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【ほぼ毎日レビュー】「虎に翼」第1&8週の感想★★★★★Xでも大炎上!専業主婦VSワーママが燃えないNHK朝ドラの世界 嫌い&つまらないという人も多い理由

総合評価 スキ★★★★★/NHK朝ドラ「虎に翼」感想

オモシロイ。面白すぎる。おもしろすぎる要素が多すぎる! そんなコメントで盛り上がっている「虎に翼」。遅ればせながら娘2人と見はじめた。

確かに見始めると止まらない面白さ! 最初から飛ばしまくるたくさんのおもしろ&胸キュン要素に大笑いしたり応援せずにはいられない。

ただ一方で、嫌い。つまらないという人も多い。それも当然だと思う。

主に第1週、最後に第8週の感想を書いてみようと思う。

あらすじ&概要/NHK朝ドラ「虎に翼」感想

主演は伊藤沙莉。日本史上初めて法曹の世界に飛び込んだ、一人の女性の実話に基づくオリジナルストーリー。困難な時代に立ち向かい、道なき道を切り開いてきた法曹たちの情熱あふれる姿を描く。

そんな第1週のエピソードの中で、10代の主人公・寅子に比べ50歳に近い自分の未熟さが恥ずかしくて情けなくて涙が出そうになったポイントがあった。

それが、主人公寅子を中心とした世界では専業主婦VSワーママが燃えない! ということ。

主人公・寅子がこの時代ごく一般的であった女学校を出てお見合い結婚という道に進まず法律の学校に進み自立していくところから物語は始まる。

「専業主婦&女性は家を守るものという社会の常識」VS「結婚を選ばずに進学する寅子&女性も男性と同じ1人の人間」という構図は前半の重要なテーマだ。


✅「虎に翼」の口コミ

我が家は共働き。6カ月で長女が保育園に入ったときから私は「専業主婦VSワーママ」の世界が苦しい。

私を中心とした世界では専業主婦VSはワーママは常に対立構造にあって燃えている。

私の世界のワーママチームは私一人で、専業主婦チームには周囲の専業主婦のみなさまと、その配偶者の方々、我が親族と夫が含まれる。

そうなのだ、専業主婦VSはワーママは、女性同士の対立に見えて、専業主婦の後ろからたくさんの男性がワーママに石を投げ、進む道に落とし穴を掘る。

このVS関係だともうワーママである私の劣勢ぶりが激しく、その状況に私はもう20年近く泣いてばかりいる。

このドラマの前半では主人公・寅子を中心とした世界では専業主婦VSワーママが燃えない。

寅子が対立を選ばないから専業主婦を選んだ親友とも母親とも対立にはならない。父も兄も応援をしてくれている。

あれっ。専業主婦VSワーママっていつでも燃える構図かと思っていたらもしかしたらそうじゃないんじゃない? どちらか片方が戦闘態勢だから燃えてるんじゃない? そんな気がした。

ここがよかった/NHK朝ドラ「虎に翼」感想

第1週は「女賢くて牛売り損なう?」。

おんな【女】 賢(さか)しくて牛(うし)=売(う)り損(そこ)なう[=売(う)られぬ]
女は、利口のようでも大局を見通す力が無く、目先の欲にとらわれて、かえって事を仕損じるというたとえ。
浄瑠璃出世景清(1685)二「『女さかしくてうしうられぬとは御分(ぶん)が事ぞ、諸事は兄にまかせよ』ととんで出れば」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について「わたしは結婚して

「女賢くて牛売り損なう?」。最後に「?はてな」がついてる。「(専業主婦)の女性が売りそこなうはないわ」むしろ(専業主婦の)女性が売ってるわ」という気持ちがこもったタイトル。

寅子の兄と親友の花江ちゃんの結婚式の顔合わせの場面が秀逸。

結婚式の段取りや手配をさも自分が頑張ったとふるまう父親たち男性陣の描写に「(父親)二人ともさも自分が頑張ったようにふるまっていますが、実際に段取りをしたのは、寅子の母と花江の母です」と、尾野真千子さんのおさえたナレーションがかぶる。

