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#読書感想文

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読むのはすきだけど、良さをみなさんに伝えるのは本当に難しい。。。鍛錬が必要ぢゃ
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記事一覧

【読書記録】人間失格

前回のクラシックネタに続き こちらも久々の読書ネタ クラシック同様、主力コンテンツのひとつです(笑) 標記通り 太宰治作「人間失格」をいつ以来だろ?ブリに再読しました 何度読んでも、自分自身のおかれている環境が変わっているからか、 毎回新たな境地にたどり着かせてくれます 今回は、読む直前から感じていたのですが 本作は、太宰治の事実上の遺書と考えられています そんな"死"がもうすでに念頭にあった色彩の暗いはずの作品に そこになぜこんなにも、生きる息吹を感じるのでしょ

【読書記録】 国盗り物語 斎藤道三編

#StayHome 読書ラッシュです 過去本 読み直しました 『麒麟がくる』ありきではないことだけ…わかってください笑笑 しかし大河ドラマど真ん中の斎藤道三が主人公の物語です 京都 妙覚寺本山「智恵第一の法蓮房」と呼ばれた道三が、後に「美濃の蝮」と呼ばれ恐れられた、美濃一国一城の主となるまでを描きます 著者は言わずと知れた司馬遼太郎 大先生です (先日の記事で少しふれました) あらためて「小説家」としての司馬遼太郎先生にも敬意を表します 前記事では1巻の開始

司馬遼太郎 大先生

#stayhome もそうですが 色んな要因が絡み合って、読書熱再燃です 未読本、過去本の読み返しなど様々… ちょうど今、司馬遼太郎作品を読み直しています 作品個々のフィードバックは後日として、このたびの読み返しで気付いた司馬遼太郎作品について少し… 何度もふれているように歴史loverの私はもちろん司馬作品は数多く経験しています。何よりも特筆されるべきは、氏の膨大な文献の精読、フィールドワークの作品への落とし込みです。それに異論はありません。司馬作品を読んだことあ

【読書記録】 川上未映子 『乳と卵』

芥川賞受賞作です まさに芥川賞ど真ん中 純文学 「芥川賞」においては王道の作品だとおもいます 主人公の姉 巻子が豊胸手術のため上京してくる 巻子の娘、主人公の姪にあたる緑子は反抗期?もあってか、巻子との会話はすべて筆談 そんな二人を主人公宅にむかえてのプチstory 川上未映子デビュー2作目 まだ初々しさ、たどたどしさを文章に残しながら(流れるようなタッチは、まだ後年の作品ほどではない)も、川上ワールドの土壌はふんだんなく発揮されている 関西出身の著者が盛り込

【読書記録】 湊かなえ 『ユートピア』

『絶唱』を探していたのですが、図書館で色々選り好みをしていると、手に取っていました笑笑 結論からいうとそんなアクシデントに感謝するほど秀逸でした 湊かなえワールド全開 鼻崎町という東京から離れた岬町が舞台 そこで出会った3人の女性 菜々子、光稀、すみれ 3人はそれぞれ鼻崎町の住人に不満をもっていて、お互いがお互い他の2人に鼻崎町の住人にない部分に惹かれあうのだが、一方で女性らしい負の部分も持ち合わせており、なかなか完全には意気投合できない その意気投合するようで、

【読書記録】 貞観政要

ほんもの読破できたらカッコよすぎますけどね 『貞観政要』 田口佳史 編訳 よみました ビジネステイスト だから全文ではなく、ビジネスに活かせそうな箇所をほんの一部だけ抜粋 ちなみに私の出所は100分de名著でした みなさんは『貞観政要』ご存知ですか?? 中国 唐王朝2代目皇帝 太宗(李世民)の治世 「貞観の治」とよばれた中国史上屈指の太平の世を唐代後世 呉兢により太宗の言行録として編纂されたもの 日本でもリーダーの必読書として人気が高いようです 内容そのものは

