最悪。サイテー。

初めての海外なんてこんなもんよ、、と
自分に言いきかせた。

13時間をどうやって過ごしたか。

<寝たふりして過ごす空の旅。
不快時間は果てしなく。>

こんなキャッチコピーはどうよ?

<寝たふりも 限度があるわ 秋の空>
俳句も詠む。

そして、いよいよ成田上空。
果てしない時間との戦いも終わりに近づいた、、
、、、、、

あは、は、、は、は、、
この後、国内線乗り継ぎ。
待ち時間が4時間ある。

13時間を狭い座席で我慢した私だもの、
4時間なんて、、、、ふっ。

再び空へ。

日本の空がとても美しく感じた。


この話は、1999年9月21日のことである。


どうしても、
この「ロンドン旅〜帰国編」を
書いておきたかったのだ。

Thank you (笑)

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