寅子は自分たちの手柄をとりたてていわず、人前では母二人がほとんどしゃべらず控えめにして「すん、すーん」としている様子に疑問を持つ。

実際に時間をかけて何度も結婚式の打ち合わせをして招待状を書き手筈を整える寅子の母と花江ちゃんの母の姿もこの場面より前で丁寧に描かれている。

まず招待状に手書きの心のこもった宛名書きをするシーンから美しい文字にぐっとくる。食器を出してきてと母が寅子に頼むときも「にー2の棚にあるの」というシーンも有能な母たちらしいシーンだ。母親は大量の食器を、自分以外の誰が行ってもすぐにわかるように棚に機能的に分類して収納している。本当に賢い。。。

わたしの祖母も母もこんな感じだ。賢い。だけど人前では夫をたてて寅子や花江ちゃんの母のように「すん、すーん」としている

共働きの私と専業主婦の母との間や、会社や幼稚園、Xの世界で私がこれまで見てきた専業主婦VSワーママの対立はここにはない。

まず寅子が母親たちを圧倒的にリスペクトしているから対立ではなくなんでこんなに大切な母たちがこうしているのだろう? 「はて?(これはどういう構造なの)」という分解から入る

専業主婦かワーママかという違いは、相手を愛して信頼しているという前提からであれば炎上しないんだなと改めておもった。相互理解が無理に見える構図でも、理解したいから入ると結果が変わるんだなと。

印象に残ったセリフ・シーン/NHK朝ドラ「虎に翼」感想

婚姻状態にある女性は『無能力者』であるから相続権がないのであります」

寅子が法律のクラスにお弁当を届けるシーンで寅子が耳にして法律を志すきっかけになる言葉だ。

当時「(婚姻状態にある女性は)財産の利用、負債、訴訟行為、贈与、相続、(雇用契約などの)身体にきはんを受くべき契約を妻が行うとき夫の許可が必要である」との法律があった。

これを知り寅子は「母たちは法律的に『無能力者』とされているから人前であんなに賢いのに『すんすーん』としている」のだと気づく。

私が嫌だと思っていたこと、結婚がいやなのも、女が損なのも、母が公の場ではすんとなってしまうのも」すべて法律が原因であったのだ!」そして法律の世界を目指していく。

この場面を見て「私はこれまで、母や夫の母が私に理解がなく悪いのだと思っていたよ」と、自分が恥ずかしくなった。

10代の寅子が持っている「分解して解像度をあげる」思考が足りていなかった。問題を「分解する力」は問題を解決する糸口を発見する力だ。

もちろん娘2人と一緒に見ている。2人とも私が、夫の母と夫と自分の母と父とこの点で軋轢を見て育ってきた。どんなことを2人は思うのだろう?

こんな人にオススメ/NHK朝ドラ「虎に翼」感想

やはり見てほしいのは、これからの社会を生きる娘たちのような若い子供たち。

当たり前に「あー。日本って全然平等ではない。寅子たちのような先輩が切り開いてくれたけれど、寅子の目線を手に入れてみると、ほんのちょっとしか平等に傾いてはいない」と思うかもしれない。

そして、「いけない!」からではなく「はて?」と寅子のように分解する時間をもってくれれば、私のように時間を無駄にせずにすむかもしれない。

そして男性たちには、笑いながら「虎に翼」を見ていていいのか? と問いたい。

上で私は寅子のような分析的視点で「専業主婦VSワーママ」に立ち向かっていなかったかもしれないと書いたけれど、寅子ぐらいの年齢のころ私もあんなふうに周囲を善意で見ていた。

だけど、周囲からは常にそら見たことか、だからワーママはという石つぶてが飛んで来なかったか? といえばやはり飛んできていた。

多数派という強者からはかなり見えにくい、圧倒的な痛みも確実にある。

ここでワーママにもいいところがあるし専業主婦チームにも痛みがあると問題の焦点をずらしてはいけない。女性の社会進出やジェンダーダイバーシティは、「女性間の問題」というだけでなく、「男性側の問題」でもある。

専業主婦がいいとかワーママがいいとかが問題ではない。

そこで議論をしていたからこそ燃えるのだ。問題はそこではなかったのだ。寅子はそれを法律と捉えたけれど、法律が改正された今も状況は変わらない。

私がこういうと夫も家族のでも随分状況はよくなっているという。「はて?」日本のジェンダーギャップ指数をご存知ない? 125位。

日本でよくなっていようと世界のスピードに比べると先進国ではないのだが?