【読書記録】 空中庭園

ひさびさに角田さんの作品をよみました 角田さんにとって転機になった作品のようです 「転機になった」というのがよくわかる秀逸の作品です いわゆる角田ワールド全開です ストーリー自体はある種平凡です イメージしやすい一般家庭があります 夫婦、子ども2人、集合住宅購入、日々の生活 家族の構成員それぞれにもちろん抱えている悩みや背景を独白形式で、ひとりひとりにスポットがあたります そして一人ひとりとすすむ中で時系列としてもうまくそれぞれの独白を絡めていきます そして個々を通

【読書記録】 わたくし率イン 歯ー、または世界

川上未映子 全作品読破にむけてのながれです 今作は川上未映子の初出版小説にあたるようです 私は川上作品何作目?というカンジなので、非常に初々しさを感じましたね。川上未映子にもやはりこういうプロセスがあるのかと…川上ワールドはご心配なく?ではないが、ふんだんに発揮されています。 題名しかりですが、これを??と考え込んでしまう方にはキツイかも 本編に関西弁が飛び交いまくるんですが、同じ関西出身でよかったとおもいました 私見ですが、太宰、春樹の匂いがするんですよ 私はだ

【読書記録】 カラマーゾフの兄弟

巨編 読みきりました 出所は100分de名著でした そういう意味では、ロシア文学、ドストエフスキーともにデビューでした 古今東西の名著に共通するとわたしはおもうのですが、とにかく読みやすい・文章構成が巧み。(今回は外国の作品なので、訳者の亀山郁夫氏の功績もいかばかりかと)ググって訳者は亀山郁夫氏の訳を手に取りましたが、ネットの評価に違わぬものでした。 中身の話を少しすると、法廷のシーン、エンディングなどは本当に自分がその場にいるような臨場感と、意味は半分ほどしか理解し

【読書記録】 むらさきのスカートの女

わけあって近年の芥川賞作品を読破することにしました いわばその第1弾 2019年上半期 受賞作品です 今村夏子 著 『むらさきのスカートの女』 ググってみましたが、お人柄が顔ににじみ出ておられるような、本当に好感をもてる方だなぁとおもいながら、スタートしました 本編はやはり「むらさきのスカートの女」と「黄色のカーディガンの女」との関係性ではなかろうか ここは様々な意見や解釈がでるとおもう ストーリー自体は後半ググっと流れていき、まさしく起承転結の転ではないが、クラ

【読書記録】 湊かなえ『告白』

最近の読書熱再燃により、読み返しました いわずと知れた大物作家 湊かなえのデビュー作です 初版後(2008年)すぐに読んで、 戦慄がはしったのを昨日のことのように記憶しています 今回、プライベートな事情があり10年以上ぶり!?に再読しました 再読なので、というこちらの事情は一切おかまいなく、初版時同様に作中に引き込まれていく私 緻密な文章表現、構成力 まるでお芝居を生でみているような臨場感ですすんでいきます そして何よりもその「口語」さとスリリングな展開が、読

川上未映子

わたしのすきな作家さんです 恋愛なんかといっしょで、ビビッときたというところです 結局なにごともそうだとおもうんですが、そういうことです 作中での言い回しや、描かれる世界観、登場人物の内面へ内面へ迫っていくアプローチ わたし的には太宰や村上春樹に通ずる部分があるんです 川上さん自身の、なにか鋭い刃物のような印象もすきです ちなみに世間で騒がれている『夏物語』はまだよんでいません 『夏物語』をよむ前から、本当にほんとうに、だいすき、です!!!

続・みだれ髪

先日お話しした『みだれ髪 チョコレート語訳』のつづきです hontoのポイントがありあまってたり、そんな関係で純粋に、『みだれ髪』与謝野晶子著を購入しました 俵万智の訳がなくなり、純粋に与謝野晶子の歌のみが、ページを奏でる 圧倒的な存在感です 私はそれまで小説しかよんだことがなく、ページそのものにこれほどの余白があること自体どうなるのか?とおもっていましたが、それは全く私の取り越し苦労でした。むしろその余白がさらに晶子の歌を際立たせるといった印象です。俵万智の訳ももち