虎に翼には嫌い、つまらないという人も多い。むしろ物語が進むにつれそういう声が増えそうだと思う。

朝ドラを見る多数派に社会性と生き様に問いかけているからだ。目を背けてきたことに向き合わされることを好まない人も多い。

娘たちはいいとして、夫はこのまま楽しみながらみ続けられるだろうか? 

ただ約20年の結婚生活で、これが残念ながら見られるのだろうという気はしている。向き合わされるのを好まない「嫌い」「つまらない」という人よりもさらに気づかない、他人事だと距離をとれる人が多いのがこの問題が机上にあがりにくい点でもある。

ジェンダーギャプについては以下のリストをチェック!

日本がこのランキングで所属するグループは先進国がいるグループではない。韓国や中国とも100位近い溝が開いてるのは何とも言えない気持ちになる。

上位国と主な国のジェンダーギャップ指数(かっこ内は前年順位と前年比の指数の変化)は記事の最後で紹介しています。

虎に翼第8週「女冥利に尽きる?」/2024年5月26日追記

これまでにないツライ週だった。法曹家の道をあきらめざるをえなかった友のために、世の女性たちのためにも自分が先頭にたって社会を変えていくんだ! と、妊娠したことを職場のだれにも言わず頑張っている寅子は弁護士になるきっかけをくれた穂高重親先生(小林薫)の講演会で気をうしなって倒れてしまう。

目を覚ました寅子に穂高重親先生がかける一言がたまらなくツライ。

「一番大事なことは子供をそだてることだよ。世の中はそう簡単にはかわらない、雨だれ岩を穿つ。君のあとに続く女性たちが少しずつまた道をつないでくれる」

優しい一言だけれど、穂高先生が決して寅子に期待をかけてくれていたわけではなかったことに気づいて、「先生私の話をしているんです」と気持ちをおさえてまっすぐに穂高先生に言う寅子の悔しさに画面を見ながら涙があふれた。

優しい人、本当に優しい人の無理解を絶対に替えられることはなく、今日を境に気持ちが幸せな時間を分け合ってきた人と今後一生心が通じ合うことがないむしろこれまでが誤解であっただけだと気づいてしまったことが悲しい。本当の孤独。

寅子も雨だれであったように、私も雨だれだとドラマを通じて突き付けられる。

1 アイスランド 0.912(1、+0.004)
2 ノルウェー 0.879(3、+0.034)
3 フィンランド 0.863(2、+0.003)
4 ニュージーランド 0.856(4、+0.014)
5 スウェーデン 0.815(5、-0.007)
6 ドイツ 0.815(10、+0.014)
7 ニカラグア 0.811(7、+0.001)
8 ナミビア 0.802(8、-0.005)
9 リトアニア 0.800(11、+0.001)
10 ベルギー 0.796(14、+0.003)
11 アイルランド 0.795(9、-0.010)
12 ルワンダ 0.794(6、-0.017)
13 ラトビア 0.794(26、+0.023)
14 コスタリカ 0.793(12、-0.003)
15 英国 0.792(22、+0.012)
16 フィリピン 0.791(19、+0.009)
17 アルバニア 0.791(18、+0.004)
18 スペイン 0.791(17、+0.002)
19 モルドバ 0.788(16、-0.001)
20 南アフリカ 0.787(20、+0.005)

40 フランス 0.756(15、-0.035)
43 米国 0.748(27、-0.021)
105 韓国 0.680(99、-0.010)
107 中国 0.678(102、-0.004)

124 モルディブ 0.649(117、+0.001)
125 日本 0.647(116、-0.002)
126 ヨルダン 0.646(122、+0.007)

144 アルジェリア 0.573(140、-0.030)
145 チャド 0.570(142、-0.008)
146 アフガニスタン 0.405(146、-0.030)

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